第九話 近付く嵐
「そんな過去が…」
「私は拷問に耐えきれず別荘を提供した事を話してしまいました。
それでも彼は時々連絡をくれて何が起きたかを話してくれていたんです」
「話してくれてありがとう」
「私はあの悲劇を伝えていかねばなりません。
では失礼します」
老人は一礼して去っていく。
「アウル、ラウドって人は話し合いでは止まらないでしょうね」
「彼の目的は人類の進化を潰す事と言ってもいい。
私達に勝てるかしら…」
「勝つの!勝って争いを無くさないと!」
見つめ合い二人は決意を新たにする。
その頃、両国では大規模な戦闘の準備が行われていた。
「陛下、エルドクロイツが帰還しました!」
「分かった、通せ」
兵士が部屋を出ててしばらくすると四人の男達が入ってくる。
「エルドクロイツ、ハルシュ・ボルデン帰還しました」
「エルドクロイツ、レイス・タルツァー帰還しました」
「エルドクロイツ、ダールス・シュツァル帰還しました」
「エルドクロイツ、バナール・リュカイル帰還しました」
クルードの前に四人が整列して敬礼した。
「お前達の活躍は我が帝国に素晴らしい結果を生んでいる。
今回お前達を召集したのはハイド皇国との総力戦の為だ」
「いよいよですね」
「お前達は確かに強い…が油断はするな。
敵のイージスカーテンを無効化する為に敢えて我が領土近くまで侵攻させるが、一歩間違えれば敗北する」
「このレイスが決してクルードの地を踏ませる事はさせません!」
「頼もしいな。
しかし、向こうも厄介な連中を引っ張りだしたようだ」
「厄介な連中とは?」
「三神…」
時を同じくしてハイド皇国玉座の間に二人の男と女が一人が訪れる。
「スヴァローグ・フィリット、面倒だが来てやったぞ」
「スヴァローグ陛下の御前だぞ!
ダジボーグ・トゥルド命により参上いたしました」
「あんた達も変わらないね。
ペルーン・ナクル戻りました」
「おお!来てくれたか!
現役を引退したお前達の力を貸してほしいのだ」
「それはいいがバカ息子のアルファは何処に行った?」
スヴァローグは周囲を見渡す。
「お前達の子供達は娘アウルの護衛に就かせておる」
「レベッカを護衛に…あの娘はちゃんとやれていますか?」
「心配せずとも三人はよくやってくれておる。
それよりお前達にはクルード帝国との総力戦の指揮を執ってもらいたい」
「でも私達の機体はオンボロだよ?」
「心配はいらん」
ハイドが兵士に手で合図を送ると格納庫の映像が映し出される。
「こいつは!?」
「懐かしいですね」
「楽しみだね」
三体の機体が映り三人は目を輝かせた。
「お前達の機体をベースに作らせた最新機じゃ」




