「88話」
「お客様です?」
「……長尾家の者ですが、ここに来るとは聞いておりませぬ」
興味本位で遊佐さんい聞いてみたけれど、少し間を置いて素直に教えてくれた。
ただやっぱいつもより声が硬いねえ。
てか、長尾家ってあれだよな。
陶石を運んでもらう上で協力して貰うところだよねえ。
「長尾というと陶石を運ぶのお願いしていた国ですよね。もしかすると商人を介さずに直接持ってきてくれたんです……?」
だとしたらこの雰囲気はないよなあと思いつつ聞いてみた。
そして遊佐さんにそれはまず無いとばっさり否定されてしまった。
やっぱりかー。
しかしなあ、まえに聞いた時は交易が盛んでーとか言ってなかったっけ?
ほんの半年やそこらで何か変わってしまったんだろうか。
「御子神殿はそこに」
「あ……」
そのあたりどうなっているのか聞こうと思った直後、門の外から何やら物音が響いて遊佐さんが外に出て行ってしまった。
はて、どうしようか。
遊佐さんが居ないとなると誰に聞けば良いのだろうか……丸山様でもつれてくる? あ、でも今どこに居るか分からんのよなあ。
うーん……そのへんに居る人に聞けば良いか。
たぶん知っていること教えてくれるでしょ……俺、神使扱いらしいし。
「何か厄介毎でもあったんです?」
「あ、いや、その」
とりあえず門の外からは見えない位置で、手近にいた兵士に声を掛けてみる。
まさか俺に声を掛けられるなんて思っていなkったんだろう。あたりをキョロキョロと見渡し、誰も助けてくれる気配がないと察するとサッと顔色を青く変えた。
「私は離れていた方が良さそうですね」
さすがに気の毒になり、兵士の口からは言いにくい事か詳しくは知らないのだろうと判断し、とりあえず門から距離を取ることにする。
たぶん俺に対してどうこうって話ではないだろうけど、何と言うか俺が居て話がこじれてもしたら悪いしねえ。
と、思ってくるりと後ろを向いて歩き始めたその瞬間、背後からこの町を治める御子神様にご挨拶がとーたらと聞こえてしまった。
「治めてないんだけどねえ……?」
そう呟いて、近くに居た兵士に視線を向けると、え??? って顔された。
まじめに治めてはおらんのだけどねえ!
「とりあえず避難しておきますので、何かあれば呼んでくださいと遊佐様にお伝え願えますか」
「ははぁっ」
とりあえずここは離れておいたほうが良さそう。
ようは噂を聞いてここまで来たってことでしょ? 陶石とか関係なさそうだし、俺がいたら話こじれそうだし、絶対離れていたほうが良いやつだ。
「さて……ドローン買っておいてよかったねほんと」
まあ、離れはするけど様子は見させて貰うんだけどね。
マイクがついていないから、離している内容なんかは分からないけれど、何人いるのかとかどんな人が居るかぐらいは分かる。
ってな訳で行ってこーい。
とりあえず矢で射られても良いように、距離だけはとっておくかね。




