第010話〈熔鉄を行う者/プルスライムⅠ〉
水音がする方角、谷底へ進めば、湿気と瘴気濃度はさらに上昇し、だんだんと植物が見え始めてくる。
(地上はほとんどが砂と岩だったのに、上下で1000m離れただけでこうも違ってくるとは。)
ここの植物はほとんどが黒の森と似たような種が多いのか、黒色のものが多い。
残る物は青色で、それらは少しの光を帯びている。
足元にはせせらぎが流れており、蛍に似ているが見たことがない種の虫が飛び回っている。
美しい、と呑気に感傷に浸るつもりはなかった。
むしろ逆だ。
これほど豊かな水源と濃密な瘴気があるのなら、生態系の頂点に君臨する『王』がいないはずがない。
パチ、と足元で小さな水音が爆ぜた。
直後、種魔眼が捉えたのは、せせらぎの奥__漆黒の植物が群生する水路の闇から、津波のように押し寄せる巨大な質量だった。
(――来たか!)
凄まじい速度で迫る影に対し、柊は吸血鬼の超人的な跳躍力で崖の壁面へと飛び退く。
さっきまで柊がいた場所を、背中に無数の濡れた触手と、全身におびただしい数の目を持つ巨大なトカゲ魔獣が噛み砕いていた。
谷底の支配者、水と瘴気を纏ったその巨体は、他のアンデッドや化け物とは比較にならない圧迫感を放っている。
【任務を開始します。】
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任務:魔獣(トカゲ型)を殺害せよ。
報酬:ガチャチケット1枚 システムポイント500
失敗ペナルティ:ランダムな装備の剥奪。
制限時間:30分
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「ご機嫌な歓迎だな!」
柊は腰のホルスターから、ガチャで得たばかりの胡狼&伸牙を引き抜き、親指で撃鉄を起こすカチリという硬質な音が暗い谷底に響き渡る。
「ぶっ飛びやがれ!」
続けざまに50口径弾をトカゲの頭へ打ち込むが、ことごとく体表の鱗に弾かれてしまう。
角度が良かったのか数か所の鱗にはひびが入ったが、それ以上の効果は望めないようだ。
「通常兵器じゃこんなものか。」
トカゲの触手を躱しながら接近し、銃剣部分で切りつける。
「GOWYYYYYAAAAAA!!」
「は!白兵戦がいいな!」
ひびの入った鱗を砕きながら、露出した部分へ弾丸を打ち込む。
「WRRRRAAHHHHAAAAAAAAAAAAA!」
トカゲは叫びをあげ、触手で周辺の岩石を掴み、柊へ叩きつける。
「よっと!」
すんでのところでかわすが、背中から迫る触手には気が付かず、柊は拘束される。
「何ッ!?」
「GWWWWYYYYAAAA!!」
トカゲは口を開く。
それは3つに割れ、柊を飲み込もうと迫る。
「しかたない……これは実戦では初めて使うが、やってやるよ!」
柊は目を見開き、眼球の模様が変化する。
赤い虹彩はさらに朱く光り、瞳孔の周りに三重丸が現れる。
「食らいやがれ!精神衝撃!」
トカゲの牙が柊に届く寸前、柊はトカゲと眼を合わせ、魔力を一気に50消費し、種魔眼の能力でトカゲの精神へダメージを与える。
「RRRRWWWAAAA!!!」
トカゲは全身にある複数の目から血を流し、痙攣しながら倒れる。
「はぁ、ッはぁ……」
触手の拘束が解けたことで、柊はスタッと地面に着地する。
【任務完了】
【報酬:ガチャチケット1枚、システムポイント500を取得しました。】
「さすがに一気に魔力が半分近く減れば、こうもなるか……」
近くに腰を下ろし、『喰Ⅰ』で魔力を回復しつつリロードを行う。
それが終わればトカゲの死体へ手を伸ばし、それをシステム空間へ収納しようとしたところ、突如その陰から青い液体状の生物が飛び出してくる。
「次から次へと……!」
【任務を開始します。】
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任務:正体不明の敵を殺害せよ。
報酬:ガチャチケット1枚 システムポイント1万
失敗ペナルティ:ランダムな所持品の剥奪。
制限時間:5分
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「はぁ!?ポイント高すぎだろ、どんだけ強いんだ!?」
柊は突進を避け、液体生命体へ弾丸を射出する。
しかし、相手が液体では単純な射撃攻撃に意味はなく、弾は液体生命体の体内で止まり、次第に分解される。
(こりゃ道からどう見てもスライム、体積は30L程度か?)
「まぁそりゃぁ効かないよな。」
今度は再び魔眼を起動し、精神ダメージを与えようとする。
しかし、少し動きが鈍っただけでこれも無効化されてしまう。
ズルリと液体生命体が変形し羽のような器官を生やす。
「これも無理か!しかも模倣能力もあるときた……ならば動きを止める!」
属性適正を持つ場合、特定の魔術を習得していなくとも、その属性の物品を動かすことができる。
柊は周辺の土と岩石を操り、液体生命体を押しつぶすように動かす。
「よし!」
みごと液体生命体は土によってぺしゃんこになるが、岩石の隙間からしみこむように流れ出す。
「それぐらいは予想できている。」
柊は収納空間から消毒用アルコールとライターを取り出し、液体生命体がいる部分の土石を根こそぎ土属性操作で持ち上げる。
「燃えやがれ!」
アルコールをそこへ注ぎ、着火する。
熱の影響か、液体生命体は怯み、土石の中へ入り込む。
「潜れば潜るほどつらくなるだけだぜ?」
追加で収納空間から枯れ木を取り出し、炎の中へ投入する。
「相手が液体なら蒸発させればいい!」
しかし、異変が起こる。
燃えている土石にひびが入り、砕け散る。
「あれは!」
液体生命体の表面は黒く硬質化しており、全体がハリネズミのように変化していた。
「針で砕いて脱しただと!?」
液体生命体は土石から放たれたことで柊へとびかかり、身体を刃のように変形させて切りかかる。
柊はとっさに左手の伸牙でそれを弾くが、弾かれた液体生命体は再び羽を生やして飛び上がる。
「だが、硬質化しているのなら。」
再度弾丸を放つがノックバック以外の効果は無い。
「あのトカゲの鱗より硬いってのか!」
さらに液体生命体は変形して生み出した針を柊へ射出する。
「ぐッ!」
魔眼による視力強化がありながらも、あまりの数により捌ききれず、数本が柊の体へ突き刺さる。
さらに針は変形し、柊の血と魔力を大量に吸収した後、本体へ延びる。
液体生命体が変形を開始する。
「がはッ、まさか!」
(さっきこいつは翼を再現して飛行していた。硬質化も元から持っていたものじゃないとすれば……)
血を吸われたことでふらつきながら、柊は自身から針を引き抜く。
液体生命体が五度目の変形を遂げ、小人の形をとる。
「まさかとは思っていたが、こいつ……俺と同じで喰った相手の特性を複製できるのか!?」
「あ、ゴ、が……くった……とく、性……」
液体の小人が口を開き、音を発する。
「おいおい、血を吸っただけで言葉まで真似るか!」
いよいよ手が付けられなくなった。
(おとなしく逃亡するしかないのか!?)
ライターオイルの燃焼でダメージはいります。
ではリボルバーのガスの温度が1000度以上行くのに何でそれで攻撃しないかって?
作者は書いて一週間後にそれに気が付いた。
すまんかった。
ほんと
マジで
つかガスの1000度以上の持続時間ってそんな長くないからまぁ
だからやらなかったってことで
うん




