第六話 科学者
「ついに成功した!」
マッドはゴーグルを外し目の前にある変形したメテオレイドを手に取る。
「やりましたね先生!」
「ハルス、君が居てくれたからだ。
ありがとう」
ハルスとマッドは握手をし満面の笑みを浮かべた。
「あなた、父さん、食事の用意が出来たわよ」
「ミレーヌ!ついに成功したんだよ!」
ハルスは部屋の入口にいるミレーヌを抱き締める。
「本当に!?おめでとう!
これで少しはラウドの相手をしてあげれるわね」
「ご、ごめん。
君ばかりにラウドを任せてしまって」
「フフフ、別に気にしてないわ。
父さんで慣れてるから」
「ゴホッゴホッ…め、飯にするかな」
足早に部屋を出ていくマッドに続いて二人も出ていく。
「あう~あ~」
「はい、あ~ん」
幼いラウドに離乳食を食べさせるミレーヌ。
「ハルス、そろそろウィラーの名前を変えてもいいんじゃないか?
君はもう一人前の科学者だ」
「いえ、僕なんてまだまだ。
それにウィラーの名前を世界に広めたいんです。
ラウドもウィラーの名を誇りに思ってくれるはずです」
「私はどっちでもいいわ。
この子が元気に育ってくれればね」
「まんま~」
「そうか。
いや~私はいい息子を持った!がっはっはっはっ!」
「ちょっと父さん!食べ物がこぼれてるでしょ!
母さんが天国で怒ってるわよ」
「すみません…」
楽しい夕食が終わり、翌日マッドは研究成果を研究所の所長に報告していた。
「よくやったマッド!」
「ありがとうございます!これを学会で発表すれば、人類は更に発展出来ます!」
「何を言っているんだ。
これは我々の為に使わなくてどうする?」
「所長、何を?」
「メテオレイドを加工して実験施設を作れば更なる実験が出来る!
資金は色んな国から引っ張れるかもな…そうすれば…」
「所長!これは人類が共有すべき技術です!
それを独占するなど」
「青臭い事を…いいか?我が研究所はお世辞にも世界の研究所と張り合えるレベルではない!
だが、この技術があれば不可能だった研究を進め、世界一の研究所になる事も夢ではないんだ!
君ももっと研究の幅を広げたいだろ?
大丈夫、悪いようにはしない」
「しかし!資金を得るために諸外国に技術を売るんですよね?」
「売ると言っても加工した物をだ。
技術の価値が下がってはいけないからね。
そうだ!もっと簡単に加工出来るようにならないかな?
今のままだとウォーアーマーを一機作るのにも時間が掛かりすぎる。
量産出来るようになれば、敵対する国同士に売れば更に」
「科学は平和の為にあるんです!争いを起こす道具ではない!」
「はぁ…科学はどの時代も争いに使われてきたんだ。
君が平和の為にと言った所で、いずれ他の科学者がこの技術を発見し争い使われる。
そうなってからでは遅いんだよ!
さ、議論は終わりだ」
「やはりあなたに報告するべきではなかった」
「なんだと?」
「あなたは以前にも研究成果を金儲けの為に売り渡した」
「金儲けの何が悪い?私達は多くの人間の為に時間を費やして色々な物を産み出した。
報酬を貰うのは当然だろ。
君の様な科学者がいるから我々は一向に評価されないんだ。
そうだな…君を副所長にしてあげよう!娘婿の彼には専属のユニットチームを与えようじゃないか!」
「…あなたは科学者ではない。
科学者は人が幸せに為るために、世界から少しでも悲しみが減るように頑張っているんだ!
確かに人々は画期的な技術も時が過ぎれば、産み出した科学者の事は忘れてしまう。
だが、それでも人々の役に立っていると分かっているはずだ!
新たな技術を産み、後に続く者が更なる物を産み出し世界を平和にする。
私はここを辞める。
お世話になりました」
マッドは所長室を出ていき、所長は電話の受話器を手にする。
「科学は金を生む技術だ。
もしもし、いい話があるんですが…はい…それと一つ片付けてほしい事が…」
技術を独占するため、所長の魔の手がマッド達に迫っていた。




