上官の男
「そいつの名前は鬼頭膳だ。本日をもって正式に貴様等は軍の所属となった。貴様等は法律上凶悪犯罪者だ。逃げ出そうなんて考えないことだ。その素振りが見えた時点で貴様等を殺す。私の命令は絶対である。お前達は私の命令以外聞く必要はない。それだけ覚えておけ。分かったか?」
そうして俺達三人は頷き、同じ隊の同僚となった。
俺達はそれから三人一組を基本に行動を共にした。軍での俺達の扱いは基本的に腫れ物扱いだったからだ。高官の一族を皆殺しにした『人斬りの百目鬼』、歴史も権力もある自分の生家を皆殺しにした『如月家の夜叉』、嘘か誠か人を喰らう鬼頭山の鬼『鬼頭村の忌み子』という不名誉の字名が一人歩きしていては他の部隊とは連携など取れない。しかも、権力を無視する俺、権力のある瑠璃、権力を知らない膳の三人は軍の高官であろうと逆らうからである。まぁ事前にあの女から「私の命令以外聞かなくていい」と聞いていたのでその通りにしていただけだが。
三人で行動を共にはするがそれぞれ会話は無く、信用も信頼もしておらず、現地で個々に依頼を熟している現状であった。ある日俺達はあの女に呼ばれ部屋を訪れた。
「お前等の上官が決まった。こいつだ。これからお前等をこいつが鍛える」
そういって紹介されたのはニヤニヤ笑顔を浮かべている男だ。
「ご紹介に預かった。こいつです。よろしく」
ヘラヘラ笑いながら男はそう言った。
「はぁ。自己紹介ぐらいしたらどうだ?お前の部下だぞ?」
「いらないでしょう?すぐ死ぬかも知れない子供達にその必要性は感じませんよ?」
俺達はその言葉に少しイラっとし殺気が漏れた。
「はい。お疲れ様。君達は今死にました」
その言葉と共に俺達三人は床に寝転がっていた。
「なっ!なにしやがった」
「相手の強さも測れない、今の動きも見えない、自制もできないこの雑魚共が期待の新人ですか?」男は俺の言葉を無視して女に話しかける。
「今は確かにこいつ等は才能のみの雑魚だ。だがこいつ等はこの歳で殺し慣れている。資料を見ただろう?こいつ等は遊びで殺していない。それだけでも今の時代貴重だ。こいつ等はそれぞれ一本筋を通し、才能だけで行動を成した。後は技術と鍛錬のみだ。まだ餓鬼だから教育すれば良い駒になる」
「ふむ。資料が本当ならですがね。とりあえず軍に所属している以上、命令ですから訓練はしますよ。ただ、死んでも文句言わないでくださいね?」
「その辺は任せる。一人でも生き残れば問題ない」
「了解しました」




