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二つ名オンライン  作者: そらからり
1章 二つ名
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5話 汚れて狂った犬

「ギャンッ!」


 断末魔のような鳴き声をあげて黒い犬がまた一匹、HPバーを0にしてポリゴンとなって消えていく。血が流れず、死体とならないため生き物を殺したという感覚はない。

 モンスターを倒したことでリュウキとシズネへと経験値が入っていく。このゲームにはモンスターに対して具体的な経験値は決まっていないらしく、闘い方によりそれに見合った経験値が入ってくるらしい。

 つまり、寄生プレイは不可能。闘いに参加しなくてはいけない。逆に、回復にしろ、サポートにしろ、参加さえすれば例えダメージを与えられなくても経験値は入ってくる……その入ってきた経験値を確認できないから確かなことは言えないらしいが。


「よし、これで5体目だな!」


 先ほどリュウキもシズネも同時に冒険者レベルが上がり今はLV4である。

 効率はかなり良いはず。なぜなら、ここはソロであればかなりきつい狩場であるから。


「……ん。私のおかげ」


 リュウキ達の戦い方はAGIに優れたリュウキが牽制しつつ、シズネが岩魔法でダメージを与えているというものである。一応リュウキもATKには補正が入っているのだが、それでもリュウキの剣での攻撃が1割ほどのダメージであるのに対し、シズネの使う岩魔法であればMPを考えずに使えるので3割ほどまでのダメージを与える。岩魔法は連射ができないのが残念であるが、それを余り補うほどのダメージである。


「しかしまさかマッドドッグが2種類いるなんてな……」


 リュウキはマッドドッグと聞いて、『(マッド)(ドッグ)』と思っていた。シズネの岩魔法がどれほど効果があるのかと危惧していたが、指定された場所へと行ってみたらそこに生息していたのは『狂った(マッド)(ドッグ)』であった。目が血走り口からは涎が絶えず垂れており、見ただけで背中に寒気を感じる。そばには『汚れた(マッド)(ドッグ)』もいたのだが。こちらは薄汚れており、やはりあまり見て気持ちの良いものではなかった。

 だが、いざ戦闘に入ってみると、『狂った(マッド)(ドッグ)』は攻撃は単調でただ突進を繰り返してくるのみ。速さはリュウキが勝っているので避けるのは容易い。避けられて態勢が崩れたところをシズネが岩魔法の『エッジ・ストーン』で串刺しにしていく。

 二人にとっては『汚れた(マッド)(ドッグ)』の方が厄介かもしれない。足が遅いが、防御力に優れており中々倒れてくれない。シズネの魔法でも1割強を削るのがやっとだ。


「……でも、私たちの敵ではない」


 本来であればこの二匹は冒険者レベルが1のプレイヤー二人では5分以上かかってようやく一匹倒せるかどうかである。だが、ステータス補正が大きい『悪鬼変身』と『地底神王』の敵ではなかった。


 

 Double Name Online――略してDNOには職業というものがある。戦闘用のための戦士や格闘家、魔法使いなど……。他にも生産系職業である鍛冶師や商人などがあり、職業レベルを一定以上まで上げると上位の職業へと転職できるようになる。

 冒険者から他の職業へと転職するためにはLV10への到達、それに街にまで辿り着かなければならない。

 まあこの二人のこのペースであれば今日中には転職できているであろう。




「なあシズネ。冒険者レベルはこれで8になったけど、二つ名のほうのレベルが上がった?」


 およそ戦い始めてから2時間が経過し、二人の冒険者レベルはともにLV8となった。このまますぐにでも転職ができるようになるだろう。だが、ステータスを見る限り『悪鬼変身』のレベルは1のままだ。


「……私もまだ1」


「そうか。こっちは時間がかかりそうだな」


 二つ名は使えば使うほどレベルが上がっていく。だが、二つ名を使うということはMP消費を伴うため、リュウキは余り積極的には使っていなかった。一方、シズネは岩魔法を使っているためリュウキよりかは早くレベルが上がることになりそうである。



 


