「85話」
「以前御子神殿より頂いた酒が実にうまくてな……すぐ飲み切ってしまい、後悔しておったがこうしてまた飲めるとはありがたいことだ」
めでたしめでたしってことで、残りのお土産ですぜとお酒を出したところそのまま宴会に突入してもうた。
なんかね一人一升割り当てられているんだけど、正気か?
良くて二日酔い。下手すりゃ急性アルコール中毒になりそうな量だけども。
……いつもそんだけ飲んでるんだろうかねえ?
「いやはや、仰せの通りで。某もあっという間に飲み切ってしまいましてな……自戒の意味も込めて酒断ちをしていましたが、みてくだされ。酒を前にすると手がこのように震えておりまする」
「某もですぞ!」
「お主らはしばらく酒断ちしていたほうが良さそうだの」
手遅れじゃったか。
「九郎左衛門。御子神様直伝の酒造り、しかと学んだのであろうな?」
「はっ、肝となる部分はしかと会得いたしました。まずは去年の米を試しに仕込んでおるところにございます」
「うむ。出来栄えのほど、追って報告せよ。まことに楽しみなことだな」
「はっ」
なんかすげえ真面目な殿と家臣の会話に聞こえるけど、べろんべろんに酔っぱらってるんだよねえ。
なんでその状態でまともに会話出来ているのか不思議すぎる。
ちなみに酒造り学んでる云々は長さんね。
消毒はしっかりやりましょーってのと、造るなら冬の方が向いてるぞーってのと、あとは作り方が多少異なるところがあったんで、その辺は伝えておいた。
次の米を収穫してから作るんかなーって思っていたけど、もう作り始めてたんだねえ。
どんだけ酒好きなんだ。
まあいいや。
とりあえず皆が潰れるまでは付き合おう。
……潰れるよね?
朝までオールとかは勘弁して欲しいけども。
「朝日が眩しいねえ!!」
おはよう朝だよこんちくしょーめ。時告鳥の代わりに朝の挨拶してくれる。
まったく……皆なっかなか潰れなくて結局日が昇るまで掛かってしまったよ。
とりあえず皆酒瓶抱えた寝ているし、このまま放置だな。
「写真と動画とっておこ」
貴重な戦国時代の七尾城から見える朝日だよ。
歴史学者が大喜びするに違いない。あと歴史好きな人も。
「ため込んだ動画とかアップしとこ」
境内周りの作業風景とか結構たまっているし、そろそろネットにあげても良いな。
結構な容量だけど、わりと回線速度早いのでさくっとアップできちゃう。
「じわじわ登録者増えてはいるけども……コメントとか登録者倍になったら見よっと」
前に見た時より500人ぐらい増えているかなー。
でもまだ大半が炎上している時にフォローしてきた人だろうし、アップするだけアップしたらあとはもうしばらく放置だねえ。
反応してもろくなことにならんだろうし。
「御子神殿! そこにおったか、米がそろそろ炊けますぞ!」
おっと、遊佐さんに呼ばれちゃった。
これはご飯炊いたからおかず用意してってことだな。
そんじゃまー朝食食べて帰るとしますかね。
色々と収穫はあったし、満足である。
帰ったらどんな温泉施設にするか考えないとねえ。




