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第7章 紫煙の幻影:四天王ヴェインの襲撃

その時——。

部屋の中に、どこからともなく甘く香ばしい、チョコレートのような香りが漂い始めた。

「な……んだ、この甘い匂い……」

「しまっ——二人とも、息を止めて!!」

サラが叫ぶと同時に、周囲の空間がぐにゃりと歪み始めた。

廃ビルだったはずの壁や天井が溶け落ち、漆黒の闇と不気味な紫色の大気が広がる。

「フフフ……洗脳が解けたと思えば、さっそくお喋りが過ぎるぞ、サラ」

闇の奥から、ゆらりと現れる黒いシルエット。

男が口にくわえているのは、甘美な香りを放つ黒い細身の煙草——『ブラックストーン』。

「『四天王』がひとり……《漆黒の幻影》ヴェイン……!」

サラが警戒の吐息を漏らす。

「裏切り者には死を。洗脳の解けた人形と未汚染体は回収する……。この甘い幻覚の牢獄の中で、踊り疲れて死ぬがいい」

ヴェインが紫煙を吹き出すと、暗闇から無数の黒い刃が飛び出し、あらゆる方角から三人へ襲いかかった!

「メイ、俺の後ろに引っ込んでろ!」

タツミはサラから受け取った『ラッキーストライク』を口にくわえ、ライターの火を走らせる。

カチリ。

「タツミ君、私に任せて! 今度は私が、貴方とメイちゃんを守るわ!」

サラもまた、自らの意思で『ピアニッシモ・アイシス』に着火。

静かな冷気と、熱く爆発的な火花が同時に弾けた。

かつて屋上で夕焼けの紫煙を眺めた「先生と生徒」が、いまや最強の「相棒」として背中を預け合う。

「行くぞ、サラさん!」

「ええ、行きましょう、タツミ君!」

四天王が放つ甘美な暗黒の試練に対し、二つの煙が織りなす反撃の火蓋が、いま切って落とされた——!

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