11|アンテイア|アンテイア植民地|エルザ
パート I
すべてが、奇妙でありながらも楽しくて胸を高鳴らせる、幻想的な夢のように思えた。
時々立ち止まって考える。こんなことが、たった一日で全部起こったなんて、どうしても信じられない。
セクヴェンスは狂っていた……いや、彼らの現実は、ただ私たちのものとは違っていただけなのだ。
私は毛布にくるまれて目を覚ました。
あの柔らかくて温かな、ただそれだけで慰めになるような毛布に、いつ包まれたのかまったく分からなかった。
目を開けた瞬間、記憶が一気によみがえり、一瞬だけ、すべてが悪夢だったのではないかと怖くなった。
でも、まるで昼そのものが部屋の中にあるかのように明るい、あの円形の部屋が、それは違うと告げていた。
私は家族を探して振り向き、すぐ後ろに眠っているみんなを見つけた……母以外は。
「パパ?」
結局、私はみんなを起こしてしまった。
父は目を開けると、不安そうに私たちの体に手を走らせた。まるで、本当にそこにいるのか確かめなければならないかのように。
その目に刻まれた苦悩を見て、恐ろしい記憶がまたよみがえった。
「寒い!」
ジュヴィアが毛布をずらしながら文句を言った。
部屋の空気はずっと冷たくなっていた。
でも、それを考える暇すらなかった。ミリリャが入ってきたのだ。
彼女の隣には、強い光の中でも輝いて見える、金属のような深い緑の目をした、とても美しい若い女性がいた。
二人は暖かい服を持ってきていた。
奇妙だった。
その女性が私に服を着せるのを手伝ってくれているあいだ、抱きついてしまわないよう自分を抑えなければならなかった。
彼女の笑顔は私の心を揺らした。軽くて、心地よくて……そして彼女が私に触れた瞬間、足元の床が消えたような気がした。
私はすぐに悟った。彼女はセクヴェンスだった。
「私の名前はレディ。アンテイアへようこそ」
「私はエルザ。あなた、セクヴェンスなの?」
「そうよ、お嬢さん」
「ねえ!」
ジュヴィアが近づいて言った。
「私のママのこと見てくれる? すごくひどい怪我をしてるの」
「あなたのお母さんはもう治っているわ、天使ちゃん。元気よ。ヘルスセンターであなたたちを待ってる」
それを聞いた瞬間、温かな安堵が私を満たした。
私たちは部屋を出て、何人ものミリアメデスとセクヴェンスに出会った。
ミリアメデスたちは、私たちを助けてくれた日のときよりも、ずっと毛深く見えた。
パート II
セクヴェンスは美しかった。
ほとんど若々しい美しさで、私やジュヴィアと同じくらいの若者たちに囲まれているような気さえした。
彼らは私たちに薬をくれた。
そして、それは彼らの愛に耐えるためのものだと言った。
私はそれを完全には理解できなかった。レディの唇が私の唇に触れて、世界がぐるりと回るまでは。
自分の最初のキスが、別の女性から来るなんて想像したこともなかった。
彼らは口づけで私たちを迎えた――父にまで。
私の唇から最初のキスを奪ったのはレディだった……そして、姉妹たちの唇からも、まだ小さなルーシィの唇からさえも。
そのあと、ほかのセクヴェンスたちも近づいてきて、次々とキスが続いた。
全部で私は六回キスを受けた。そのうち二つは、とても美しい若い男の子たちからだった。
顔が熱くなるのを感じた……たぶん体まで。
ただ、彼らに触れられるたびに、体を支配するあの力の抜けるような感覚だけが不快だった。
私たちの表情――驚きと恥ずかしさと快感が入り混じったもの――を見て、彼らは笑った。
キスと笑顔は、今まで知らなかったような解放感をもたらし、もっと強い幸福を連れてきた。
「来て。お母さんのところへ連れて行くわ」
そう呼んだレディの笑顔は、私の魂をとらえてしまった。
どこへ行くのかも、なぜ行くのかも関係なかった。鎖でつながれているみたいに、私は彼女についていくだろうと思った。
私たちは船の後部から降りた。
そのとき初めて、船が想像していたよりはるかに大きいのだと気づいた。地球では、ずっと姿を見せていなかったからだ。
私たちがいたのは開けた場所で、その周囲を巨大な木々の森が取り囲んでいた。
私たちはその木々のあいだを抜けてヘルスセンターへ向かった。
けれど道を歩くあいだ、私はどんどん強くなる焦燥を抑えようとして苦しかった。
心臓は激しく打ち、口は渇き、呼吸も荒くなっていた。
もっと欲しかった。
けれど何を欲しているのか、自分でも分からなかった。
キスだろうか?
