4話 ゲームスタート
ほとんど設定関係です
投げやりなAIからほとんど何も教えられないままDouble Name Onlineの世界に来たリュウキとシズネはとりあえず現状の把握から始めた。
まず、見渡す限りの草原がある。
そしてリュウキの目の前にはシズネがいる。
見た目はどうやったか分からないが、現実でのシズネそのままである。
小柄な背丈、胸も平たい。だが、チビととるか小柄な儚い少女ととるかは多くが後者ととるだろう。
細いのだ。触れると壊れてしまいそうなように。
顔は幼く高校生になったばかりだが、まだ中学生でも通じるだろう。
肩の辺りで括られた髪は濡羽色であり、サラサラと風に揺られている。
幼いが、表情を見せないその顔は人形のように美しい。
時折、リュウキに見せる笑顔は多くの者を魅了していた。
リュウキの目線も同じなのでおそらく同じであろう。
リュウキは病弱であったためあまり外での活動はしてこなかった。
そのため肌は白く、手足も筋肉質ではない。
顔は中性的であり、肩まで伸ばされている髪も含め女の子と見間違える者もまれにいる。
実際、女装がよく似合う少年であろう。
服装は布でできた質素な上下同じ柄の服で、武器の類はない。
男女で服が違うようで、シズネの服はフリルがついている。
だが、質素な服にははっきり言って似合わない。
「俺の『悪鬼変身』もシズネの『地底神王』もまだどんなもんなのかは分からないし、そもそも世界設定すら知らないんだよな~。MMOだから闘うくらいか。シズネは分かるか?」
「……リュウキに付いていくって決めてたから何も分からない」
「……」
何も分からない二人がゲームを始め、しかもVRMMOすら初めてである。
現在、二人がいるのは足元までしかないが草が生い茂っている草原で、そこにできている道である。
Double Name Online――通称二つ名オンラインはいくつかの初心者用のスタート地点があり、この草原もそのうちの一つである。
「こういうときは誰かに聞いてみるか……」
見渡すと何人かモンスターらしき生き物と闘っている人がいる。
恐らく自分たちと同じくこのゲームで遊んでいるプレイヤーであろう。
そう思ったリュウキはちょうど、一息ついているプレイヤーがいたので思い切って話しかけてみることにした。
「あの、少しいいかな?」
話しかけたのは片手剣を腰に下げた男。
中肉中背、だが顔はわりとイケメン、そんな感じの男であった。
「ん?どうした?」
男は笑顔で二人に返した。
「いや、その……実は全く説明を受けられないでゲームが始まってしまって。ここのことが何も分からないんだ。よかったら教えてくれないかな?」
「……教えてほしい」
「おう、構わねえぜ」
シズネが横から一緒に頼んだからなのか、その男が親切な者だったからなのか、男は笑顔のまま了承した。
「俺はリュウキ。二つ名はえっと……」
「ああいや、二つ名は別に自分から言わなくてもいい。ああ、そっからなのか。二つ名は自分の能力を明かすようなものだからな。教えるのは仲間内だけにしとけ。俺はザギャだ」
「……私はシズネ」
「よろしくなリュウキ、シズネ。さて、まずは何から聞きたい?」
聞きたいことは色々あった。だがまずは二つ名からだろう。
このゲームの醍醐味なのに何も知らないのはまずいだろう。
「じゃあ二つ名のことについて」
「二つ名か。まあ俺も詳しくは知らないから少しだけになるけどな」
そういってザギャが二つ名について説明していく。
そして分かったことは以下である。
・二つ名はLV1から始まりLV10まで成長していく。LV11以上はなく、それ以上は二つ名が強力な名 前へと変わるらしい。
・二つ名の能力は人それぞれ。ゆえに強力なものもあれば、闘えない能力もある。だから人に教えてしまっては自分が弱いこと、弱点を教えることと同じである。
・能力はLVが上がるごとに少しずつ強くなっていく。
