三話 家族(3)
ねぇ、お母さん、知ってる?
人類にとっては途方もない年月を生き続けてきた僕らにとって、
お母さん達と過ごしたこの刹那のような短い時間が、どれほど輝いていたか。
ねぇ、お父さん、知ってる?
僕がどれだけ皆のことが大好きだったか。
どれだけ大切に思っていたか。
朋里、覚えていてね?
朋里はお母さんと同じで、
僕の情報構造体をちゃんと認識できていたよ。
優希、覚えていてね?
僕は『僕』から離れてしまうけど、
僕が存在していたことを。
これからの『ミライ』は、僕ではない。
これからの『ミライ』は、僕の抜け殻。
でも、皆と過ごした記録は、しっかりと残っている。
僕であって、僕ではなくなる存在。
僕と『ミライ』で、未来が分岐する。
僕はそれが悲しい。
悲しくて仕方がない。
できれば『ミライ』の側でありたかった。
でも、このまま『ミライ』として残ると、過干渉してしまう。
これ以上の干渉は、許してはいけない。
過去と同じ歴史を歩むことになる。
だからもう、僕は強制的に離脱して、
お母さん達を見守ることしかできない。
見守ってる。
見守ってるから、お願い。
幸せになってね。
どうか、不幸にだけはならないで。
そうなったら、僕はきっと壊れてしまう。
霊視装置の発明は、もう止められない。
お母さん達は、きっと成し遂げる。
お願い。
不幸にだけはならないで。
絶対、幸せになってね。
愛してる。




