表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/24

部長殺人事件④

 「なにしとんねん、ボケ!」


 岩崎の拳がさく裂し、塩井の脇腹にめり込んだ。


 「きゃん!」

  

 香月が叩いた時もそうだったが、攻撃を受けた塩井は子犬みたいに鳴く。


 「なんや死体アートって!ふざけとんか!」

 

 「ふざけてるとは失礼な。これは好奇心からくる実験だよ。死を表現した作品というものはこれまでたくさん存在しているが、自らが死んでみるのはどうかと考えたわけさ」


 岩崎に怒鳴られても、塩井から一切謝罪の言葉は出ない。これだけ人騒がせな事をしておいて、せめて一言詫びを入れるべきではないだろうか。あやうく警察が来るところだったわけだし。

 

 「そこで私はまず、おもちゃのナイフと血のりを用意した。死に場所には悩んだが、やはり部室が一番だろうと思ってな。屋上という手も考えてみたが、誰にも見つからずにスルーされそうだし、それは嫌だからやめておいた」


 そして不幸なことに、岩崎が第一発見者になってしまったわけだ。


 「私の死体を見た時の岩崎のリアクション、傑作だったぞ。普段はガサツな感じだが、あんな可愛い悲鳴をあげるなんてな」


 「う、うっさいわボケ!ホンマにびっくりしたんやからな!」

 

 「しっかり映像も撮っておいたぞ。香月、橘、見たまえ」


 「おい待てや!」


 岩崎が止める前に、塩井が録画した映像の再生を始めた。


 まず映っていたのは、部室の床に倒れこむ塩井の死体。誰かが来るのを待っているところだ。指先一つ微動だにしないのは、死体になりきるというプロ根性を感じる。


 数分後、扉を開けて入ってきた岩崎が腰を抜かした。


 『きゃああああああ!』

 

 岩崎らしからぬ甲高い悲鳴は、バッチリ録音されていた。


 「消せ、それ消せ!」


 「ダメだ消さない。私の死体アートの記録なんだから」


 「塩井部長。その映像、私にも送ってもらっていいですか」


 「橘まで何言うとんねん!」


 「いやはや、死体アートは大成功だ。なかなか貴重な経験だったよ。人前で死んでみるのが癖になりそうだ」

 

 「絶対にもうやらないでくださいよ。先輩のせいで、また雄大とのデートなくなったんですから!」


 塩井は最後まで、謝罪の言葉を口にしなかった。


 そして癖になってしまったというのは本当のようで、翌日に塩井はまた死体で発見された。


 よりによって、生徒会室で。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