ここはミリアメデスの植民地だと教えられた。
平坦で、整っていて、一軒一軒の家が木々に満ちた広い区画を持っている。
すべてが森と完璧に溶け合っていて、この上なく美しかった。
それでも、その美しさでさえ、私の内側で燃えている火を消すには足りなかった。
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パート III
「私たちはどうなるんだ?」
父が、意識を保つのに苦労しているのがはっきり分かる声で尋ねた。
「あなたたちはセクヴェンスへと変えられます。そのあと、セクヴェンスの村で暮らすことになります」
クリスティアンが説明した。
「ありがとう。私たちは置き去りにされるのだと思っていた」
「そんなことはありえません。イェヴァが自分の人たちを見捨てるはずがない」
「彼女は、自分たちがユナイテッドだとさえ知らなかったんだ……」
父が言った。
「でも、僕たちは知っていました」
ひとりの若者が言った。
彼の名前はクリスティアン。
魅力的で、たくましく、明るい髪に、誘惑するような唇をしていた。
目をそらせなくなるような美しさだった。
私はイェヴァのように恥ずかしがり屋ではなかったから、話しかけてみようと思った。とくに、彼が私にくれたキスを思い出したあとでは。
「物語では、あなたたちは生まれる前から自分の相手を選ぶって言われてる」
「僕の場合はそうではなかった。僕は、アンテイアに住んだ最初期のセクヴェンスの一人なんだ」
「何歳なの?」
「二千年以上だよ」
「その天使みたいな顔で?」
私は叫ぶように言い、頬に熱がのぼるのを感じた。
「私は二十二歳。あなたからしたら赤ちゃんみたいなものね」
「君がセクヴェンスになってユニオンを経験すれば、年齢なんて意味を失うよ。数日もすれば、何千年分もの経験を持つことになる」
もっと知りたかった。
でもジュヴィアが先に口を開いた。彼女は驚くほどミリリャになついていた。
「ミリリャ、私たちと一緒に住んで?」
「それはできないわ、かわいい子。私はモコウの船の乗組員だから」
ミリアメデスは、その頼みに驚いた様子を見せながら言った。
「セクヴェンスの望みは全部尊重されるって言ってた」
「でも、あなたはまだセクヴェンスじゃないでしょう」
「これからなるもん!」
ミリリャは観念したように微笑み、それから答えた。
「それがあなたの望みなら……私は船を降りて、あなたのそばで日々を過ごすわ」
ジュヴィアは、その場のすべてを明るくするような笑顔を浮かべた。
私は気になった。本当に、セクヴェンスの望みは何でもかなえられるのだろうか?
