第七話 逃走と海賊
ドアが勢いよく開く音と共にマッドが息を切らしながら家に入る。
「どうしたの父さん?」
「み、水を!」
「先生、研究所に行ったんじゃ?」
「はい水」
ミレーヌの差し出した水を一気に飲み干すマッド。
「はぁはぁ…所長が研究成果を公表しないと…」
「そんな!あれは人類が更なる一歩を踏み出せる物です!
それを公表しないなんて!」
「あなた」
「怒鳴ってすみません。
どうしますか?」
「ここにいる訳にはいかんな…ミレーヌ必要な物だけ持ち出す準備を。
ハルス、すまない…将来がある君まで巻き込んでしまって」
「先生、僕はもうウィラー家の人間です。
どんな道でもついていきます!」
「ありがとう…必要な資料をだけを持って後は処分しよう。
あの所長には渡せない」
「はい!」
それからしばらくして身支度を終えリビングに集まっていた。
「信頼出来る私の友人には事情を説明した。
一旦友人の別荘に身を隠そう」
「僕も古い知り合いに協力を頼みました。
気紛れな相手なんでどうなるかは分かりませんが」
「父さん!」
ふと窓の外を見た指を差しミレーヌが叫ぶ。
「なんだあいつらは」
窓の外には銃を持った男達が家を取り囲んでいた。
「先生どうすれば…」
「心配はいらん!
こっちじゃ!」
マッドは研究室へ向かい、壁に掛けてある人物画の目を指で押す。
「これは…」
「念の為作っておいた脱出口だ。
少々カビ臭いが我慢だがな」
マッド達は脱出口を進み海岸へと出た。
「よし!」
マッドが装置を取り出しボタンを押すと家が爆発し脱出口が塞がれる。
「ば、爆破させたんですか!?」
「用心の為だよ」
「父さん…もし私達が居る時に作動したらどうするのよ!」
「い、いや、ちゃんと安全装置はついていたから大丈夫!」
「そう言う問題じゃないでしょ!
全く!行くわよ」
「はい…」
「女性はこういう時でも強いですね」
「女は強い。
母さんにますます似てきてる」
それから船でマッドの友人に借りた別荘へと向かい、そこでしばらく平穏に暮らしていた。
「…」
「お父さんどうしたんですか?」
「いや、これからどうしたもんかとな」
「いずれここも見つかるかもしれませんしね…実は相談が」
「ん?」
ハルスはマッドを連れてとある山奥へと向かう。
「こんな所に何があるんだ?」
「もうすぐです」
しばらく進み行き止まりへと出る。
「行き止まりじゃないか。
ここに何が…」
その時、大きな岩の中へと進むハルス。
「こちらです」
「ホログラフか!」
二人は中へ入っていき開けた場所へとたどり着く。
「来たか」
「ん?ど、ど、どうなってる!」
マッドが声のする方を見るとハルスと同じ顔の男が立っていた。
「紹介します。
双子の兄ガイスです」
「よろしくなおっさん!」
「兄さん!」
「怒んなよ。
俺は宇宙で海賊をしてる。
両親が死んでから長い間連絡を取ってなかったが、急に助けを求められてな」
「そうだったのか。
ありがとう」
「礼を言うのはまだ早いぜ。
おい!」
ガイスの合図でライトが付き、眩しさで目を閉じゆっくりと開けた目に飛び込んで来た光景に驚き声を失うマッド。
「持って来たぜ!メテオレイドだ!」
大きな塊から小さな物までメテオレイドが大量に並んでいた。




