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第二十章 家族
第二十章 家族
「……貴方、大丈夫?」
破れ落ちそうな服の上から、
そっと上掛けがかけられる。
マヤは、小さくうなずいた。
「うちの旦那が、すみません」
顔を上げる。
そこにいたのは――ラナ姫。
「……という事は、王妃さま?」
声が、わずかに震える。
ラナ姫はやわらかく微笑んだ。
「普段は優しい人なのよ」
「……あなたと仲良くなりすぎたら、
私も挑戦するつもりだったけど」
少しだけ肩をすくめる。
「――どうやら、その必要はなさそうね」
ドルジが一歩前へ出た。
「姫様。この子も疲れているでしょう。
連れて帰っても、よろしいですか?」
ラナ姫は、はっとした顔をする。
「ごめんなさい。気が回らなくて……」
その時。
ラナ姫の後ろから、
もう一人の女性が現れた。
「帝国と東帝国、両方に狙われるのなら――
王国に来るしかないわね」
王国に嫁いだユリアナが、
静かに自国へ招こうとする。
「ユリアナ姉さん、だめよ」
ラナ姫が、珍しく焦った声を上げる。
ドルジは深く頭を下げた。
「ユリアナ姫、申し訳ありません。
この子は……まだ子供です。
親元を、家族を――
ばらばらにしないでください」
ユリアナは小さく肩をすくめた。
その言葉を聞いた瞬間。
マヤの視界が、滲んだ。
――いらない子ではなく、
――家族だと、言われた。
頬を、涙が静かに伝っていた。




