リットル聖教聖戦軍 2
翌日の聖戦軍は朝から怒号が飛び交っていた。
「奴はどこに行った!なぜこうなる前に報告をこちらに飛ばさなかった!既に聖戦軍の半数近くが行方不明になっているだと!?冗談も大概にしろ!後日陛下も来られるのだぞ!?」
聖戦軍全指揮を任されている帝国将軍レオナルド・フォン・メナドが吠えた。
「命が惜しくて逃げ出したんだろう。いない奴に吠えてもしょうがない。使えないものを命の覚悟もないような者を代理司令に命じたお主等帝国の失態にこちらまで巻き込むな」
「ぐぅぅ。(奴がここまで愚かだったとは!帝国の陛下の名誉を傷つけただけでなく汚名まで着せて逃亡など!任命した俺にまでっ!?くそがっ!)」
「ここには各国の将軍が集まっておる。此度の戦争で人類の平和を手に入れるためにな」
「帝国の不祥事は戦後の問題として今は情報も何もなく、兵士の半数が消えた状態からどのように攻めるか考えねばならぬのではないか?」
「帝国ご自慢の作戦が何も進んでいないのでな?」
「教国はどのよに考えますかな?我々は二国とは違いオルド王国と魔国とは初戦でありますゆえ」
「教国としても此度は予想もしておりませんでしたな、よもやオルド王国にすら入れていない等魔国と争ってきた歴史を見ても初めてのことでございます」
「それでは今回は特殊な例と・・・。毎回、向こうは街の防備を高め街近くで迎撃のちに籠城戦が慣例でしたかな?」
「えぇ、どの時代の聖戦を見てもそうでありました。前回の戦で王都まで進行したことで考えが変わったのかも知れません」
「ふむ、馬鹿の一つ覚えではないという事か・・・。しかし、情報が何もないのがやっかいですな。これでは、兵を送り出して良いか判断がつきませぬ」
「とりあえず斥候を出して考えますか。今までの者達よりも優秀な者が本隊には居りますし、必ず良い知らせも持ってきてくれるでしょう」
「一先ずそれで、また斥候が戻ってきてからと言うことで」
各国の将軍達の会議終了後すぐに優秀は斥候を集め送り出した。それから、数刻が立ち夕日が沈む少し前、城塞都市のオルド側の門を守る衛兵の前に今にも死にそうな一人の斥候が戻って来た。
ボロボロになった兵に気がついた衛兵は走り寄って問いかけた。
「だ、大丈夫か!?あんた森を調査しに行った人だろ?何があった!?」
「つ、つた、えて、くれ・・・。スタン・・・ビートだ、ま、ものが・・・く・・る・・・」
それだけ言ってボロボロの血まみれの男は息を引き取った。
「おい!おい!息してねぇ!俺は中にこのことを使えてくる!お前らは外を見張っていてくれ!」
そう言って一人の衛兵は門のすぐ近くにある詰所へと伝えに行き、軍の本部へ走らせた一人を除き念の為詰所にいた衛兵皆を連れ門に戻って来た。
「話は聞いたが本当なのか?」
「あぁ、伝えに戻った兵は死んだ。弔ってやらないとな。それに魔物が来るなら俺達は最初の壁だ・・・。規模までは聞けなかったがあそこの森は強くてCランク程度の魔物だ。応援が来るまでなら俺達でも対処可能だろう。気張るぞ!」「「「「「おおぉ!」」」」
衛兵達は舐めていた。確かに平時の森はゴブリンやコボルトなど雑魚ぐらいしか森に出てこなかった。しかし、現在は1300万人を送り出した森で行方不明になっていると知っていればもっと慎重になったのだろうが、上層部はこれを隠していたことにより作戦は順調にいっていて異変等を考えてはいなかった。調査に昼頃に出て行った者達も見送ってはいたが有能な者とは知らされていないため危機感もそれほど感じていなかった。
「外に出たら松明を焚いてバリケードを作って隊列を組んで備えるぞ!」
「「「「了解」」」」」
門の横にある小さなドアに手をかけ外に出る。
「さぁ!忙しくなるz・・・」
扉を開けた瞬間にドアに手をかけた衛兵は頭が爆ぜた。そして、身体がドアに倒れドアが開いた。そこから見えるおびただしい数の魔物。急に目の前で同僚の頭が爆ぜたことに混乱し、ドアの向こうの魔物達を見て錯乱し、頭が真っ白になって声を上げることも出来ないまま衛兵達は蹂躙された。
そのまま、頭がよくなった小型の魔物達により門が開けられ、そこから大型の魔物も堂々と城塞都市の中に入り蹂躙を始めた。
飲み屋で日々の訓練を癒していた者。慰安のために商売女と合瀬を楽しむ者。家族と団欒をしていた者。夕闇が支配し始め、堅牢な城壁が安心感を与え、重厚な門がしまり、今日の終わりの達成感にお疲れ様っとささやかなお祝いをしてる最中の襲撃。
遠征に来ていた者達は、従来の気質から皆騒ぎながら酒を飲む。謙虚な教徒は一日のお祈りを静かにしている最中(今日は少々いつもよりうるさいな)と感じたが今は祈りの時間いつものことだと無視をし祈り続ける。そして、中央付近にある教会のドアを吹き飛ばし魔物が入ってくるまで気がつかなかった。ゴブリンライダーの襲撃を躱した後、皆で教会の外に出て見た風景はまさに地獄だった。




