3話 リュウキとシズネ
話が進まないやつ
リュウキこと斬打竜輝と、シズネこと粒良寧音は所謂幼なじみである。
家が隣同士でお互いの両親も仲が良くたまに旅行に行ってしまうせいで二人きりで留守番をする……なんてことでは決してない。
家は少し離れており、両親はお互いに顔を知らず会ったこともない。それどころかシズネの両親はリュウキのことすら知らないのかもしれない。
それなのにどうして二人が幼なじみであり、一緒にゲームをするような仲であるのか……それは二人が小学生のときのとある事件(周りも当人達も大した出来事だとは思っていない)が原因であった。事件というよりはきっかけであろうか。小学校ではよくある虐めである。
シズネは小学生の時から感情を表に出すのが不得意であった。
嬉しい、悲しい、怒り、喜び……どれもクラスメートたちは見たことがなかった。
これが地味な外見の生徒であればよくある暗くて陰気なやつとでも扱われるのであろうが、シズネは見た目もよく、真面目な性格のせいで勉学にも励んでおり成績もクラス上位であった。
当然、こんなクラスメートを男子は放っておかないし、女子も羨み妬み様々な目で見ていた。
だから虐めに発展した。
男子はシズネの、気になる女子の色んな顔を見たいという理由で。
女子は自分たちとはどこか違うシズネに対しての小さな悪感情から。
シズネは誰に対しても助けを求めることもせずただ耐え続けた。
両親は共働きのせいか、シズネとは週末のほんの数時間しか顔を合わせず、しかもそれもほとんど会話はなく、関わりがない。そんな両親にいつ助けを求められるだろうか。
シズネが心の中で何を思っていたか分からない。
だが、周りは何も反応のないシズネを見て何も反応がないからもっと凄いことをやってみれば今度こそ反応があるに違いない、自分たちのことを無視してお高く止まってるなど益々虐めを陰湿な、卑劣なものへと変えていった。
靴を隠すのは当たり前。
給食が少なくなったのは最初だけ。今は普通よりも多くして残すかどうかの反応を見る。
シズネの持ち物はみんなのもの。
シズネが世話をした動植物は次の日には全く別のものへと変わっていた。
決してクラスの外には漏れ出させない。
先生は見て見ぬ振り。
いくら感情が表に出にくいからといって心はある。何時まで保つか分からないが、限界は近づいていた。
そしてそこを救ったのがリュウキである。
リュウキは生まれつき体が丈夫なほうではなかった。大病こそ患わなかったものの、ちょくちょく病気になり、風邪にかかっては学校を休んでいた。
そんなリュウキをクラスメートは心配はしていたが、どこか他人ごとのように扱っていた。
だからこそ、リュウキが虐めのことを知ったのはシズネが虐められてから一年後であった。
リュウキとシズネが六年生になり、さりとて小さな小学校であるためクラス替えはなく、二クラスあるがそのまま上の学年に上がるだけというつまらない過程を得て、ようやくリュウキとシズネは同じクラス、隣の席へとなった。
リュウキは風邪のため数日振りに登校しており、授業内容がすっかり遅れていた。
これまで通り、隣の席の者にノートを見せてもらおうと思ったが、席替えをしたばかりで隣の席は両方ともあまり話したことがない生徒。
このとき、どちらに話しかけることもリュウキにとってはあまり親しくない人に話しかけるという点では同じであった。
だが、その両隣の人格、内面、クラスでの立ち位置は全く違っていた。
左に座るのはシズネ。虐められながらもそれでも授業にはついていこうと懸命にノートをとり、先生の言ったことをメモしていた。
右にはこのときのリュウキには知らぬ事であったが、虐めの主犯格の一人の女子であり、派手な洋服を着飾り更に隣の女子とおしゃべりに夢中であった。
授業を真面目に受ける左の生徒、クラスメートとのおしゃべりをする不真面目な右の生徒。どちらから授業内容を教えてもらうかは火を見るより明らかであろう。
「ごめん、しばらく授業休んでたからノート見せてくれない?」
そうリュウキはシズネに頼んだ。
静かな、小さな声ではあるがそれでも周りにいた生徒たちはザワザワと驚きが起きた。
「ん」
そうシズネは言い、ノートを渡した。
虐められたことがないからなのか、それとも悪意を感じなかったからなのか素直にだ。
「ちょっとあなた、リュウキ君だっけ?そこの人には話しかけないほうがいいわよ。私たちのことを全く相手にしないみたいだから」
授業が終わり放課後、女子に囲まれリュウキはそう告げられた。
「なんで?」
混じり気のない、純粋な疑問であった。
「聞いてなかったの?そこのシズネさんは私たちに関わりたくないのよ」
今までそのようなクラス関係を知らなかったリュウキにそんな事を急に言われても、知らないのだから判断のしようがない。
「そうなの?」
リュウキは知らない、分からないがゆえにシズネにきいてみた。
「……」
シズネは何も答えなかった。
関わくないわけではない。できれば仲良くはしたい。だが、今からこのような者達と仲良くしろと言われてもできるはずがない。
しかし、周りとは関わりたくないと言ってしまえば今後、その言葉が広められ一切の友好関係が結べなくなるかもしれない。
だからこそこの場は沈黙するほかなかった。
「ほら、シズネさんは無視してるのよ。私たちのことは眼中にないのよ」
そこまで言うほどシズネがこの少女に何をしたのか。いや、何もしてないからこそだ。
一言でも嫌だ、やめてと言えれば良かったのかもしれない。そこで周りも自分たちのしたことを振り返って反省し謝れたのかもしれない。
だが行き着くところまで来ており、戻ることも道を変えることも曲がることもできない……この少年を除いては。
「うーん。俺はシズネさんと仲良くしたいな。というかみんなと仲良くしたい。それはだめなの?」
駄目と言われても少女たちは何も言えない。
シズネは被害者ともいうべき立場であるし、周りの人間は仲良くしなかった者達の集まりである。
「俺はシズネさんが駄目と言うまで話しかける。もちろんみんなにもだ。いいよね?」
これに駄目と言える人間はどれだけいるだろうか。友好的な人間に対し拒絶の言葉を述べるのはよほどのことがない限り難しい。
当然この場に拒絶できる人間はいなかった。
「よろしくねシズネさん、それとみんなも」
小学校を卒業するまで、中学校を卒業してもシズネと虐めに荷担していた者達は距離を置いていた。
だが、リュウキ一人だけはシズネに積極的に話しかけ、自らの趣味であるゲームを勧めた。
いつからか互いに友情以外のものが芽生え始めるが、互いにそれには気づかない。
いつまでもこの関係が続くと思っていたから。
そしてリュウキの誕生日になり、リュウキは16歳を迎える。
VRという年齢制限のあるゲーム機器とDouble Name Onlineというソフトをリュウキの家に持ち寄って。
こんな感じなんですかね
ゲームの話書きたいのに小学校の話とか
足りないとこあるかな?




