36話
びみょうに復活!
この感じだと、最初に畑にしようとした土地にあったでっかい岩もどうにか出来そうだなあ。
さて……それはそうと結構やっちまいましたな?
ここまで大きいとは思ってなかったんだよね……せいぜい直径1mぐらいかなーって。
それぐらいであればまあ普通の人でも動かせどうじゃない?
職人が時間かかるって言ってる時点で察しろと? ごもっとも。
とりあえずごろんと転がった岩をそのまま放置しておくと邪魔だろうし、片づけてしまおうか。
てきとうに砕いて……いや待てよ。こんだけでかい岩だと何か使い道あるのかな?
「これ、何かに使います? 使わなければ砕いてしまいますが」
三郎さんに確認してから処置しようと思い、声をかけるが……三郎さんはきょろきょろと世話しなく左右へ視線を向け、他の二人がさっと目をそらしたのを見て絶望していた。
あっさり見捨てられるとは可哀そうに。
別に何もしないから大丈夫だよ。
と安心させようと笑みを浮かべたら、まるで生まれたての小鹿のように膝が遊びだした。
なんでだよ。
「こ、小屋の……小屋の、基礎に使いたいですので、ここに置いて頂ければ」
三郎さんが落ち着くのを待って指定された位置まで岩を運ぶ。
同じぐらいの大きさの岩が全部5つ転がるさまを見て、三郎さんの顔が引きつるが……まあ、そのうち慣れるよ。
ちなみになんで5つかというと、最初に取り出した岩に並ぶように似たような感じの岩が並んでたんだよね。
イメージは……切ったロールケーキみたいな感じ?
1つ取り除いたあとだったから、手が入る分作業しやすかったね。
タイヤを手に持つ感覚で運べたよ。
「はい、じゃあまた動かしたくなったら言ってくださいな」
がくがくと頷く三郎さんをみて、俺も満足そうにうなづいてぽんと手を叩く。
「ところで」
別に岩を動かしにきた訳じゃないので、目的を果たしておこうか。
ゆっくり振り返り、みんながこちらに注目しているのを確認し、話を続ける。
「ちょっとした食事を作ろうかと思いますが、皆さん食べられないものはありますか?」
そういった瞬間、三人共にぴしりと固まり動かなくなる。
……なぜに固まる?
別に変なことを聞いてないと思うんだけどねえ?
「い、いえっ、そんなことをして貰う訳には……」
「どちらにしろ自分が食べる分は作らないとなので、お気になさらず」
ついでに作っちゃうからね!
てか三人が寒い中お仕事しているのに、俺だけあったかいごはん食べるとかちょっとない。さすがにない。
だからそんなこの世の終わりみたいな顔されても作るもんは作るんですよ。
てかなんでそんな顔に……? 別に毒を仕込んだりとか、ゲテモノ食わせるとか、なんならお前らが材料だとか、そんなことはしないというのに。
「と、特にはありません!」
叫ぶようにこたえる三郎さん。
それに追従するように残り二人もぶんぶんと激しく頭を上下に振っていた。
まあ……言質はとれたということで、よしとしよう。
さて、この場に俺がいても作業の邪魔になるだけだろうし、さっさと退散してごはんを作るかねえ。
「んー……豚とか卵はさけるか」
言質とったとはいえ、あえて食いにくいものを出す必要はない。
とりあえずご飯に合いそうで、割とこの時代で食われている食材を使う……ちょっと冷蔵庫のぞこうか。常備菜なに残っていたかなあ。
「おかずというかご飯のお供系が多いねえ」
常備しているきんぴらとか、いつぞやのピーマンとシーチキンの炒め物とか、ご飯は進むけれどがっつりしたおかずはない。
ホッケでも焼くかね。
あとは豚汁……豚さんはダメだから、かわりに鶏肉でもいれるか。
たしか四足歩行じゃないから、食べてもセーフなんだよな。
根菜類たっぷり入れて具沢山に仕上げよう。
炊き立てご飯に常備菜、ホッケの開き、豚汁ならぬ鳥汁……うむ。なかなかよさそうだ。
問題は彼らがどう感じるかだけど……はたしてまともに味わって食えるのだろうか。
「……酒でもつけるか」
とりあえず飲ませば何とかなるんじゃなかろうか。
悪いこと綺麗さっぱり忘れてハッピーになるに違いない。
まあ、まじめな話だいぶ緊張してそうな感じだし、お酒を飲むとよい感じに緊張ほぐれるんじゃないかなって思うんだよ。
問題はお財布にダメージが入るってことだね。
ほんと誰のせいだよまったくもう。
「大分弱いなあ」
日本酒高かったので、大容量の甘酒にしてみた。
寒い時期にちょうど良かろうと温めてみたんだけどね、味は結構おいしかったんだけどアルコール分も飛んでしまったのか、お酒感がほぼ無い。
どうすんべ。
めちゃくちゃ安くて度数の高い酒追加でいれてみるか……?
一気に追加すると不味くなった時が困るからゆっくり足していこう。
「お、いけるいける。……喉にくる感じからして10%ぐらいあるかなあ」
途中でめんどくさくなってダボダボ追加してみたらいい感じに美味しい甘酒になった。
度数もそこそこあるし、こいつを飲ませればきっとハッピーな気持ちになること間違いなし。
よっしゃ、さっそく飲ませてこようか。