「これで……どうだ!」


 残りわずかとなった『汚れた(マッド)(ドッグ)』のHPバーをリュウキの剣が削りきった。

 『汚れた(マッド)(ドッグ)』の残したドロップアイテムを拾いながらリュウキの耳にレベルが上がった音が届いた。


「シズネ、お待たせ」


 シズネは数体前の『狂った(マッド)(ドッグ)』を倒した時に冒険者レベルが10になっていた。止めを刺すことが多いからなのか、シズネのほうがレベルの上がりが早い。


「……別に構わない。それよりも街へ行こう」


 二人が今いるフィールドはマップを見ると街のそばのガラクサ草原となっている。

 見渡すと何人かのプレイヤーが二人が闘っていた犬や、まだ見たこともないモンスターと戦っている。

 数体まとめて相手している者、一体を相手に四苦八苦している者、モンスターを無視して佇んでいる者など様々である。


「なあ君達、よければ助けてくれないかい?」


 始まりの街であるガラクサに繋がる門に近づいていると、一人のプレイヤーから助けを求める声が届いた。そのプレイヤーは『汚れた(マッド)(ドッグ)』と『狂った(マッド)(ドッグ)』を同時に相手しており、手に持った盾で攻撃を防ぐのに精いっぱいでいるようだ。

 まだHPにもMPにも余裕はある。それに他のプレイヤーと仲良くなっておくのも必要だろう、そう思ったリュウキは頷いた。


「ああ。行くぞ、シズネ」


 周りには少なからずのプレイヤーがいる。ならば罠ということはないだろう。それに街はすぐそこである。


「……うん」


「俺が一匹は受け持つから、シズネはあの男の人のほうに向かったほうを倒してくれ。……『悪鬼変身』」


 リュウキ最初に助言してくれたプレイヤーであるザギャの言いつけ通り、周りには知られないように小さな声で己の二つ名の能力を使う。

 リュウキの手足は黒く染まり、爪は鋭く尖り始める。黒い靄を纏うその姿は手足だけなら悪鬼と言ってもいいだろう。


「こっちだ、犬!」


 速いだけの『狂った(マッド)(ドッグ)』に一撃を入れ、タゲを取るとリュウキは男から遠ざかる。これで後はシズネが倒してくれるはずだ。


「俺も一人で戦えるようにしておかないとな」


 『狂った(マッド)(ドッグ)』の恐るべきところはこちらの攻撃に怯まないところだ。ゆえにこちらの攻撃時にも相手の噛みつきや突進に気を付けなければならない。


「グギャウ!」


 涎を撒き散らしながら『狂った(マッド)(ドッグ)』は噛みついてくる。

 リュウキは剣を捨て、その手に生えた爪で薙ぎ払い、堅くなった足で蹴りつける。

 レベルが10になり、『悪鬼変身』でATKとAGIの上昇したリュウキの攻撃はそれだけで『狂った(マッド)(ドッグ)』に致命傷を与えるのは十分であった。


「ギャンッ!」


 『狂った(マッド)(ドッグ)』は消えるが、リュウキは晴れない顔をしている。


「やっぱり俺は駄目だな」


 リュウキのHPバーは1割ほど減っている。薙ぎ払ったつもりの『狂った(マッド)(ドッグ)』の攻撃はやはり怯ませられずに腕に噛みつかれてしまっていた。


「……リュウキ終わった?」


 元から闘っていた男のほうは分からないが、シズネにはダメージが無かった。

 リュウキはシズクとの違いを見せつけられたように感じ、ため息をシズクには気づかれないように付きながら、


「ああ。じゃあ街に行こうか」


 リュウキとシズネが再び、門へ目指そうとすると、


「ま、待ってくれ」

 

 男が呼び止める。

 

「助けてもらった礼をさせてほしい。俺はマラータ。街に行くのか?なら飯を奢らせてほしい」


 リュウキは少し考えた後、


「じゃあ街を案内してくれないか?転職をしたいんだ」





 リュウキ 駆け出し冒険者 LV10  

     『悪鬼変身』   LV1

 HP  200

 MP  70

 ATK 20 

 DEF 20

 INT 20

 AGI 20

 DEX 20

 LUK 20

 *ATK・AGIに補正



 シズネ 駆け出し冒険者 LV10  

    『地底神王』   LV1

 HP  200

 MP  70

 ATK 20

 DEX 20

 INT 20

 AGI 20

 DEX 20

 LUK 20

 *HP・MP・ATK・DEF・INT・LUKに補正、AGI・DEXが微減少

所持スキル:岩魔法



ステータス表記変えました

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