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二つ名オンライン  作者: そらからり
1章 二つ名
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7話 ギャブー鍛冶店

「買い物と散策、どっちからにする?」


「……両方一緒にできない?」


 リュウキとシズネは冒険者ギルドを後にし、これからの予定を立てていた。

 今日はすでに4時間余りDNOの世界に入っている。高校生の身としてはそろそろログアウトの時間も考えなければならない。


「じゃあ、武器防具、アイテムの店までゆっくり見て行こうか。……俺はあと1時間くらいで落ちなきゃいけないけど、シズネは?」


「……じゃあ私もそれで」


 どの店から周れば効率が良いか、街に来たばかりの二人には分からない。

 さて誰かに道を尋ねようかと思ったときに、


「ちょ、ちょっと!」


 背後からリュウキとシズネを呼び止める声がした。


「終わったら合流って約束したじゃないか。何で置いていっちゃうのさ」


「「……忘れてた」」


 転職ができる冒険者ギルドへと案内してくれたマラータ。その恩ある男を転職できた喜びと興奮ですっかり忘れていた。


「……ひどいなあ、もう。まあいいや、街に来たのは初めてみたいだし、他に案内が必要な場所はある?」


 マラータが犬型モンスター2体に苦戦していたところをリュウキとシズネが助けたために街を案内ということで借りを返そうとしていたのだが、当の本人たちはそこまでのことをした感覚がなかったために何でこの人案内してくれるんだっけ?という気持ちが渦巻いていた。


「武器とか防具ってどうしたらいいんだ?」


 二人は転職を終え、それぞれ闘い方が違う職業へとなっていた。職業に合わせて装備を変えるなら今のうちに買いに行くのも一つの手であろう。


「そうだね。最初に貰えるお金でも転職が終わったときの装備も買えるし、まずは防具屋にでも行こうか」


「ああ、頼む」


「……お願い」


 マラータが案内してくれる防具屋というのはNPCが商売をする店ではなく、プレイヤーメイドの品物が並ぶ鍛冶屋であった。

 商品が決まった生産品一辺倒のNPCの店よりも、その職業、その二つ名に合わせた防具のほうがいいというマラータの心遣いである。武器も一緒に売っているためリュウキとシズネには丁度良いといえた。


「しかし二人は強いね。二つ名も戦闘向けなのかな?」


「ん、ん~。まあそうだね」

 

 ザギャは二つ名をあまり他人に明かすなと言っていた。そのためリュウキは言葉を濁すしかなかったのだが……


「俺の二つ名は『最強姉妹』って言ってね。姉妹のステータスを2倍にするって効果なんだ」


 マラータはあっさりと自分の二つ名を明かした。

 シズネが表情を崩さなかったのは当たり前であるが、リュウキが驚いた顔をしているのを見て、


「ん? あ、ああそうか。二つ名をあまり言わないほうがいいって誰かに言われたんだね。隠密系とか種を知られたら終わりって二つ名ならそうしたほうが良いんだけど、俺のはね……」


「ステータス2倍って相当すごいんじゃない?」


 リュウキのも、神と名が入っているシズネの二つ名でさえもステータスの上昇は固定値であった。

 二倍というのはレベルが上がれば上がるだけよりステータスの上昇値が他のプレイヤーの比ではないほど上がっていくのだ。


「……君たちはこのゲームで姉妹をつくる方法を知っているかい? いや、初心者って言ってたし分からないかな」


 リュウキとシズネは知らない。

 おそらく現在で最も二つ名の能力が働いていないプレイヤーの一人が目の前のマラータであることを。


「まずこのゲームに家族の制度はない。少なくとも今はね」


 DNOで設定されているグループはパーティから始まり、レイドパーティ、ギルドと大きなものへとなっていくが、家族というものはない。

 マラータの他にも家族を対象とする二つ名を持つ者が出たが、その者たちはその二つ名が使えないのを知るや否やすぐさまログアウトしてしまった。

 運営はこれに対し、家族システムをつくることを発表した。ここまでをマラータは説明したが、それでもマラータは浮かない顔をしていた。


「家族ができるのはいいよ。妻とか夫とか結婚できるようになるらしいからね。でもさ、妹や姉になってくださいってどう頼めばいいのさ……」


「……性癖を疑われそうだね」


「……変態」


 リュウキはともかくシズネはストレートに言ってしまった。

 それを聞き、マラータはますます肩を落とす。


「どうすればいいんだろうなあ。あ、鍛冶屋に着いたよ。ちょっと俺は用事あるからこれで落ちるけど、他に聞きたいことはあるかい?」


 リュウキは他に必要となりそうなアイテムを売ってくれる店、マラータの知り合いが経営しているという装飾店を教えてもらい、マラータと別れた。




「へいらっしゃい!」


「……寿司屋?」


「シズネ、気持ちは分かるがここは鍛冶屋らしいぞ。あのハチマキにはきっと意味があるんだ」


 鍛冶屋の店主は頭に捻じりハチマキをした寿司屋スタイルであった。

 そして来店した客に対しての掛け声。

 鍛冶屋という看板がなければ完全に寿司屋の店主である。

 背丈は背がそこまで高くないリュウキでさえも見下ろせるほど。150㎝ほどの背に、筋骨隆々で異世界であるならばドワーフにふさわしい姿であった。


「このハチマキはDEXに補正がかかるんだよ。武器防具ってのはDEXで品質が変わるからな。俺たち鍛冶師ってのはなるべくDEXを上げとかなきゃいけないんだ。俺は『賭博鍛冶』のギャブー。で、お前さんがたはどんな武器や防具がほしいんだ?」