私は、村全体を覆う巨大な透明ドームを見上げていた。
そこへ、別のミリアメデスたちが私たちのそばを通り過ぎ、まるで最初から私たちを知っていたかのように挨拶していった。
彼らは誰も服を着ていなかった。
でも、あれほど全身を毛が覆っていれば、確かに必要はなかった。
寒さは厳しかった。
それなのにセクヴェンスたちは軽い服しか着ていない。
私は手をこすり合わせながら、巨大なヘルスセンターに早く着いて母に会いたいと願った。
植民地の建物は地下にあった。
だから地上に見えるのは、低く控えめな建物ばかりだった。
私たちはレディについて、その完璧なまでに清潔な場所を歩き、大きな部屋へ入った。
その中央に、母がいた。
裸で、怪我の痕跡などひとつもなく。
ジュヴィアは母を呼んで叫び、泣きながら駆け寄って抱きつこうとした……けれど、母はまだ眠っていた。
「若くなったように見える」
父が驚いて言った。
「ええ、そうなの」
レディが答えた。
「ミラジェーンはもうセクヴェンスよ」
胸が跳ね上がった。
こんなにも早くすべてが起こるなんて思ってもみなかった。
「ママ、女の子になるの?」
ジュヴィアが口をぽかんと開けて聞いた。
「なるわ。それに、お父さんもね」
「すごい!」
彼女は目を輝かせて言った。
「毛布ある? ママ、人前で裸なのすごく恥ずかしがるんだよ」
セクヴェンスたちは、妹のその自然さに微笑んだ。
やがて一人のミリアメデスが近づき、丁寧に母を覆ってくれた。
そのあと、レディは私たちを戸惑わせることをした。身をかがめて、母の唇に長いあいだキスをしたのだ。
そして説明した。
「ミラジェーンは大丈夫。私たちはキスを通して、ただ触れるだけではなく感情も伝えるの。たとえ鎮静されていても、彼女は私が送った慰めと喜びを感じ取って、それで幸せになったわ」
彼女の笑顔はとても穏やかで、私を落ち着かせた。
「イェヴァは向かっているところよ。でも彼女が着く頃には、あなたたちはもうセクヴェンスになっている。さあ、来て」
私は理解する前に、体のほうが先に反応していた。
奇妙な喪失感に包まれながら。
気がつくと、私はレディの隣を歩いていた。
父を見た。いったい私たちは何を感じているのか、本当にセクヴェンスになるのか、何か答えを求めて。
その意味すら、ほとんど分かっていなかった。
父は私をしっかり見つめて言った。
「ユナイテッドが存在するのはセクヴェンスのおかげだ。彼らが介入していなければ、私たちは死んでいた。私は彼らを信じる……そして、おまえもそうだと思う」
その目は震えていた。
でも、その決意は揺らがなかった。
父が私たちは安全だと言うのなら……信じなければならない。
たとえ、私の心がまだ同じ確信を持てずにいても。
私は微笑んだ。
迷いはあったけれど、怖くはなかった。むしろ抱きしめられているような安心感があった。
でも、本当の説明は、歩きながら金色の髪を揺らすレディから与えられた。
「アンテイアで生きて、私たちがあなたたちに向ける愛を感じるためには、あなたたちはセクヴェンスにならなければならないの。まだ十分な説明はしていないけれど、すぐにすべての答えを得るわ。あなたたちの心が私たちの心と結びつけばね」
「デルフィアントの乗組員が言ってたのと同じ?」
私は確かめた。
「その通りよ」
「あなたたち……私が考えてること全部、分かるようになるの?」
「もちろん。あなたも私たちの考えていることを全部知るようになるわ。私たちの記憶や経験にも触れられる」
胸の奥を、鋭い不安が突き刺した。
彼らの考えることを全部知る……そして彼らにも、私が考えることを全部知られる?
私の恐れが、彼らにとってあまりに小さすぎたら?
私という存在が、この場所に残るに値しないものだったら?
