第八話 終わりと始まり
身を隠してから2年が過ぎ、マッドとハルスはさらに進んだメテオレイド加工技術を確立し二隻の戦艦を造り上げていた。
「後はネオアーマーを超える機動兵器を…ごほっごほっ!」
「お父さん!」
マッドは血を吐きその場で倒れる。
「もう長くはなさそうだ」
「何言ってるんですか!?
僕たちの目的はまだ達成してませんよ!」
「世界から兵器を無くし争いが起きぬように見守る。
悔しいがこの体では…」
「お父さん…」
「ハルス、CLSを使う」
「CLSですか?
しかしあれは未完成の技術。
写した精神へのダメージはかなり大きい」
「大丈夫、改良しわしが完成させた」
「いつの間に…ですが肉体は」
「処分してくれ。
そうすれば半永久的に生きられる。
わしは罪を償わなくてはいかん。
恐ろしい技術を生み出した罪を」
「…わかりました。
ミレーヌには僕が話します」
「すまんな」
ハルスがミレーヌに全てを話すと涙を堪え小さく頷く。
「では始めます」
こうしてマッドの精神は戦艦へ移され肉体は火葬された。
「ハルス、戦艦は出来たか?」
「兄さん。
注文通り出来たよ」
「なかなかいいじゃねぇか!
黒色が似合うぜ。
そっちのはなんだ?」
「わしらの目的を達成させる為の戦艦じゃ」
「な、どっから声が!?」
辺りを見渡すガイスを見て思わず吹き出すハルス。
「お父さんの精神をこの戦艦に移したんだよ。
兄さんの間抜けな顔久々に見た…ハハハハ」
「笑うな!
そんな事もできんだな」
「わしは天才じゃからな!
ん?」
「どうしました?」
「まずい!敵がここを見つけたようじゃ!」
「ミレーヌ!ラウド!」
ハルスは慌てて別荘へ走り出す。
「ガイス、ハルス達を!」
「分かってるよ!」
ガイスはハルスの後を追う。
「ラウド、お昼食べるわよ」
「はーい!
パパは?」
「またおじいちゃんの所かしらね」
「じいちゃんの所行きたい!」
「ご飯食べてからね」
「うん!」
その時、別荘のドアが勢いよく開く。
「ハル…!?」
ハルスが別荘に近付いた時、銃声が鳴り響いた。
「ミレーヌ!」
別荘へ入ると銃を手にした数人の男達と血を流し床に倒れるミレーヌの傍らで泣きじゃくるラウドの姿に頭が真っ白になるハルス。
「こいつが標的の一人か。
ガキを黙らせろ!」
「やめろ!」
ハルスの叫び声と同時に数発の銃声が響き男達は床に倒れた。
「はぁ…はぁ…」
「兄さん…そうだミレーヌ!」
ハルスはミレーヌのを抱き起こす。
「ハル…ス…ごめん…なさ…い」
「どうして君が謝るんだ!
君を守るって誓ったのに…許してくれ」
涙を流すハルスの頬に触れ笑みを浮かべるミレーヌ。
「ママーママー!死んじゃやだー!」
「ハルス、まだ敵はいる。
早く逃げるぞ!」
「分かってる…兄さん、ラウドを頼む。
僕はミレーヌを連れていく」
「ハルス…(あの傷じゃもう…)
いくぞ!」
ガイスはラウドを抱き上げ、ハルスと共に洞窟へと向かう。
「くそっ!ここまで来やがったか!」
「兄さん…先に行ってくれ」
「何バカな事言ってんだ!
もう少し…お前!」
ミレーヌのものとは違う血がハルスの腹から流れていた。
「お前撃たれてたのか!」
「別荘を離れた時に…場所が…悪いみたいだ…」
「くそっ!
ラウドを置いたらすぐ助けに来るから待ってろ!」
「ラウドを…お願い…」
「パパー!ママー!離してー!」
ラウドをしっかりと抱え洞窟へ向かうガイス。
「ミレーヌ…ミレーヌ…」
「ハルス…」
「ごめん…助けれそうにないや…でも…君と一緒に…」
「見つけたぞ!」
「ハルス…あい…してる…」
「僕も…愛してる…」
追っ手が近付いた時、ハルスの手から箱が転がり周囲を光りが包み爆炎が飲み込む。
「ハルス!?」
「パパー!ママー!」
泣き叫ぶラウドの口を押さえ、強く噛みつかれ血を流しながらもガイスは走り抜けた。
「ガイス!ハルスとミレーヌは?」
「…すまない」
「くっ、涙も流せんとは!許してくれ…」
「こいつが一人前になるまで面倒を俺が見る!」
それからガイスに鍛えられラウドは20歳になった日の夜、ある屋敷の寝室に忍び込む。
「起きろ。
おい、起きろ」
銃口を眠る老人の口に突っ込むラウド。
「んんー!」
「お前は喋らなくていい。
俺の名前はラウド・ウィラー。
お前が命を狙ったマッド・ウィラーの孫だ」
「んん!んん!」
「別にあんたに憎しみがあるわけでもない。
ガキの頃に両親が死んだがたいして思い出せないしな。
ただ、息子としては果たさないといけない義務がある。
ま、あんたはただの次いでだ…眠れ」
寝室に銃声が響き、死体と火薬の香りだけが残っていた。