「俺は格闘家用の防具を。ステータスはATKとAGIが高い。武器は手足を使うからいらないかな」


「……私はテイマー。武器は魔法を使えるやつ」


「はいよ。兄ちゃんの防具はAGIに補正がかかるやつ、武器はナックルと足装備で蹴り補正があるやつでいいか? 格闘家でも素手で叩くよりかはいいだろ」


「ああ、それでお願いします」


「嬢ちゃんはテイマーで魔法を使うのか。ならINTに補正がかかるものだな。テイムするにはDEXも上げといたほうがいいらしいし……今造る装備はしばらく使えるものがいいか?」


 リュウキとシズネは所持金を確認する。低レベルの装備であればとりあえずのものなので、安く済むであろう。だが、いずれ装備を変えなくてはいけない。

 それなりのものを造ってもらえば二人がある程度強くなっても使い続けられるが、今の所持金で足りるか分からないものになりそうだ。


「今、それぞれ2万ちょっとしか……」


「初期装備の兄ちゃんたちに馬鹿高えものを買わせるほど俺も落ちぶれてねえよ。俺はオーダーメイド専門の鍛冶師だが、兄ちゃんたちが素材を集めてきてくれれば結構安く造ってやれるってことさ」


 そう言ってギャブーは二人に一式の装備を渡す。


「そいつらを狩るならこいつをレンタルさせてやる。失敗作だが、今の兄ちゃんたちのよりは幾分かマシだろ」


 ギャブーに渡された装備を見るとステータス補正がかなりアンバランスなものであった。

 リュウキに渡した皮鎧はATK、AGI、LUKに補正がかかっており他はすべてマイナスとなっていた。

 シズネのも似たようなもので、補正とマイナスがある装備であった。


「これは……?」


「あ~、俺の二つ名は『賭博鍛冶』ってものでな。武器を造るときは成功とか失敗があってそれで品質が変わるんだが、俺の二つ名で造られたものはその揺れ幅がさらに大きくなるんだ。そいつもかなりの際物になっちまってな。初期装備よりかはマシだからこうして装備を造るまでの繋ぎに貸してやってるんだ」


「ということは俺たちの装備ももしかしたら……」


「ああ、もちろん失敗する可能性がある。それを先に言っておくべきだったな、すまねえ。どうする、止めとくか?」


 失敗すれば今貸してもらっている装備のように補正だけでなくマイナスがかかってしまうものになってしまう。

 だがリュウキは失敗作の装備の補正値がマイナスを上回っていることに気づいた。

 これなら例え失敗したとしても闘えるんじゃないか?ATKとAGIさえ上がっておけば自分の戦闘スタイルに合うのだから充分である。


「それでお願いします。何を狩ってくればいいんですか?」


「兄ちゃんの防具ならブラックラビット、武器はちょっと強いかもしれんがハンドベアだな。嬢ちゃんの防具と杖は兄ちゃんのと被るのもあるが他にはマッドドッグだ。狂ったのも汚れたのもどっちのもだ」


 それなら、とリュウキとシズネはマッドッドッグの素材を取り出す。


「レベル上げのときにこいつを狩りまくってたんですが、足りますか?」


「おお、十分すぎるくらいだ。なあ二人とも、余ったやつをくれるならその分代金から差し引くけどどうだ?」


 金に困っている二人にはありがたい申し出だった。売るにもどこに売ればいいのか分からなかったため、これもマラータに後で聞こうかと思っていたのだ。


「「(……)お願いします」」


「よし、じゃあ細かい素材はここに書いてあるからな。……金は兄ちゃんのが15000、嬢ちゃんのが14000くらいだ。後で用意しておいてくれよな。そうだ、兄ちゃんたちの名前を聞いておこうか」


リュウキはギャブーがさらさらとメモ用紙のようなものに意外と達筆な文字で必要な素材を書いた紙を受け取る。

 

「俺はリュウキです」


「……シズネ」


「そうか。リュウキ、シズネ、いつでも待ってるから集めたものから持ってこいよ!」


 





 リュウキ 格闘家     LV1  

     『悪鬼変身』   LV2

 HP  150

 MP  40

 ATK 20 

 DEF 15   

 INT 15   

 AGI 20

 DEX 15

 LUK 15

 *ATK・AGIに補正

所持スキル:格闘家スキル

装備:ギャブー印の失敗作(格闘家用)


【ギャブー印の失敗作(格闘家用)】

ATK・AGIに補正がかかるがDEFが減少するという防具にあるまじき失敗作

見た目は皮鎧



シズネ テイマー    LV1

     『地底神王』  LV2

 HP  100

 MP  60

 ATK 5

 DEX 15

 INT 25

 AGI 5

 DEX 20

 LUK 20

 *HP・MP・ATK・DEF・INT・LUKに補正、AGI・DEXが微減少

所持スキル:岩魔法 テイムスキル

 装備:ギャブー印の失敗作(テイマー用)


【ギャブー印の失敗作(テイマー用)】

MP・LUKに補正がかかるが、ATK・DEFが減少するという防具にあるまじき失敗作

見た目は長いローブ


そろそろ冒険に出たいのお

ステータス直してますが、これでも見づらいですかね

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― 新着の感想 ―
シズネの職業レベルが10Lvなんですがこれはあってるんですか?
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