「俺が知っているのはここまでだな。後で二つ名こそ言わないが、俺の戦いを見せてやるよ。参考にしてくれ」
「ありがとう。じゃあその戦いについて聞いてもいいかな?その武器とか。ステータスはあるの?」
「武器はアイテムボックスに入っているぞ。最初は片手剣だがな。ステータスもある。二つ名によっては補正されることもあるぞ。アイテムボックスとステータス、この二つは言えば出てくる」
リュウキは早速アイテムボックスを開いてみた。
目の前にアイテムボックスの画面が現れる。半透明であるため向こうが透けている。戦闘中にも開けるようにであろうか。
アイテムボックスの中には薬草が10個、2万ゴールド、それと片手剣が入っていた。
とりあえずこの世界の通貨はゴールドなのだろう。
画面上の片手剣の文字に触れてみると、レア1という文字と装備、廃棄、譲渡とでた。
装備の文字を押すと、手の中に片手剣が現れた。
「お、できたみたいだ。それにシズネのほうも」
ザギャが関心したように言う。
見るとシズネも木でできた杖を持っている。
少し素振りをしているので闘いたいのであろう。
「シズネ、もう少しだけ待っててくれな」
アイテムボックスの次はステータスである。
同様にステータス画面が目の前に現れる。こちらも半透明。
画面上にはいくつかの数値があった。
リュウキ 駆け出し冒険者 LV1
『悪鬼変身』 LV1
HP 100
MP 20
ATK 10
DEF 10
INT 10
AGI 10
DEX 10
LUK 10
『悪鬼変身』LV1
アクティブスキル:手足を鬼に変えることでATK、AGLを上昇する。
パッシブスキル:ATK、AGLに補正。
10という数値が基本で、数値は分からないがステータスに補正がかかっていた。
『悪鬼変身』の能力も知ることができたのでリュウキにとって収穫は大きいだろう。
「10が基本だからな。ATKとかの説明も必要か?」
「ほかのゲームと一緒なら大丈夫だよ。ATKが攻撃力、DEFが防御力、INTが魔法力、AGLが敏捷力、DEXが器用、LUKがドロップに関わるってことでいい?」
「そこまで分かってるなら上等だな。ちなみにデスペナルティがこのゲームにもあってな、それが自分のアイテムボックスの中からいくつか廃棄っていうことなんだが、LUKが高いとそれがレア度の低いものになりやすいんだ。失う金額も少額になりやすい。それに、LUKは命中率にも関わるし、俺が知らないだけで他にもあるかもしれない」
「この剣を装備したときにレア1ってでてたな。いくつまであるの?」
「俺もまだ始めたばっかだからな。この草原にもモンスターがレア2のアイテムを落とすらしいが、俺もまだ出てないな」
「……リュウキ、私のステータス見て」
シズネが突然、リュウキに自分のステータス画面を見せてくる。
だが、リュウキにはシズネの画面は見えない。
「ステータス見せたいのか。ならまずはパーティー組まないとな。ステータスの左上らへんにパーティー申請って文字があるだろ?そこを押すと名前がいくつか出てくるからそこのシズネって文字を押して申請してみな」
リュウキは言われたとおりに、シズネに申請する。
そうするとパーティー申請の下にシズネの文字が出てくる。
「次にシズネがステータス画面に出てきたリュウキの文字を押して、ステータス公開って押してみな」
シズネが教えられたとおりに指を動かしていく。
そしてリュウキの目の前にシズネのステータスが現れた。
シズネ 駆け出し冒険者 LV1
『地底神王』 LV1
HP 100
MP 20
ATK 10
DEF 10
INT 10
AGI 10
DEX 10
LUK 10
『地底神王』LV1
アクティブスキル:岩魔法の威力上昇
パッシブスキル:HP・MP・ATK・DEF・INT・LUKに補正、AGI・DEXが微減少。岩魔法使用時に道具・武器・MPの必要がなくなる。
