69話
「これが狸用の食い物か……割と豪勢であるなあ」
結局、遊佐さんが根負けしてしまったので狸に餌をあげることにした。
餌あげて良い? みたいな顔でこっちをじっとこちらを見るのは反則だと思うんだよね。
最初自分の飯を少し分けるつもりだったようだけど、狸的にはあまり体によろしくないかも? と言う訳で、簡単に調べてバナナと鶏肉とサツマイモ、あとドッグフードをあげることにしたよ。
量はさほど必要ではないから良いけど、確かになかなか豪勢な食い物だねえ。
んで、餌を与えられた狸がどうなったかと言うと。
出された餌を一切警戒することなくぺろりと平らげて……そのままゴロンと横になった。
野生どこいったのかな?
「そういえば、遊佐様領主になったということはどこかにお城あるんですか?」
とりあえず狸は放置しとけばその内どこか行くだろう……という訳で、ちょっと気になっていたことを遊佐さんに聞いてみる。
七尾城いく途中にそこそこ立派な建物はいくつか見かけたんだけど、この近辺には無かったんだよね。
だから遊佐さんのお城がどこにあるのか気になったのだ。
近所なら遊びに行ってみたいところだが……。
「ないぞ。何せ決まったのはつい最近だからな」
無いんかい。
え、ちょっと待ってじゃあ宿無しってこと?
領主が野宿とか受けるんだが。
「と言うことはこの近所に建てるんです? それとも今浜のあたりとか」
笑いを堪えて一切表情に出さずこの質問を出来た俺を褒めてほしい。
「今浜は他の者がおるでな……境内の端か、境内のすぐ外のどちらかで考えておる」
ああ、やっぱ居るのね。
なんか砦ぽいのもあったし、確か要所なんだよなあの辺りって。
あの近辺でちょいちょい戦があったとか見た記憶がある。
んで、境内の端っこかすぐ外ね……結構ここから離れてるよなあ。
んまあ、あんまり近すぎてもプライベート的なやつがあるので、多少離れていた方がお互い良いのかも知れないね。
「砂糖とか椎茸作る場所は境内ですよね……その近くで良いんじゃないです?」
「それもそうだな……」
それなら境内かその外かどちらが良いかとなると、重要そうな施設の近くが良いんじゃなかと思うのだ。
なんなら領主の館ごと壁で囲っちゃえば良いし。
その後、境内の範囲について聞かれたのでその辺に転がっている木をばらして杭にして、範囲が分かりやすい様にキャンピングカーを中心に円を描くように杭を打ち込んでいった。
「ふむ。やはりこの範囲か」
打ち終わったところで遊佐さんが納得したようにそう話していたのでどういうことか尋ねてみると。
「ここを超えると何と言うか……雰囲気が変わるのだ。不思議な感覚ではあるがそうとしか言えぬ」
どうやら例の範囲を跨ぐと俺だけじゃなく他の人も何かを感じるようだ。
種籾とか割と素直に受け取って育てくれたのは、その辺が影響しているのかもね。
今後何かしら人と会う時は、キャンピングカーから離れすぎないように気を付けておこう。




