先行部隊 2
それから半刻ほど歩くとますます霧は濃くなり前の奴の背中ぐらいしか見えなくなってしまった。
「なぁ、前全然見なくなってきたがこれ大丈夫なのかな?」
「・・・」
「これだけ霧が濃いとしっかり前の奴の背を追いかけないと迷いそうだぞ」
「・・・」
「なぁ、聞いてるか?おいって、何で黙ってんだ」
俺は隣を歩いている同僚の方に手を掛けようとして空振りをした。
「え?」
さっきまで隣でしゃべってた奴の姿が見えない前の奴の背中を真剣に見て迷わないように歩いていて隣を見ていなかった。隣の奴の肩を掴もうとして少し前のめりになった時に足を止めてしまい、前にいた奴の背中まで見なくなってしまった。少し前まで横8列で街道を行進していたはずなのに前後左右どこにも人がいない状況になっていることに今気がついた。
「おい!みんなどこだ!声を出してくれ!霧で何も見えないんだ!」
そう叫んで耳をすませたら微かに遠くから「お~い」って声が聞こえる。
「なんだよ。少し心配になったじゃねぇか」
俺はそう独り言を呟いて声のする方へと歩き出した。
そして、足を踏み外して浮遊感が遅い全身からボキバキドゴっと音と共に激痛が全身に走った。
「がっ・・・、ごぼっ。な、にが。おち、た、、の。が。」
全身を強く打ち身体が冷えていく大事な赤い命の水が自分の身体から流れて赤い水たまりを作っていくのが見える。
(ついてねぇ、戦争終わったら結婚しようと思っていたのに・・・こんなとこで死ぬのか)
そう心の中で考えつついろんな思いが溢れだす。そこに微かな音が聞こえた。
「が、」「ごしゃっ」「ご。。。」周りからそんな音が聞こえる。
(そうか、道を外れてここに落ちた奴が他にもいるのか・・・)
落ちてきているらしき音と声らしき音は動けず苦しんでいる間にも次々に聞こえる。
何だこれは、罠だったのかといろいろ思うが声も発せずただただ死を待つのみ。
そして、一瞬暗くなったと思ったら上から落ちてきた人の下敷きになり頭が潰れ死を迎えた。
第一陣の兵達は濃い霧の中ある者は崖から落ち、ある者は森の魔物の餌に、ある者は魔物の苗床に、そして、兵の一部は傀儡により黄泉へと誘う案内人になった。