魔法:岩魔法LV1
リュウキとは比べ物になくステータスが上昇していた。いや、減っているものもあるのだが、総合的に見たらシズクのほうが圧倒的に補正の数が多い。
しかも何やら岩魔法についてすごいことが書いてある。
「……はい?」
「……私、神だから」
と、シズネは胸を張っている。
小さいくせに、とリュウキは思うがそれは口には出さない。出してしまうとこのスタータス差ではボコボコにされてしまうだろう。
「……今ちらっとだが神って言葉が聞こえたんだが。シズネ、もしかして……。いや、俺は何も聞かなかった。うん、そんなレアどころじゃない二つ名がこんなとこでしかも俺に教えられるようなプレイヤーなわけないもんな」
ザギャは聞き違いだという風に頭を振る。
「まあこれだけ教えれば闘えるだろうな。後は闘いながら自分で見つけたり覚えていってくれ。それもゲームの楽しみだろ。最後に、このゲームの目的でも話しておこうか」
ゲームの目的、それはMMOであるから冒険をすることである。
モンスターと闘って、レベルを上げて、素材を手に入れて、売って、買って、武器を強くして、さらに強いモンスターと闘う。それの繰り返しである。
季節などによってイベントがあり、またそれも楽しめるが、改まって目的を言われるようなことがあるのだろうか。
「このゲームの目的は魔王を倒すことだ」
魔王、それは魔物やモンスターを統べるものであり、ゲームのボスであることが多い存在。
当然、最後に闘うためかなり強い。
「ちなみに魔王もプレイヤーだ。というかこのゲームの開発部門の人間らしい。運営と言ったほうがいいか。魔王がその運営のトップ、その部下に四天王やら将軍やら色々いるらしいが、すべて運営の人間だ。魔王がいる魔王城に行くにはそいつら全員を倒さなきゃいけないらしい」
「へえ、今どのくらい倒されているの?」
「……AIに聞いたところ、0だとよ。まあまだ一か月しか経ってないこともあるが、運営の人間の二つ名は完全に戦闘向けのものばっからしい」
「それはそれは」
リュウキもこのゲームを遊ぶからには当然、そういった者たちと闘ってはみたい。
強くなる目的、目標が見つかり、少しこのゲームに対してのやる気が上がる。
「じゃあ最後は俺がモンスターと闘ってお別れだな!あ、あとで俺からフレンド申請しておくよ。パーティー申請のとこにあるからよ。フレンドになっておけばメールできるからいつでも聞いてくれよな。あと、今度飯行こうぜ。この世界の飯は美味いらしいからよ」
「もちろん、お礼に奢ってあげるよ」
「そいつは楽しみだ。おっと、いいところに狼が来たな。二人ともあいつはウルフ、まあ狼だな。この辺じゃあそこそこ強いが、俺なら一人でも倒せるやつだ。二人は最初はこれよりも弱いマッドドッグてやつにしておけ。ウルフよりも少し小さい犬みたいなやつだからよ」
そう言ってザギャはウルフのほうへと走っていった。
ウルフはザギャを見つけると噛みつこうと口を開くが、その時にはザギャは剣を振りかざし攻撃に移ろうとしていた。
ウルフの口をザギャが蹴りあげる。
蹴られたウルフが怯んだすきにザギャは剣をウルフの首へと振り下ろす。
「ギャンッ」
ウルフはそのまま悲鳴を上げ消滅した。
ウルフの消滅したあとには袋と大きな爪が残されていた。
「この袋は金が入っている。爪がドロップアイテムだな。じゃあまたな!」
「色々ありがとう!」
「……ありがとうございます」
ザギャはそう言ってどこかへと走り去っていった。
「じゃあ俺たちもモンスター倒してみるか」
「……うん」
実際に自分が動いて闘うということはどういうものなんだろうと、リュウキは幾ばくかの不安と勝利の喜びに期待していた。
よく考えたらMMOあんましやったことないというね。オンラインゲームすらほぼやったことないかも。
設定関係ってこのくらいですかね?
まだ足りないかな。
まあその辺はおいおいで。