私は今までの人生で、これほどさらけ出されたことはなかった。
まだ裸ですらないのに。
私は笑った。
でも、それは震えるような笑いだった。
「怖い……!」
次の部屋では、服を脱いで並んだベッドに横になるように言われた。
ここにいる者たちにとって、裸は愛情だった。
でも私たちにとっては……弱さだった。
見知らぬ者たちの前で弱さをさらすことほど、痛いことはない。
羞恥がまっすぐに私たちを襲った。
父も一緒にいて、何人かのミリアメデスもいた。
でも、誰も抗議はしなかった。
ルーシィを寝かせるのを手伝えたのは救いだった。そうしていれば、父をまっすぐ見なくて済んだから。
父の恥ずかしさも、きっと私たちと同じくらい強かっただろう。
横たわって見上げると、天井には大きな円形の装置がいくつも待ち構えていた。
寒さがやわらぎ……そして、すべてが暗くなった。
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パート IV
私は怯えて目を覚ました。
耳がひどく敏感になっていて、反射的に両手でふさいだ。
それでも、すべてが聞こえた。この部屋にいる全員の心臓の音も、呼吸も、外で話している声までも。
「落ち着いて。新しい感覚に脳が慣れるまで、数分座ったままでいてください」
ミリアメデスの医師、フムトップがそう言った。
私はまだ耳を押さえたまま待っていたが、そのうち嗅覚まで変わっていることに気づいた。
匂いで人を区別できる。レディが誰で、クリスティアンが誰で、私の妹が誰かまで、見なくても分かった。
奇妙で……魅惑的で……恐ろしかった。
そして視界まで広がった。
レディに目を向けると、彼女の肌の細部まで、まるで私のすぐ目の前にいるかのように見えた。
心臓が速くなり、恐怖がどんどん膨らんでいった。
ミシェルは私の不安に気づいた。
彼女はゆっくり近づいてきて、私の顔に触れた。
その接触に……私の体全体が反応した。
今の触覚は、もう別のもののようだった。彼女の肌が私の肌とつながって、何かが体から体へ流れ込んでくるみたいだった。
それから彼女は私にキスをした。
「大丈夫よ。すぐにおさまるから」
彼女は唇を動かさずにそう言った。
まるで声が私の頭の中から聞こえてくるみたいだった。
しかも、その声と一緒に感情まで流れ込んできた。安全、深い愛情、受け入れられているという感覚。
あまりにも心地よくて、もっと続けてほしくて思わず彼女の腕をつかんでしまった……でも、彼女が微笑むと、自分の恥ずかしさで手を離してしまった。
「今、私に感情を伝えたの?」
私はまだ息を弾ませながら尋ねた。
「ええ。安心と愛を伝えたの。体の変化であなたは怖くなっていたから。さあ、集中して……聞いてごらん」
彼女は離れ、私たちは新しい感覚の境目へと導かれた。
私は姉妹と父を見た。みんな同じように圧倒されていた。
私はミシェルに言われた通りにした。姉妹たちも。
そして……私たちは聞いた。
隣の部屋からの会話を。
そのうちの一つが、刃のように私たちに突き刺さった。
「ミラジェーン? 起きて、ミラジェーン」
「イェヴァ?」
「大丈夫。もう安全だから」
「イェヴァ! 私の娘たちを殺したのよ! 私の娘たちを殺したのよ!」
母の声に宿る痛みが、私を粉々にした。
私は何も考えなかった。ベッドから飛び降りて走った。
ルーシィとジュヴィアも母の名を叫びながら後ろから追ってきた。
ミシェルが扉を開け、私たちはそのまま中へ駆け込んだ。
「ママ! ママ!」
私たちは泣きながら母に飛びついた。
母も泣いていた。
でも、レディが強い口調で割って入った。
「気をつけて! 今のあなたたちは前より強いの。強く抱きしめすぎると、彼女を傷つけてしまうわ」
父は、私が今まで見たこともないほどに泣いていた。
私も父を抱きしめた。傷つけないように気をつけながら。
母は、生きている私たちに会えた喜びで、自分たちの抱擁がどれほど強かったのかにも気づかないほどだった……あとで痛みを感じるまでは。
その瞬間、私たちは自分たちの体が変わってしまったことを知った。
そのとき、私は母の目に気づいた。
緑で、明るく、金属のように光っていた。レディと同じ目だった。
姉妹たちを見た。彼女たちも同じだった。
父の目は輝く青だった。
「私たちの目……」
私は怯えてつぶやいた。
「それはセクヴェンスの目よ」
レディが説明した。
きれいだと思いたかった。
でも、私の中の何もかもが叫んでいた。私は人間ではなくなっていくのだと……
しかも、それを望むかどうか決める時間さえ与えられないままに。
ようやく私たちが落ち着いた頃、ジュヴィアが脚を押さえているのに気づいた。
死へ向かって蹴り落とされたあの時の恐怖が、まだ残っていたのだ。
レディはそれに気づいて近づいた。
「私たちでつながって、それを癒しましょう。あなたたちが眠っている間にやるわ」
ジュヴィアは彼女に抱きつき、唇にキスを受けた。
するとすぐに感情が流れ込んできて……彼女はうっとりして口元に手を当てた。
「もう一回してくれる?」
レディはもう一度同じことをし、ジュヴィアは快感に満ちたため息を漏らした。
母はそれを見て驚き、息をのんだ。
「ここはどこ? あなたたちは誰?」
「ここはアンテイア。私たちはセクヴェンス。そして彼らはミリアメデスよ」
レディが答えた。
母は涙を拭い、私たちの顔を両手で包んだ。
「あなたたちが本当にいるって、ずっと信じてた。私の家族を返してくれてありがとう」
レディは微笑んだ。
「あなたの家族? いいえ、ミラジェーン……私たちの家族よ。これからあなたたちは私たちのものになる。永遠に愛されるの」
「それ、いいと思う」
ルーシィが言って、みんなを笑わせた。
そこで私は、ようやく気づいた。
私たちは全員裸だった。
三十人以上の真ん中で。
顔が一気に熱くなった。
私は両手で急いで自分の秘部を隠し、姉妹たちも同じようにした。
どこかに隠れてしまいたかった。
すると、私たちの気持ちを理解した一人のセクヴェンスが、すぐに服を持ってきてくれた。
私たちが服を着ているあいだも、レディは続けた。
「裸はアンテイアでは自然なことよ。私たちは一緒にお風呂に入るし、百人以上がいるような寝室で裸で眠るの」
私はイェヴァを見た。
レディが話を大げさにしているだけだと、どうか確かめてほしくて。
でもイェヴァは笑った。
「私も最初は恥ずかしかった……でも、すぐに慣れるわ」
人間の羞恥心は、アンテイアではすぐに去っていく旅人なのだ。
服を着終えて、私は深く息を吸い、力を抑えながらイェヴァを抱きしめた。
「あなた、死んだのかと思った……」
「私もあなたを失うのが怖かった。あなたたちが落ちているって知ったけど、停止処置があまりにも早くて。気づいた時には、衝突の前に介入するにはもう遅すぎたの」
ミシェルが前に出た。
「本当にごめんなさい。私たちには、人間の前には姿を見せてはいけないという決まりがあるの。あなたたちが視界の外に出たあとでしか動けなかった。地面に着く前に受け止めることはできたけれど、ミラジェーンの怪我までは防げなかった」
「謝るの? あなたたちは娘たちを救ってくれたのよ! 私たちは永遠に感謝するわ」
母が答えた。
「それは本当に長い時間になるわね、ミラジェーン」
ミシェルが言った。シアン色の目が輝いていた。
「あなたたちの体はもう老いない。たとえ死んでも、新しい体に戻ることができる。ここでは、死は終わりを意味しないの」
だが、その瞬間、ディーンの声が空気を断ち切った。
「大事なことがある。あなたたちの体には、もう新しい欲求がある……しかも、そのいくつかは急を要する。こちらへ座って」
私たちは床に円になって座った。そこには椅子がなかった。
そして、東洋的な顔立ちを持つとても美しいセクヴェンス、アイミが説明を始めた。
「セクヴェンスにはパートナーが必要なの。私たちは生まれる前から相手を選ぶ。それが私たちの文化を変えたのよ。女性の方が多く生まれるから、三人組の関係もたくさんある。ミシェルとディーンと私は、その三人組のひとつ」
「三人とも結婚してるってこと?」
ジュヴィアが尋ねた。
「そう。私たちはパートナーがいないと、数日で死んでしまうの」
アイミは答えた。
「あなたのお父さんとお母さんは、もうパートナー同士だから問題ない。でも、あなたたち三人にはパートナーがいない……それなのに、もうセクヴェンスになってしまっている。つまり、あなたたちは死ぬの」
私は凍りついた。
世界が傾いたように感じた。
死ぬ? 今? こんなすべてのあとで?
レディはすぐに言った。
「解決は簡単よ」
その笑顔は一瞬だけ安心をくれた……でも、次の言葉でそれは消えた。
「今日のうちに、自分のパートナーを選べばいいだけ」
足元の床が消えた気がした。
「えっ?!」
自分で叫んだことにさえ気づかなかった。
震える声でルーシィが続けた。
「レディ……分かってないよ……私、まだ七歳なんだよ! 結婚するには小さすぎる!」




