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第030話〈血に染まった月、墜ちる〉

すいませんが明日から投稿時間ずれて22時になります。

柊とプルが基地へ向かって走っていく。


基地間近で人影、ジャックを見かける。


「ジャック!無事か!」


「残念ながら、何もかも無事ではありません。」


ジャックは全身がボロボロであり、身に着けている服のいたるところが焼け焦げている。


その手にはトランクケースがあった。


「何があった!基地は!」


「だから、何もかもがおしまいなんですよ!ダニエルは何者かに寄生されて暴走し!タイタスとハイクを!私の目の前で殺しました!基地の壁も破壊され!今頃中に残ってるのはアンデッドだけです!」


「なッ!」


柊は驚愕する。


同時に、果てしない後悔が胸に押し寄せる。


「ぐ、クソッ!!」


「柊さん、私ももうすぐ死にます。その前にこれを。」


ジャックはトランクケースを柊に差し出す。


「これの中身は、スタビリート基地で創られたすべての技術が入ったメモリです。あなたが繋いでください。北東に進んでいけば、ダニエルの知り合いが治めているセクラマ基地があります。行く当てがないのならそちらへ。ここ(スタビリート基地)よりも設備がいいですよ。」


「わかった、だが、お前のケガはそこまで酷いようには……治療すれば必ず治る!一緒にその基地へ!」


ジャックが首を振る。


「いいえ、もう手遅れですよ。今の私は、スキルによって生まれたただの残留分身にすぎません。本体はもう死んでいます。もうじき私も消えます。」


「そんな……」


よく見れば、ジャックの肉体は半透明になりつつあり、あと何分持つのかもわからない。


「そのメモリはあと45分で中身が完全に消失します。その前に、保存を。ロックはかけていません。」


「……ああ。」


「ここ数日での判断であなたを信用してはいますが、くれぐれも悪用をしないでください。私は邪神側の殲滅よりも、人類の存続と発展のほうを望んでいるのですよ。」


「もちろんだ。」


柊はジャックからトランクケースを受け取り、収納空間にしまう。


「もう時間があまりありませんね……では最後に、分身の一体が、寄生されたダニエルの口からある名を聞いています。」


ジャックが一拍を置き、続ける。


「公爵、フラウロス。」


「フラウロスだと!?」


(ベリアルと同じ、ソロモン72柱の……ならダニエルは。)


「おそらく、それに寄生されたのでしょう。」


柊の中で、ふつふつと怒りが沸き起こる。


転移後に初めてできた、同じ転生者(アウターソウル)の仲間たちと変えるべき場所と呼べるもの。


出会ってから日は浅いが、それでも確かに親しさを感じていた。


なのに……


「安心しろジャック、お前たちの遺産も、想いも、無駄にはしない 。」


「それが聞けて、安心しましたよ。」


ジャックは最後に笑みを浮かべ、その身は完全に消失した。


「……ますたぁ、これからどうする?」


そばのプルに問われ、柊は躊躇する。


「わからない。だが、スタビリート基地のほうにはいかないほうがいいだろう。」


自分の目で見てしまえば、どうなるかわからない。


(俺の心は鉄のように硬くなったと思っていたが、まだ甘いみたいだな……)


「だから、迂回してジャックが言っていたセクラマ基地に進む。」


「うん、行こう……」


二人は収納空間から出したサイクロンに乗り、寄生されたダニエルに見つからないよう、可能な限り気配を殺し、大きく迂回してその基地を探しに向かう。




バイクを走らせる途中、柊はジャックから受け取ったトランクケースを開け、中のメモリをスマホに挿し、中のデータを保存する。


プルが横から適宜運転の補助をこなしていたので、事故は起きなかった。


幸い45分のタイムリミットが到着する前にはそれが完了した。


「これが、スタビリート基地の遺産……」


柊はそのデータを見ていく。


科学知識、魔術知識、兵器設計図などなど、様々なものがその中にあった。


柊はその中の一つに『魔弾』という項目に目を引かれる。


(魔弾?俺のがツェルモ鋼で作り出した古メタルジャケット弾とはまた違うみたいだな。)


その設計図にはこう書かれていた。


==================================

【魔弾】

正式名称:事前工程実行式魔術摘発弾


強度が十分で衝撃に強い金属の薬莢の内部に

魔法陣を刻み、巻いた金属を封入し、それを

何らかの魔術を蓄積、即座解放できる素材で

術式の激発を実行する。


【実験記録】

合金製の薬莢と固体化魔力を使用した試作品

を使用したが、個体魔力のエネルギーに薬莢

が耐えきれないうえ、個体か魔力では安定性

に欠けることで実現を断念。


【追記】

試作品の内部の金属は激発後に破壊され、

再使用が不可能になりました。

==================================


「これは、もしかして……」


柊は再転移以降ずっと収納空間にしまっていたあれを取り出す。


猩々緋(しょうじょうひ)結晶、これなら激発素材、雷管として使用できるかもしれない。薬莢はツェルモ鋼をいようすれば……!」


柊はスタビリート基地が崩壊したことで沈んでいた心を奮い立たせる。


「ジャック、タイタス、ハイク、そしてダニエル、仇はとるぞ。」

猩々緋(しょうじょうひ)結晶】

魔力との親和性が高い赤い結晶。

魔力を蓄積させることができ、その魔力は刺激を与えることで一気に流れ出す。

魔力を蓄積していない状態では黒曜石のように衝撃を加えると叩いた方向にきれいに割れる。


-蓄積(accumulate)撃発(Firing)解放(release)-


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