18話
土曜の更新は夕方になります
「なら良かったです。……ついでなので他に聞きたいことあればお答えしますよ」
でもまだまだ気になっていること残っているでしょう?
聞けずにもやもやしたままってのもね……今後の付き合いにも影響しそうだし。
まあ全部に答えられる訳ではないが、問題なさそうな範囲であれば答えるつもりだ。
「そう、ですな。……時折見かける急に現れては消えるあの男。あれは何なのでしょう?」
あー……いや、俺も正直良く分からないんだよなあれ。
配達員で良いと思うけど、人じゃない気がするし……人だとしたらこんな過去まで荷物を運ばされるとかどんなブラックだよって話でさ。
心の平穏のためにも人じゃなくて神様が用意したつかいっぱしりであって欲しい。
とりあえず神様からもらった特典……力? そのへんで説明しておこう。
「あれは神様から頂いた力ですね。先ほどこの地に送られたと言いましたが、私が元居た地からものを入手することが出来るのですよ。遊佐様の好きなお米もそうです」
「おお、そうでしたか! なら砂糖や蜂蜜も……なるほど、合点がいきましたぞ」
遊佐さん素直だねえ。
深く突っ込まれなくて助かったよ……絶対ぼろでるからね。
とりあえず男の正体が分かっただろうし、今後は目の前で呼び出しだとしても威嚇することはないだろう。
そのうち刺されるんじゃないかとちょっとヒヤヒヤしてたからね!
さて次は何かなと遊佐さんを見ると、視線が俺の後ろ……キャンピングカーへと向いていた。
その視線は興味が半分恐れが半分といったところか。
「……やはりこれも気になりますか」
初めてあった時からチラ見してたからねえ。
あんな光景見せられても興味は無くならないか。
「これは車と呼ぶ移動に使う道具に、家としての機能も持たせたものになります。これはその中でも特に頑丈で大きく力も強いので、木を倒すのに使っていたんです」
そう説明して、ちょっと得意げに胸をそらす。
実際キャンピングカーの中ではかなり恰好良いし、でかくてパワーもあるしで良い車両だと思うんだ。
まあ、その分お高いんですけどね。
普通に4桁万円するし……宝くじに当たっていなければ、一生買うことはなかっただろうなあ。
「ははあ……家ですか、御子神さ……殿が元居た地ではみなこういった家に住んでいたのですな」
「いや、これは結構特殊で……」
違う。
家じゃなくて乗り物……この時代だと何にあたるんだ?
てかいま何か様付けで呼びそうになってなかったか。
実はまだ納得してないな? この人。
その後はいろんな事を話した。
俺が居た世界だったり、俺の力のこととかね。
元居た世界のものを取り寄せることはできるが、限度があることも伝えたよ。
だから無限にお米を手に入れることは出来ないし、稲もみも入手量には限度があると。
「今は大永6年ですな」
「……500年前かよ」
「どうかしましたか?」
「いえ、何でも」
「仕えているのは畠山義総様ですか」
「……ご存じでしたか」
それ以外には俺のことだけじゃなくて、遊佐さんのことも聞いた。
今がどの時代なのかもね。
……この時代って畠山義総みたいに実名呼ぶのダメなんだっけ? 何人か表情が一瞬変わってたねえ。
どんな感情だったかはちょっと分からなかったけど……ちょっとやらかしてしまったかも知れない。まあ、この地の事情には疎いということでここは一つご勘弁願いたい。
それで畠山義総はこのあたりの出来事を調べていて出てきた武将の名だったはず。
比較的まともな時期だったと思うんだけど、記憶があいまいなのであとで詳しく調べておこう。
「森の奥から咆哮が聞こえ、槍を構えたのですがな……周りの者が次々消えていくのです。事前に体験していたとはいえあれは肝が冷えましたぞ」
「それはそれは……申し訳なかったです」
それとキャンピングカーが目撃される直前の出来事についても教えてもらった。
どうも本当は100人ぐらいで来ていたそうなんだけど、そこに俺がキャンピングカーで突っ込んでいったもんで、女神様のあれに引っ掛かった人が次々と消えていって、それはもう大混乱になったらしい。
ただそれでもすぐに体勢を整えて、残った人数で音の正体を待ち構えていたと。
いやあ、みんな精鋭のようで……よかった討伐対象にならなくて。本当によかった。
「もう帰るので?」
「ええ、何事もなかったと分かりましたし、報告せねばならぬので」
色々話しこんでいると、そろそろ帰らないとまずい時間になっていた。
結構情報得られて助かったね。女神様のあれも効果が分かったし、とりあえずキャンピングカーのそばにいれば安全だね。
ただ遠くから矢を射かけられたら……どうなるかな? キャンピングカーの中にいれば平気だとは思う。
でも生身に矢が飛んで来たら……うん、やっぱ遊佐さん達とは仲良くしておかないとだね!
そのうち畠山なんちゃらにも贈り物しておこうかな。
今後ともどうぞよろしく! ってことで。
あとは偉い人も大事だけど、その部下とも縁を持っておくのは悪くないよね。
一応俺を助けに来てくれたわけだし、飯も食ってないのでお腹すいているだろうからエネルギーになりそうなもの……。
「ご足労をおかけしてしまいましたので……これなら、丁度良いかな」
腹にたまるものは用意できないが、それとは別にちょうどよいのがあった。
てか砂糖の代わりにこれで取引するのもありかも知れんな。
「ちわー、ヤ〇ト運輸です」
召喚ヤ〇ト運輸!
どこからともなくチャイムを鳴らして現れる配達員。そして槍を構える遊佐さん一同。
さっき説明したばかりじゃないかよお。
刺すなよ? 絶対刺すなよ??
ふりじゃないからね?




