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転生先は戦国時代でした。ただそろきゃんして、おいしくウィンナー食べたいだけだったのに  作者: 熊ごろう


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84話「新年のあいさつ。その3」



「まさかお越しいただけるとは、新年のご挨拶をいただき喜ばしき限りにございます」


岩を並べたあたりで義総様がお待ちですぞーと本丸まで連れてこられた。

そしていきなり深々と頭を下げられたんですが……どういうことなの。


「些少ながら、新年の祝儀です。お納めくだされば幸いです」


「新年早々、神使様よりの進物を賜るとは……身に余る光栄。恐れ多くも頂戴つかまつる」


とりあえずスルーしてお土産をどうぞどうぞと渡すが……なんか前に合った時と様子が異なるんですけどお??

目も何か怖いし……いつかの遊佐さんの様だ。


と、俺が身の危険を感じてじりじりと後ろに下がっていたら、ふいに咳払いが。



秀盛様だった。

すると目の前の義総様がハッとした顔になり、姿勢を正すとちらも取り繕う様に咳払いをする。



「こちらは筆に見えるが……はて、こちらはみたこともなき物にございますな。御子神殿、これは何と呼ぶ御品ですか?」


以降の義総様は以前にあった時と同じ雰囲気に戻った。

若干言葉遣いが偉そうじゃなくなってるけど、まあさっきよりずっとましである。

一体何だったんだろうか。


っと、お土産の説明せんと。

筆はともかく眼鏡は意味不明な道具だろうしねえ。


「まずこれは筆であっています。ただ……ちょっとお借りしますね」


義総様に一言断りを入れて、筆ペンを容器から取り出して手に持つ。

そしてこれまた持ってきていたA4用紙を一枚取り出して、さらさらっと俺の名前を書いてみる。


うむ。我ながらうまく書けたんじゃない?

若干惰性だったけど、毎年年賀状手書きしていた甲斐があったねえ。


「このように墨を付けずとも書くことが出来る筆です」


「おお!」


俺がそういって名前を書いた紙を見せると、義総様は紙をてにとり穴が開くほど見つめていた。

瞳孔開いてそう。


「こちらは黒以外ですねー……このままでも良いですが、筆同士をくっつけてから書くと色が変化したり」


「なんと!」


瞳孔開いてそうなのはスルーして、カラーの筆ペン……正確には筆ペンじゃないらしいけど、そっちの使い方も説明する。

グラデーションさくっと作れるから結構便利なんだよねこれ。

それにここまで鮮やかな色はこの時代にはあまり無いんじゃないかな……確か結構使える色が限られていた気がする。青から紫へのグラデーションをチョイスしてみたけど、結構反応は良さそうだ。目が怖い。


これまた俺の名前を綺麗なグラデーションで書いて義総様に手渡すと、義総様はそのまま固まってしまった。


……いや、せっかくだから義総様にも試し書きして貰いたかったんだけどねえ。

てかこの時代にも筆は勿論、青とか無境の色は一応あるだろうしグラデーションなんかもやろうと思えば出来たと思うんだよね。墨をつけなくても書けるって点はこの時代には無いだろうけどそれ以外はそれほど珍しくもないだろうに。



「……この筆、見事な書き心地にございますな。それにこの見た事も無い色の墨……このほどの名筆を譲って頂き、改めて御礼申し上げます」


数分後。

割とすぐ復帰した義総様はそういうと大事そうに筆を……というか俺の名前を書いた紙を後生大事にしまっていた。


「ここの墨がなくなったら言ってくださいね。補充も出来ますので」


それは見なかったことにしたよ。


それよりも次は本命の眼鏡だ。

義総様の目が悪いと助かるが……いや、これだと語弊がありそうだ。


眼鏡の効果をより分かってもらうには、義総様の視力が悪いと助かるという意味であって……はい、やっぱなんでもないです。


どう言い繕っても義総様の視力が悪いことに期待してしまったことには変わりない。

……っと、あまり黙ったままだと不審がられてしまう。

とりあえずは眼鏡の説明をしよう。凹むのは後から出来る。



「それでこれはですね。眼鏡といって目が悪くなった人の補助をする道具です……義総様は遠くを見るとぼやけて良く見えない事はありますか? それか逆に近くの物が見えないとか」


「……実は、近頃はちと遠くがかすんで見えることがあり、困っておりまする。手元はしっかり見えるゆえ、差支えないのがせめてもの救い……その、眼鏡を使うと遠くが見通せるようになりまするか?」



幸い……と言ってはあれだが、義総様の視力は悪かったようだ。

いくつかテストしてみたが、現代でいうところの両目合わせて1.0いくかどうかぐらいの視力だろう。

近くの書物が見えにくいといった症状はなかったので、ただ単に目が悪いだけである。


これなら持ってきた眼鏡が効果ありそうだ、と渡して付けて貰ったところ……それはもう大喜びでね。何事かと護衛の兵士が飛び込んでくるほどに喜んでいたよ。




「湧浦の海より湧き出る湯を使いやすく整えたいと……無論、好きに差配して構いませぬ。もし人手がたりぬとあらば、いつでも申し出くだされ、直ちに手配いたす」


この喜び様なら温泉のことお願いすればあっさり通るんじゃね? と思いお願いしたみたらあっさり通ったよ。

しかも必要なら手伝うよときたもんだ。


ありがてえありがてえ。

完成したら自分も入りたいーって言ってもいたけど、それぐらいなら問題なしだ。

俺も含めてそんなに頻繁に使うわけじゃないだろうし……管理する人おかないとダメそうだねえ。


そっちは後で考えるか、義総様にぶん投げてしまおう。

言ったら人出手配するって言っているし!


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