スペクルム ” 印を持つ者と7人の魔導師達”
54面
魔法書を見直すために七人はまた禁忌書庫に集まった。
「魔法書何度も見直してるよな!」
語気を強めてウィーゴは言った、癒し系トゥーリオがやんわりと宥める《なだ》様に言った。
「そんなにイライラするな」
「スペクルムが割れてもう六年だぞ」
「そうだけど……みんなで一枚のスペクルムを造る事に成功したし」
「成功したからってそれで終わりじゃないだろ」
「ああ、そうだ!」
何故割れたのか?王子を救い出す魔導師が本当に自分達なのか?救い出す術はあるのか?疑問ばかりで何の答えも出ていない。
「神々の島……なんとかこの島へ行く事はできないか?この先はこの神々の島へ行くことでもう一歩進めるような気がするんだ」
「必ず魔法陣が何処かに書かれているはずだよね、それを探そう」
「森かな、やっぱりあるとしたら」
「うん、そう考えるのが妥当な線だろう」
「じゃあ早速明日にでも森に入ってみよう、前回探したときは範囲が狭かったのかもしれないね、今度は川に沿って下流まで行ってみない?」
するとみんなが首からぶら下げているスペクルムがチカっと光った。
一斉にみんなの視線がそれに落ちる。
「あ!」
そこに映ったのは雨だ! しかも音付き!!
「ねぇこれって明日雨ってこと?」
「……多分」
「なんかここに来てやっとちゃんとした使い方が出来たようだね」
「はは……」
七人の顔色は青かったり白かったりと微妙だ。
「僕達はあまりにも何もしてこなかったんだね」
「してこなかったとい言うか、見ないふりをしていたのかもな」
翌日は雨だった、当たりだ。
この印を持っているだけでコーライズでは安定した生活が送れている。それが当たり前のようになっている事で魔法に対して研鑽を積むことすら忘れていたなんて恥じるべきだな。
「森に行ってくれるか?」
「え!イクシスは行かないの?」
「イージスに行って来ようと思う、テシウスに会って来るよ」
「ふぅ〜ん ま、いいけど、なんで?」
「フィヨルドの双子と一緒に魔法を教える約束をしてる、次の段階に進めようと思ってな三人同時の方がいいから、イージスの国王は双子がフィヨルドの王女だって事は知っているからテシウスを自分たちの弟子だって事にして一緒にフィヨルドに連れて行こうと思う」
「なるほど!」 ハントは感心した。
「感心してる場合かよ」 イクシスは小さくため息を漏らす。
「俺はいつもついて行くだけだからな」
何を威張っているのやら、やれやれと思いながら呆れた顔でハントを見た。
スペクルムで天気を確認し四日後にイクシスとハント以外は森へ、二人はイージスへと向かった。
森へ向かった一行はまず川まで出た、川に沿って下流へと足を進めた。木々の間から陽の光が上質なシルクのように白く輝き小さな動物を包み込んでいた、私達の足音に少し驚いたようで茂みの隠れる、緊張している私達の心がゆっくりと溶けて行くようだ。
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一方イクシスはハンドと二人でイージスに向かった。
「今日は手伝えよ」むすっとした顔で目を細めた。
「うん、まぁ頑張る、が、元々無口だし俺」
「威張るな!」
「今日はこの城の庭に魔法陣を描いておこうと思う今後必要になるような気がするんだ」
「イクシスの勘って当たるよな」
「勘ねぇ〜まあ、あたらずも遠からずってとこか」
そんな他愛もない話をしていると城についた。
「ご無沙汰しております、イクシス様」
「お久しぶりです、皆さんお元気でしたか? あれ?国王陛下は?」
陛下にテシウスを連れて行きたくて許可をもらいたかったのだが……連絡はいっているはずだが。
「申し訳ございません、遅れておりまして陛下が来るまでテシウス様とご一緒して頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
「それは構いません。じゃ〜テシウス向こうで魔法の練習をしよう」
「はい」
三人は城からはちょっと見えにくい場所を選んだ。
「ここで練習するの?」
「ああそうだ、テシウスこれを」
イクシスはそう言うと一冊のノートを渡した。
「これは何?」 ページをめくっていくテシウスの顔がパッと明るくなる。
「魔法陣だ!!たくさん書いてある。これ、これ僕にくれるの」
「ああ、この魔法陣はこれから君達三人が必要になると思われるものが書いてある。ここにある魔法陣を覚えなさい、必ず役に立つから」
「はい!」
テシウスは力強く返事をした、瞳にはこの魔法陣に対しての期待が見てとれた。
「三人って事は、ソニアとマリールにもあるのですか?」
「勿論」
「そして何かあった時は三人が力を合わせて乗り切りなさい」
「分かりました」
「これから魔法陣の書き方を教えるよ、まず移動する為の魔法陣をここに描く、今までは自分の中の潜在的な魔法を引き出すための練習だった安定して使うためだよ。テシウスは僕と同じクリスタル色をしている」
「クリスタル?」
「そう、クリスタル。この色を持った者は、火、水、風、空間、土と植物、回復と癒し。これらを全て持ってるんだ」
「それって最強って事?」
「はは そうかもしれないね」
その言葉に納得したようにハントは言った。
「いや、そうだ最強だ!僕たち七人の中でも一番魔力が強いんだ、イクシスは」
「凄い!!ソニア達は?」
「ソニアは空間、マリールは火の魔法が主だよ」
「早速やってみようよく見てて」
「主たるイクシスが創る、空間の移動陣」イクシスが唱える。
イクシスの掌から光が放たれたそして地面へと、それはゆっくりと広がり大人が三人ほど入れる魔法陣が現れる、淡くやわらな光は緑に輝く芝生をさらに輝かせ静寂に包まれた、光に包まれた魔法陣を見るテシウス、瞳がキラキラと輝きを放ち期待に大きく見開いていた。
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「はぁー凄い」思わずため息が漏れた。
イクシスは優しく微笑みながら言った。
「いいかいテシウス、君が創る時には、”主たるテシウスが創る” と言うんだ、そして覚えた魔法陣を言葉に出す、例えば”癒しの花を咲かせよ” とか。そして頭に中で描いた陣を自分の掌に乗せるそして描きたい場所にそれを落とすようにするんだ。全てイメージだよ。どう理解できたかな?」
「うん!イメージが大事なんだねでも僕にも出来るかな?ちょっとまだ自信が無いよ」
不安そうな顔でイクシスを見つめる。
「最初から上手くはいかないしっかり練習するんだ、何度も何度も覚えた魔法陣を頭の中で描いて。最初は小さく、成功したら徐々に大きくして。この移動陣は入口と出口になる、移動指定所にも陣がないと移動出来ないだから行った事のない場所へは行けない、よく覚えといて、いいね!」
「うん分かった! ねぇこれはこのまま?人に見つからないように出来るの?」
イクシスが手本を見せる。
「うん、手を左右に振って消すイメージで消せる、出したい時は陣を思い浮かべて手をかざせば出てくる但し一度描いた場所だけだ、描いた事のない場所には必ず暗唱してね」
「イクシスこの魔法陣で移動できるの?」
「出来るとも、この陣は私達のコーライズの図書室につながっているんだ」
「イクシス行きたい、僕行きたい」目を輝かせたテシウスをイクシスは愛おしく思った。
「ああ、そのことで今日は君の父上に話があって来たんだ」
三人はテシウスの部屋へと帰ってきた。
「早く行きたい、お父様は何をしてるんだろう遅いなぁ」
何かあったのだろうか?こんなに待たされるとは…… よくない事が起きるのか。
そう思っていた時だった二人の胸元のスペクルムがチッカっと光った、ハントと視線が合う。二人の視線は胸元のそれへと落ちる。
そこに映ったものそれは激しく燃え盛る城だった。
これは……? そこへ息を切らせた国王が部屋へ入って来た。
「すまぬ、遅くなった……」
「い いえ、大丈夫です。それよりどうされましたか?何か……」
国王がイクシスの言葉を遮った。
「少し頼まれてもらいたい事がある」
イクシスとハントは顔を見合わせる。先程のスペクルムに写った光景が脳裏を掠めた《かす》。
もしかして先ほどの光景はイージスの事だったのだろうか。
その考えはすぐ疑念から確信に変わった。
「これから話す事は私達のいや、この国に関わる事柄だ、テシウス……一年以内に私達はこの国を追われる事になるだろう、もしかしたら......」
それは命も無いと言う事だろうか。私やハントにとっても衝撃をもたらした。
テシウスは自分の父親の言葉の意味がピンと来ていないようで、きょとんとしている、当然だ。
「陛下、それは……」
「王弟に当たる イラーザルが私に世継がいない事で国王の座を譲れと。イラーザルに世継ぎが出来た事で自分がこの国を納めるに相応しいと……」
なるほどよくあるお家騒動だ、貴族同士の争いは親兄弟など全く関係ないただただそこにあるのは私利私欲のみだ。




