第五話 密会
ハイド皇国の研究所が襲われた翌日、アウルはアルファ、レベッカ、クインと一緒に城を抜け出し、街から離れたボロ小屋に来ていた。
「クインとレベッカは見張りをお願い」
「わかったわ。気を付けてね」
「アルファ、姫様を頼むよ」
「任せろ!」
アウルが床にある小さな穴に指を差し込むと、床が開き階段が現れる。
「行ってきます」
二人は階段を下りていき、しばらくすると岩肌に囲まれた場所にたどり着く。
「急がないと」
アルファがライトを手に正面にある洞窟を進む。
「アウル」
「何?」
「お前はどこまで覚悟を決めてるんだ?
俺達はお前に一生ついていくと決めてるからいいが、お前の覚悟が半端なら…」
「私はお父様と…いえ、ハイド皇国と戦う事になっても決意は揺るがない」
「そうか…安心したよ。
けどあんまり無茶な行動は控えろよ」
「うん!」
二人は更に奥へ進むと、地下水の流れる大きな空洞に出た。
「ジェミー!」
空洞の真ん中に男女を見つけると、呼び掛けながら走り出すアウル。
「アウル!」
ジェミーは走ってくるアウルを受け止め抱き締める。
「アウル、ごめんなさい…あなたの国を傷付けてしまった」
「謝らないで!ジェミーは悪くないわ」
「よっ、久しぶりだな」
「相変わらず騎士らしさに欠ける男だな」
「うるせぇ!お前みたいに堅物じゃ人生楽しめないだろ」
そう言って拳を突き合わせる黒い鎧を着た男とアルファ。
「そうだ!あれが完成したの!ブレイド、アウルに見せてきてもいいかしら?」
「わかりました。では、私とアルファはここでお待ちしております」
ジェミーはアウルの手を引き、近くの壁に触れ現れたパネルに数字を打ち込み、壁に扉を出現させる。
「行きましょう!」
「ええ!」
「しかし本当に仲が良いな」
「まるで姉妹の様だ。
だからこそ志も同じなのだろう」
「お前はどこまで覚悟持ってるんだ?」
「私はジェミー様の進まれる道ならどこまでもついていく!」
「クルード帝国の黒狼騎士団団長が骨抜きとはな」
「なっ!お前の思っているような不純な物ではない!」
「怒んなって!
でもあの二人の芯の強さには頭が下がるがな」
「このような時代でなければな…」
その頃、アウルとジェミーは明かりが見える方へと進み、とてつもなく大きな空洞に出る。
「見て!これが私達の願いを叶える為の力」
「スペランツァリヒトとヴェルトムート…完成したのね」
空洞には巨大な戦艦が二隻並んでいた。
「クルードとハイドの力を合わせた最高傑作!
後は賛同する人達でネオアーマー部隊を結成すれば戦いを止められる!」
「ジェミーはお兄さんと戦える?」
「…お兄様は優しい人だった。
でも、お父様が亡くなって皇位に就いてからは人が変わってしまったわ。
今のお兄様はクルードの為なら全てを焼き払う程残酷に…だから私が止めないと!」
涙を堪えるジェミーを優しく抱き締めるアウル。
「大丈夫、私が一緒にいるから。
争いを止めて全てを取り戻すの」
「…ありがとうアウル。
そうだ、アウルがアンノウンと接触したって聞いたけど本当?」
「ええ…恐ろしい人だった。
ラウド・ウィラーとマッド・ウィラー」
その時、アウルの話を聞いた一人の老人が二人に駆け寄る。
「ア、アウル様!今なんとおっしゃいましたか!?」
「え?ラウド・ウィラーとマッド・ウィラー」
その言葉を聞き老人の顔が青ざめた。
「マッド・ウィラー…生きていたのか」
「知り合いなの?」
「とんでもない!かつて世界中の研究者が目標とした天才科学者です。
恐らく彼を越える者は現れないでしょう」
「そんなすごい人だったの」
「待って、そんなすごい科学者ならクルードでも話題になってもいいはずなのに、初めて聞いたわよ?」
「彼は…闇に葬られた天才なのです」
天才科学者マッドの隠された悲劇が時を経て明らかになる。




