第六章:『氷煙の過去と純白の誓い』
涙の再会と、甘く騒がしい三角関係
夜風の吹き抜ける廃ビルの一室。
追撃を完全に振り切った暗闇の中で、タツミは震える手でフードを外した。
「サラさん……また会えて良かった……」
タツミの瞳から、こぼれ落ちた一筋の涙が頬を伝う。
「ホントに探したんだよ……! だけど、どこにも見つからなくて……っ!」
「バカね……タツミ君」
サラは優しく微笑むと、細い指先でタツミの目元の涙をそっと拭った。その手は、先ほどまでの冷酷な氷の感触が嘘のように、温かい。
「私の方こそ……ごめんね。ずっと暗い闇の中にいて、君のことやあんなに大切だった屋上のことまで忘れて……本当に、ひどいことをしたわ」
サラの瞳からもポロポロと涙が溢れ出し、二人は互いの存在をたしかめ合うようにそっと肩を寄せる。
——が、その感動的な再会の空気に、背後からあからさまに「ぶスッ」としたオーラが乱入してきた。
「む〜〜〜〜〜っ!!!」
タツミの背中にしがみついたまま、メイがこれ以上ないほど頬を膨らませていた。両手でタツミの服をぎゅーっと破れんばかりの力で握りしめている。
「お、お兄さんっ! 無事に助け出せたのは良かったけど……っ! さっきのキスは何!? 私とした後に、すぐ先生ともキスするなんて……浮気者! 破廉恥! たらしーっ!」
「へ、へんたぃ……!? 違うってメイ! あれは洗脳を解くための、不可抗力というか緊急避難的な……!」
「だめ! お兄さんは私が助けたんだから、私のお兄さんなの! 先生には渡さないんだから!」
「ふふっ」
嫉妬全開で張り合うメイの姿に、サラはかつての優しさを取り戻した表情でクスッと可憐に笑った。
「可愛いライバルが現れちゃったわね、タツミ君。……でもメイちゃん、私だって何年も前から彼を待っていたんだから、簡単に譲る気はないわよ?」
「なっ……先生ずるい! 大人の色気で惑わそうとしてるーっ!」
「おいおい、勘弁してくれよ……!」




