第十三話 矛と盾
「戦況はどうなってる?」
「地上のスヴァローグ、スヴェル隊は敵新型機と交戦し一進一退です!
ペルーン、ヨシュア隊も敵新型機と交戦…これは押されてる?」
「どうした?」
「それが空中部隊が押されてるのですが敵主力艦が前に出てきていて」
「主力艦が?
(それほど優勢だった訳でもないのになぜ…中央から突っ切る気なのか?)」
「ダジボーグ様どうしますか?」
「守備部隊を援軍に向かわせろ!」
「しかしそれでは本艦の守りが手薄に…」
「心配ない。
守備には私が出る!」
「ダジボーグ様が!?
わ、分かりました!」
「シーマス艦長、後の指揮はお任せします」
「分かりました。
お気を付けて」
シーマスに席を譲り出ていくダジボーグ。
「メスト大佐、敵守備部隊がこちらに近付いて来ます」
「警戒して守備隊を前に出したか。
よし!トールグラビティ発射準備!
前線の部隊に120秒後に発射すると伝えろ」
ノスティルガルの船首が二つに別れ間にエネルギーを溜め始める。
「シーマス艦長!敵主力艦に高エネルギー反応!
そんな!?」
「何があった?」
「このエネルギー量だと本艦は持ちません!」
「ここまで届く程の主砲か…デュナミスを防御モードに移行し全エネルギーをイージスシェルに回せ!
敵主力艦前方の部隊に退避命令、総員衝撃に備えろ!」
デュナミスの船首と船尾から大きな球体が現れ光り出すと虹色の光りが覆っていく。
「メスト大佐発射準備完了しました!」
「トールグラビティ発射!」
ノスティルガルから凄まじい光りが放たれデュナミスを飲み込む。
「消え失せろ」
光りは徐々に弱くなり消えていく。
「墜ちたか?」
「…い、いえ!無傷です!」
「トールグラビティを防いだだと?
そんなバカな」
「うっ…なんとか持ちこたえたようだな。
被害状況は?」
「問題ありません。
しかしギリギリ防いだようで残りのエネルギーが…」
「もう一撃くれば終わりか…今のを解析して射程及び範囲を特定しろ」
「了解しました!」
少しして再び空中部隊の戦闘が開始された。
「もう一度トールグラビティの準備だ!」
「ダメです!
今ので船首のエネルギー反射装置が一部損傷!
修復にはかなり時間が…」
「くっ!出力を上げ過ぎたか。
修復を急がせろ!」
その頃、ダジボーグの乗ったフラベスに近付く機影。
「新手…しかしこの方角からとなると伏兵?」
フラベスのコックピットに近付く機体が映し出される。
「これは…アンノウン!?」
「一つずつ潰していくか」
戦場へと近付くラウドの姿があった。