サイド 小話 思い出
弾蔵は孤児院に来るようになってから毎度年少組に纏り続けられて困り果てている。悪気があるわけじゃない。名前を覚えられないことは出会った時からそうだったのだから・・・。
「俺は名前を聞くことができねぇ。だから、お前の名前も覚えられねぇ」飛鳥さんの部屋で初めて会った時の自己紹介で言われたのを覚えている。
その後、飛鳥さんの説明では「あいつの一族はほぼすべて金持ちの道楽の思い付きで殺された。その時からあいつは名前が聞こえない。」と当時は意味が分からなかったが時代と共に原因が判明していった。弾蔵は幼い頃のその出来事で縁を築いた者達が殺されたのを見て心が死んだ。そして、名前という個を象徴する言語が聞き取れなくなってしまったのだ。
ある時心がある程度回復したのだろう、「生き残りそうな奴の名前だけは聞けるようになった」と弾蔵は言った。ただ、それ以来よくなることはなく今でも聞けないのだろう。
わたしは未だに年少の子供達から「「「「「「おぼえたぁ?」」」」」」の攻撃を受け続けそろそろ助けを呼ばれるだろうその光景を苦笑しつつ見て思い出していた。
「瑠璃!瑠璃!こいつらどうにかしてくれっ!」「はいはい」
ほらやっぱり来た。わたしはそう思い笑いながら子供達に近づいて行った。
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わし達は庭で気絶している子供達を介抱している時に瑠璃の怒りを感じていた。
「皆殺しだろうな」「それで済めば良いがな」
わしは思い出していた戦時中任務の途中で訪れた、戦争孤児達を集めて運営している孤児院を。俺達が人の心を戻しつつある中で起きた惨劇。任務が終わり途中で寄った孤児院が気に入った瑠璃は帰りも寄ろうと言って俺達は了承した。孤児院に着くとそこではある程度成長している女はすべてが穢され殺されていた。他の子供は誰もいない。そこにまだいた俺達と同じ軍服を着た軍人。そいつが声を掛けてきた「ここで何をしている!」と瑠璃は聞き返した「ここで何があったの?」と感情が抜けた無表情な顔で。その軍人から取り出した情報を知った瑠璃は舞を踊った。その後、軍人が数分すると起き上がり満面な笑みを浮かべながらどこかに消えていった。わしと弾蔵はよくわからないまま瑠璃に戻ると言われ拠点に帰った。
1ヵ月ほど経った頃隊長に呼ばれ部屋に行った時の事。
「軍所属の大尉が暴走し、軍は壊滅的な損害を与えられた。先日わたしが直接出向いて処刑した。が、強すぎた。貴様等何か知らないか?」
ある程度俺達の力がわかった現状でそう聞いてくるのはそれなりな確証があるからだろう。
瑠璃は隠さず「わたしの傀儡です」と言った。
「お前は何をした?」
隊長は感情を出さずに聞いた。
瑠璃は一言
「屑を処理しただけですわ。」
そこまで思い出していたら周りが騒がしくなった。数人目が覚めたらしい。傀儡は使うなよと思いながらわしは弾蔵に近づいた。
当時、『総死亡者数1058名、軍関係者885名、少将8名中将3名大将2名』軍は再編成を余儀なくされた。




