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第7.5章 ヒーローの雄叫び!


「甘いなっ!

四天王だか何だかしらないがっ…

ヒーローとヒロインが勝つって、決まってるんだよ…。

バカめ!

この状況で戯言を

先生っ、煙草交換だっ!」


「フハハハッ! ヒーローとヒロインだと!? 幻術の闇の中で正気を失ったか、哀れな小僧が!!」

黒い煙の中から、ヴェインの嘲笑が響き渡る。

『ブラックストーン』の甘く濃厚な煙が、空間の上下左右を歪め、無限の刃となって二人へ襲いかかる。

「戯言かどうか……試してみるかいっ! 先生、煙草交換だっ!!」

「えっ……タツミ君!?」

驚愕するサラに向かって、タツミは己の『ラッキーストライク』を投げつけ、サラの指先から『ピアニッシモ・アイシス』を交差するように奪い取った。

「お兄さん!? 人の煙草を交換して吸うなんて……ッ!?」

背中でメイが悲鳴をあげる。

異種銘柄の同時吸入は肉体を破壊する。

ならば——「お互いの銘柄を入れ替えて吸う」ならどうだ!?

カチリ。

タツミが絶対零度の氷煙『ピアニッシモ・アイシス』を肺いっぱいに吸い込み、

サラが灼熱の爆炎『ラッキーストライク』をその胸に流し込む。

> 《特殊共鳴:クロスマッチ・イグニッション》

> 《魂の同調率 100%——絆の相互活性化》

「——ッガアアアアアッ!!!」

ふたりの全身から、爆発的な光が吹き荒れた。

男であるタツミの「熱い血のパワー」が、サラの氷の特性と融合。

冷酷な絶対零度ではなく、すべての分子運動を【完全停止(フリーズ)】させる、神速の《絶対停止領域(ゼルド・フィールド)》が展開される!

対するサラは、そのしなやかな肉体にタツミの爆風を宿し、幾重にも重なる『氷炎の翼』を背中に羽ばたかせた!

「な……ッ!? 銘柄を入れ替えただけで……能力が変質・進化しているだと!?」

迫り来るヴェインの黒い刃の群れ。

だが、タツミが一歩踏み出し、冷たい紫煙を吐き出した瞬間——

ガギィィィィンッ!!!!

幻覚空間の歪みそのものが、一瞬でカチコチに凍りつき、まるでガラスのようにヒビが入っていく。

「バカめ……! 先生と俺の『絆』を舐めるなよ!!」

「タツミ君、合わせて!!」

氷炎の翼を誇らしげに広げたサラが、音速を超えてヴェインの懐へと肉薄する。

タツミが空間ごとヴェインの動きを【停止】させ、そこへサラの爆炎を秘めた拳が叩き込まれる!

「はぁぁぁぁぁっ!!」

「バ、馬鹿なアァァァァッ!? この私が……四天王のこの私がぁぁぁっ!?」

ドガァァァァァンッ!!!!!

空間を支配していた甘い『ブラックストーン』の煙が、一瞬で粉々に砕け散った。

ヴェインの巨体が廃ビルの壁を突き破り、遥か彼方へと吹き飛んでいく。

暗闇が晴れ、月光が差し込む廃ビルの中。

銘柄を交わし合い、肩で息をするタツミとサラ。

「やった……やったねお兄さん! 先生!」

メイが背中から飛び降り、二人に抱きつく。

タツミは手に残ったピアニッシモを消し、サラへ『ラッキーストライク』を優しく手渡しながら、不敵にニッと笑ってみせた。

「言ったろ……四天王だかなんだか知らねえが、最後には俺たちが勝つってな!」


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