37話
ふっかつ('◇')ゞ
でも代わりに坐骨神経痛が発症しました(´・ω・`)なんでや
「みなさんおつかれさまでーす」
川のそばで何やら紙をのぞき込んで話し合っていた三人であったが、俺の声が聞こえた途端体がびくりと跳ね上がる。
もしかすると逃げ出している可能性もあっただけに、しっかり作業していてくれたようで嬉しい。
とりあえず酒飲ませよう。
どこか鍋を置く台が欲しいが……さっき地面から引っこ抜いた岩でいいか。
高さが割とちょうど良いんだよね。平たいからこぼれる心配もないし。
「寒い中の作業大変でしょう。体が温まるものを用意したので……はい、どうぞ。甘酒です」
「あ、あり、がとう……ます」
甘酒を注いだ紙コップを震える手で受け取る三人であったが、なかなか飲もうとしない。
その様子を俺はニコニコと笑みを浮かべて眺めていた。
やがてその圧に耐えられなくなったのだろう……喜兵衛さんがコップを口元に持っていき、お? といった表情を浮かべた。
アルコールの香りで間違いなく酒だと理解したのだろう。
コップに口をつけ、なめるように甘酒を一口。
「うめぇ……」
そこからは一気にコップの中身が減っていった。
ほかの二人も喜兵衛さんの様子をみてコップを傾け始める……ちょっとむせていたけど。
アルコール強すぎたかねえ。
んまあ弱くて酔わないよりは良いでしょ。たぶん。
「食事です。おにぎりの具は何種類かあります。こっちの皿は適当に食べる分取り分けてくださいな」
1杯目を飲み終え、2杯目に入ったところでおにぎりやら常備菜、それに鳥汁を出す。
お酒の力で警戒心が緩んだ三人は、すぐに料理に手を伸ばし始める。
「この米うまいな」
「うめえな」
「……水車を精米に使うと聞いたときは、変わったことをする人もいるもんだと思ったが、こいつは確かに……うまい」
おにぎり大人気だねえ。
現代の品種改良されたお米だし具もちゃんといれてるからそりゃ美味しいだろう。
みんなおかずに手を出すことなく、ひたすらおにぎりをぱくついているよ。
……他のもちゃんと食べてね?
「鳥汁おいしいねえ」
食事をはじめて20分かそこら、出した食事は鳥汁を残して食い切っていた。
鳥汁が残っているのは単に熱いからであるが、そろそろ飲みやすい温度になったこともあってどんどん嵩が減っており、食切るのも時間の問題である。
「御子神様。早ければ明日にも作業開始しやすが……もしかして明日以降も食事用意なさるおつもりですかい」
お酒と食事効果によるものだろう。
さっきまであった緊張感の様なものはなくなっていて、俺に話しかける口調も自然なものになっている。
やはり一緒に酒飲んで飯を食えば仲良くなれるのは現代もこの時代も変わらないようである。
……まあ絶対うまくいく訳でもないんだけどねえ。相性とか色々あるし。
それはさておき、明日以降ここに穴掘ったりする人足がくるわけだけど……まあ、今後のことを考えると仲良くなっておいたほうが良い。
たぶん来るのは近所の人だろうしねえ。
「ええ、とはいえここまで豪勢にはできないですけどねえ。温かい汁ものにうどんでもいれようかと」
「なんと!」
うどんって本当に安いからね……特売狙えば1kg入って100円~200円で買えるし。
具と一緒に煮込んでおけばこの時期美味しい煮込みうどんの出来上がりだ。
安くて簡単で美味しいって実にすばらしいね!
「寒い中作業してもらうんですから、それぐらいはしないと」
「……御子神様のお心遣い、心より感謝いたします。我ら必ずや立派な水車小屋を建ててみせましょう!」
あらやだなんかすごい気合入ってる。
お酒が入って大げさに言っているのか、宗教的なあれか……両方かな?
「ありがとうとても嬉しいです。でも無理はしないでくださいね?」
ありがたい事ではあるけれど、ちょっと怖いものがある。
作業を急いて怪我したりとか、ないと思うけど予算オーバーなのを作ったりとかね。
怪我もして欲しくないし、持ち出しで水車小屋作るのもダメだ。
作業中はちょいちょい様子を見るようにしないとなあ。
明日きた人にも一言伝えておかないとなー……と、何となく村があるであろう方向へ顔を向けた時であった。
遠くから何か音が聞こえる……おそらくは人が走る音。
「……何か近づいてきてる?」
それは徐々にこちらへと近づいているようだった。
ここに来る人は限られているので、おそらくその内の誰かなんだろうけど……足音からして一人だな。
一人? 遊佐さんもだけど、ほかの商人さんも一人でくることはまず無いよな。
はて、一体誰だろう……もしかすると初めてここを訪れる人かも知れない。
うーん……炊事の煙が見えるだろうし、ここにまっすぐ来ちゃうよなたぶん。
キャンピングカーから結構距離があるので、やべえ人でも割と近くまで来れちゃうな。
……いざとなったらこの岩でも投げつけるかね。
さて、最初は俺だけが聞こえていた足音も他の三人も聞き取れるようになったようだ。
姿はまだ見えていないが、果たして何が現れるのやら……。
「はあい、遊佐様。そんなに息を切らせてどうしたの? 水飲む?」
全身からほかほかと湯気を立てた遊佐さんが現れた。
え、一人で来たの? 護衛はどうした……まさか振り切ってきたんだろうか。
なんだろう。厄介ごとじゃないと良いけど……とりあえず息も絶え絶えって感じだし、水でもあげようかねえ。




