リットル聖教聖戦軍 1
リットル聖教聖戦軍司令部
「なぜ先行した兵達が一人も帰ってこない?」
「現在第三陣、計20万人ほどが此処城塞都市ミルドを出発。定期報告がないため斥候を出しましたがそれも戻ってこず、現状オルド王国に向かった兵の状況は何一つわかりません」
「このままでは私の面子が地の底まで落ちてしまうぞ・・・聖戦軍本隊到着までの調整役を命じられたのに、何も成果もなく、ただ兵がいなくなりましたじゃ良い恥さらしだ」
「とりあえず、何かあったらすぐ戻るようにと伝え、情報を得るのを優先したほうが良いかもしれません」
「何が起こっているのかわからないが作戦を遂行するためにも現状を打破するにしてもオルド王国側に兵を送るしかないか・・・。戦線での逃亡は恥になる。が、現状何もわからない状態の方がまずい。1万づつ駒目に部隊を出し情報を持ったらすぐに帰るよう伝えよ!」
「はっ!了解しました。失礼致します」
そう言って側近の兵は足早に部屋を出て行った。
「これで何が起こっているのか情報を手に入れ、打破しなければ・・・」
先行工作部隊司令を任された男は拳を硬く握り悔しそうに呟いた。
3週間の時が流れた。
「なぜだ!?どうしてだ!?何が起きている!?どうなっている!?」
「落ち着いてください!」
「落ち着いて等いられるかっ!?明日にはもう本隊が到着するのだぞ!各国の将軍、お歴の方々が皆やってくるというのにっ!これでは私達は終わりだっ!兵に情報も持って来いと言っても持ってきたのは『霧が出ていた』のみだぞ!?ふざけているのか!霧なんぞ珍しくもない!」
「そ、それはそうですが・・・しかし、それ以外の情報は無く送り出した兵は皆行方不明です」
「私を蹴落とす誰かの陰謀か!?余りにも不可解すぎるだろう!本来であれば先行部隊だけで王国を潰すことも余裕でできるかもしれないという話であっただろう!?1000万の各国の兵がいたんだぞ!?こんなことあっていいものかっ!?兵の数はどうなっている!?」
「げ、現在駐留している兵の数は続々と後続してきた人数を合わせて500万人ほどです・・・。オルド王国側に出陣した数は・・・1200万人ほどです・・・」
席から立ち上がって喚いていた司令官は力なく椅子に腰を落とした。
「そうか・・・悪かったな・・・怒鳴ったりして。明日には聖戦軍の将軍閣下達が到着するその準備をよろしく頼む・・・」
「いえ、何もわからない現状には皆イライラしています。お気になさらず。お迎えする準備の方はわかりました。司令はどういたしましょう?」
「ふぅ・・・こちらはこちらでやっておく。そんな大したことはない。手伝いもいらんさ」
「了解しました。お歴の方々の迎え入れの準備に取り掛からせて頂きます。司令、失礼いたします」
そう言って部下が部屋を出て行った。
「引継ぎの資料を用意しないとな・・・。なぜこうなったのやら・・・」
代理司令を任されていた男は司令部執務室の机の上に資料を残し、少しでも情報を得ようと悪戯に兵をなくし、情報も得られないことでほぼ事故死であろう数人の同僚達とオルド王国側へと入っていった。しかし、情報を持ち帰ることなく。責任を取らず死ぬのが怖くて逃げだした臆病者共と汚名を得ただけに終わった。




