72話「気付いていなかった機能」
ちょっと座るのきつくて執筆できておりませんでした(´・ω・`)足がシビビビ
「……なんというか狸ってこんな懐くもんなんですねえ」
「うむ!」
遊佐さんが狸に餌をやってかしばらく、結局狸はあの場から離れようとしなかった。
たまにふらっと居なくなったかと思っても、腹が減る頃には再びこの場に戻ってくるのである。
そしてその度に餌をやる遊佐さん……今ではすっかり懐いてまるで犬の様だ。
てか冬毛じゃないとちょっと変わった犬にしか見えんし、犬だなもう。
「バナナを貰ってもよいか」
犬の餌を用意している遊佐さんを眺めながら、朝食のデザートを食べていたが……バナナをご所望のようだ。
「どうぞどうぞ。好物なんでしたっけ」
房から1本むしり、はいどうぞとバナナを手渡す。
ちなみに好物なのは遊佐さんではなくて狸である。
なんというか、この時代の基準で考えるとかなり贅沢なもん食ってるよなあこの狸。
「うむ! 三郎はバナナが好きでなあ……これが食事にあると、それはもう嬉しそうにするのだ」
なんというか、遊佐さんめっちゃ狸甘やかしているよね。
それはそうと三郎って誰ですかねえ!
「……狸の名前ですか」
「うむ。遊佐三郎狸衛門と名付けたのである」
「おお……私より名前が長い」
別に狸と名前の長さについて争う気はないけど、すげえ名前貰ったなこの狸。
本人? は我関せずでひたすら餌に夢中だけど。
まあ……平和でなにより。
「あ、これ良いな」
朝食を食べた後は、パソコンで中古品の販売サイトを眺めるのが最近の日課になっている。
というのも遊佐さんの収入があれだからね。ちょっと支援しようかなーと。
目当ては現代だと格安で入手できて、戦国時代では高値で売れるものだ。
具体的に言うとガラス製品だったり磁器を狙っている。
ガラス製品については朝倉云々があったけれど……どうも朝倉と能登畠山の関係は最近微妙らしいんだよね。
だから気にせずやっちまいなとお偉いさんからGOサインが出ている。
もし難癖付けられてもあちらの製品とこちらの製品では物が違いすぎるので、どうとでも出来るそうな。
頼りになるねえ!
磁器については戦国時代だとほぼ輸入品……唐物しかないらしく、かなり高級品だ。
こちらは下手すりゃ無料で手に入るものが大金に化けるのでかなり美味しい。
自重はしないのかって? ……静かに目立たず暮らすならすべきなんだろうけど、能登畠山においては俺という存在は知られてしまっているし、そのうち国外にも知られてしまうだろう。
いつどこからちょっかい掛けられるか分からん状態ということだ。
それなら自重を捨てて、今のところ友好関係を築けている能登畠山に力をつけて貰い、よそからちょっかい掛けられないようにして貰おう……とまあ、そんなことを考えている。
安定してくれないとあちこちキャンプしに行けないからねえ!
温泉もまだあきらめてないぞ。
どうやら海岸沿いに比較的浅めで湧き出る温泉があるらしいので、この時代でも使えそうな上総掘りの技法を伝えて温泉掘り当てるのだ。
そこに温泉宿っぽいの建てて、たまに泊りがけで温泉楽しみに行くのだ……夢が広がるね。
「じゃ、これ今日の分です」
「うむ……」
入手したガラス製品や磁器はいったん遊佐さんに預ける。そのうちこの手の物に詳しい人が引き取りにくるので、まとめて渡して各所に売りつけて貰うのだ。
「いつもかたじけない」
「いえいえ、自分のためでもありますので」
遊佐さんは俺が気を使ってそんなことを言っている……とか考えているかもだけど、まごうことなき俺の本心である。
器を遊佐さんに渡した後は暇になる……なんてことはなく、畑の手入れをしあた後に普請の現場に赴いて手伝えることがあれば手伝うことにしている。
何せ今の俺は人間重機といっても過言では無い。
木を引っこ抜いたり岩を砕いたりとやることは沢山あるのだ。
最初はドン引きされたし、なんなら拝まれたし……拝まれたと言っていいのか微妙だけどさ、どっちかというと命乞いに見えなくも……いや、あれは拝まれたのだ。そうに違いない。
そんな色々なことがあって、今では俺を見かけると挨拶してくれるぐらいには仲良くなれたと思う。
「休憩しよっと」
あまり張り切り過ぎても他の人らがついてこれんからね。
程よいところで休憩にするのだ。
あまり目立つところで休憩するのもあれなので、適当な木の枝に腰掛けて包みをひらく。
中には朝握っておいたおにぎりと、漬物が入っている。あとはお茶。
おにぎりをぱくつきながら作業風景を眺める。
大勢で作業しているだけあって、毎日景色が変わっていくのが楽しいね。最近はこの休憩タイムが楽しみになっていたりする。
「こんな大勢で手作業の普請とか、現代だとまず見られないよねえ……写真と動画とっておこ」
ここで写真とか撮って残しておけば、将来一次史料になるんだろうか。
それとも偽物扱いされるか……んま、そんな未来の事を気にしても仕方ないかね。とりあえずは俺が後で見返して懐かしむ為に記録は残しておくとしよう。
「……あれ?」
撮った記録は保存しなければならない。
あいにくと俺のパソコンはスマホもそうだが、最新のものと言う訳ではないしハイスペック品を買ったと言う訳でもない。
とりあえずネットが使えて動画が見れる程度のスペックしかない……当然ストレージの余裕もあまりない。今は良くてもそのうち限界がきてしまう。
外付けHDDでも買うかなー……と考えていた時だった。
ネットに繋がるんなら、データの保存もネット上にできるんじゃね? と気が付いてしまったのである。
俺って天才か。
まあ、神様が用意してくれた謎ネット環境だからこっちからデータをどうこうするのは出来ないとは思うけどね。
「んんー……まじでアップ出来ちゃったよ」
あっさり出来たよ。
某ポータルサイトのオンラインストレージに試しに入れてみたらエラーではじかれることもなく、あっさりアップロード出来てしまった。
あの神様まじで凄いな。
……家が出来たら神棚でも用意しておくかね。
それはそうと、せっかくデータをアップロード出来ることが分かったんだ、何かやれることはないか……?
写真をみんなに見せる? 動画もアップできるよな……でもどこにやりゃ良いんだろう。
「認証メールきた!」
ネットで調べたらSNSや動画投稿サイトに投稿するのが良いんじゃね? と出てきたので、人生初のSNS登録をやってみている。
メアドの取得が出来るか不安だったが、そこは問題なくできた。
そしてSNSサイトからの認証メールも無事届いた。
「名前……別に本名で良いか。プロフィールは転生先は戦国時代でしたっと」
どうせ一度死んでいるし、ここは別世界である。
別に本名ばれようが問題なかろうと、プロフィールがあるがまま記載しておいた。
……この後、仮にも死んだであろう人の名前をそのまま使用し、あまつさえ転生しましたーなんてふざけたプロフィールにしていた事もあって無事炎上するのだが、登録した時は浮かれてた事もあってこの時は気付いてなかったのであった。




