74話
日本酒を楽しんだ翌日。
朝食を食い終えた俺はキャンピングカーの前で焚き火をしながら茶をしばいていた。
遊佐さんはそこらに転がったまま動かない。おそらく二日酔いだろう。
実は今日はお客さんが来る日なのである。本来なら家の中で対応すべきところではあるが、あいにくとまだ俺の家は完成していない。あるのはお酒を保管しておくために建ててもらった小屋だけだ。
俺としてはとりあえず住めれば良いので……と伝えたのだが遊佐さんとしてはしっかりした住居を造りたいようで、結局どうにかすり合わせをして無駄に大きくなるのだけは回避することができた。
ただそれでも建築に時間が掛かってしまうので、その間はキャンピングカーで寝泊まりすることになる。
今まで通りだね!
ちなみに外でテント建てて寝ようともしたが、それはさすがに勘弁して欲しいと色んな人から言われたので自重しておいた。
はよ色んなところに遊びに行けるようになりたいもんだねえ。
「あ、お二人ともお呼び立てしてすみません」
っと、考え事をしている内にお客さんが来ていたようだ。
少し慌てて立ち上がり軽く挨拶をすると、以前よりふくよかになった印象を受ける二人がそろって頭を下げた。
「なんの御子神様のおかげで稼がせて頂いておりますからなあ」
「その通りです」
お客さんは商人の赤井さんと緑谷さんね。最近会っていなかったから少し懐かしい感じ。
なんでこの二人を呼んだかと言うと
遊佐さんの収入の件や、この辺りの村人の収入を上げる目的で二人に頼みたい事があったのである。
物が物なので手代ではなく、直接お二人に来てもらった形だ。
「椎茸の栽培に興味ありませんか?」
「ありますとも!」
「詳しくお聞かせ願いたい」
椎茸作るにしても売らないことにゃ収入にならないからねえ。
そしてその辺りの販売を任せるならこの二人に頼むのが一番だろう。
いずれ外に漏れるにしても、おそらくこの二人であればここで造っていることを言いふらしたりはしないはずだ。
そんなことをするつもりならここに入れないだろうしね。
あとは椎茸農園を最初は境内で、そのうち広げることになるんだろうけど……その際に外にここの情報がなるべく漏れないような仕組みを考えないとなので、そこの案だしなどもして貰おう。
「それでは御子神様。椎茸の栽培が成功した際にはお声がけくだされ。何をおいても駆けつけますゆえ」
「いやはや実に楽しみですねえ……それでは御子神様またお会いできる日を楽しみにしております」
「はい、道中お気をつけてー」
二人とも良い笑顔で帰っていった。
まあ、椎茸は高く売れるしほぼ独占できるとなれば猶更だろう。
二人も笑顔になるのも良く分かる。
……良く分かるのだが。
「どうかしたのか?」
「三郎ってかわいかったんだなーって」
「うむ! ……うむ?」
同じ狸でもえらい違うなあって。三郎は冬毛に変わってもっふもふなっとるし。
こう……にちゃあって感じの笑みがとても似合うんだけど、うさん臭さが爆発してる。




