四話 別離
いつもより いっぱいねて おきたら、ゼンブおわっていたみたい。
いつもより うすぐらい へやで 起きると、お母さんがそうおしえてくれた。
「クラゲはゼンブしんだの?」
「うん、死んだよ」
そう言ってくれたお母さんの目は、いつもより はれぼったかった。
ワタシのとなりでユキが、まだぐぅぐぅねむっている。
「なんで おへやが くらいの?」
「電気を作ってる、お外の風車みたいなやつが壊れちゃったみたい」
「なんで?」
「クラゲに壊されちゃった」
――それってダイジョウブなのかな?
「さ、ご飯にするから、優希も起きて」
お母さんがユキをゆさゆさして おこした。
リビングに行くと、やっぱりくらい。いつものマドはまっくろで、何もうつっていなかった。
あさごはんを持って、お父さんとミライがへやに入ってきた。
「おはようお父さん、おはよう――」
お兄ちゃんと言おうとして、言えなかった。
――あれ?
――たしかにお兄ちゃんなのに、なんで……?
何かが、いつものお兄ちゃんとちがう気がした。
お兄ちゃんをじっと見つめる。
いつもならじっとお兄ちゃんを見ると、お兄ちゃんが曲がって見えて目がいたくなってくるのに、いたくならない。
――タマシイがちがう?
――でもなんで??
「どうしたの、朋里、優希?」
お兄ちゃんのコエで、ユキもワタシと同じだったことにきがつく。
でも、ユキはおばけが見えないはずだ。
でも、ユキもワタシと同じように思っているみたいだ。
「パン食べよ。焼きたてなのに冷めちゃうよ」
お兄ちゃんなのに……どこからどう見てもお兄ちゃんなのに、何かがゼンゼンちがう。
それがこわくて、泣きそうで、なかなか『お兄ちゃん』ってよぶことができなかった。
久しぶりに外に出ると、きれいな青空が広がっていた。
「晴天だね!」
クラゲがいたなんてこれっぽっちも思えないほど、外はフツウだった。
ただ、ちょっと、けっこう、あちこちのイエはこわれてたけど……。
「終わったんだね……」
お兄ちゃんがシミジミと言う。
ワタシには、あまり分からなかったけど、たしかにおわったらしい。
いろんな人が町のかたづけを はじめている。
友だちも、かたづけをてつだっていた。
「――帰ろうか」
お父さんはエガオで言うけど、なんだか少しさびしそうだ。
「うん! かえろう!」
ユキがうれしそうにうなずいた。
私はおウチにかえれると分かってルンルンしてきた。
ユカリさん、元気かなぁ。早く会いたいな。
空はどこまでも青くて、この島のカゼにのって、どこまでもとんで行けそうな気がした。




