作者よりあとがきとお礼
読んでくださった方へ
長い長い素人小説を読んでくださり、ありがとうございます。
加筆&訂正の歴史
2008,2月頃 DENPANにアップ
魔法のiらんどにアップ
10月 魔法のiらんどに訂正版をアップ
2009,10月 「小説を書こう」サイトに再加筆版をアップ
12月 ようやく納得がいき、ラストまで掲載
もしかしたらまた加筆するかもしれません。気づいた点や「こうしたら?」というようなアドバイスがありましたら、遠慮なく掲示板やメッセージでご連絡ください。
mifuyu2008@livedoor.com
●このお話ができるまで
最初に思いついたのは中学二年のときです。ちょうど世界史の授業が現代史にさしかかるのと同時に、国語の時間に「アンネの日記」を学習しました。古来クーデターなどで政権を奪取する独裁者が多い中、ナチス党は「当時世界で最も民主的と言われたワイマール共和国において」「正当なる選挙によって」議席を獲得し、「議会で法律を通して」独裁政権を樹立し、ユダヤ人迫害と第二次世界大戦を引き起こしてゆくわけです。非常に興味深い歴史だと思い、自主的にいろいろと研究するようになりました。
で、調べてゆく中でナチスのエリート部隊親衛隊の制服にほれ込み、「主人公の相手役」は金髪碧眼の親衛隊員となったのでした。(これが現在に至る私の制服フェチ道のはじまりです)
●歴史的事実について
一生懸命調べて書きました。わざと史実を曲げるということはしていません。違っているとしたら完全な勘違いか、間違いです。お知らせください。
●当初のお話
昔私は漫画描きでしたので、中学校で漫画化。少女時代のエリザベートが親衛隊員ジークフリートと恋をする物語でした。(小説では第3章ですね) 高校時代は勉強に忙しくて休止。大学では漫画研究会に入り、かなり長く書きましたが挫折。(けれど今でも親衛隊の制服は何も見ずに描けます) その後長いことほうっておいたのですが、育児休業がもうすぐ終わるという時になって急に「そうだ。あの話を書こう」と思い立ったのでした。作者も年をとってしまいましたので「ジャリタレの恋愛なんて書けるかっっ」とばかりに「人妻になったエリザベート」からのスタートになりました。しかもラストを考えずに筆の向くまま、気の向くままに書きました。(書き始めた当時はラストにどっちとくっつくかは未定でした)
本当は漫画にしたかったのですが、長いこと描いていないため画力が落ちていたので断念。漫画のほうがちょっとした表情で感情を表現できるから便利なんですけどね。
●ストーリーの変遷
大学時代には骨組みができていました。つまりジークフリートと結婚したエリザベートはベルリンで幸せな生活を送るが、ソ連軍が突入したときに夫とはぐれてしまい、アレクセイと出会う。……というところまで。
当初の設定では
アレクセイはエリザベートに気持ちを伝える
↓
エリザベートはアレクセイに心を惹かれていたが、
「自分が愛しているのは夫だけだ」と断る
↓
ジークフリートが生還する
↓
アレクセイはエリザベートの幸せを考え、断腸の思いで引き下がる
↓
しばらく夫婦は幸せに暮らす
ジークフリートが逮捕され、裁判にかけられる
↓
エリザベートはアレクセイに助けを求める
↓
アレクセイはエリザベートの願いを聞いてやりたいが、激しい嫉妬に苦しむ
「俺が愛したその緑の瞳に他の男の命を請う涙を浮かべるのか」
↓
「裁判に力を貸してやってもいい。お前が俺のものになるのが条件だ」
↓
エリザベート「これは罰なのだろうか。夫を待ちながら、自分も確かにこの人に恋をしていた。それなのに二人の関係がこんな形になってしまうなんて」
↓
この後は……はたしてどうなるのか???
今回もこの路線で行こうかなと思って書き始めたのですが、自分が大学生ではなく人妻になってしまったからでしょうか? 夫が行方不明になり、混乱した街でこれほどまでに自分を守ってくれる人が現れたら……だめだ。フォーリンラブいっちゃうよ、私(笑) ということで、「お断り」できないストーリーになってしまったのでした。(大学生の頃は「結婚」は「絶対的」で「永遠の愛の誓い」だと思っていましたが……今では「恋というものはするものではなく、落ちるものなのだから人妻だって恋したって仕方ねーよ」というのが持論です) ううっ少女漫画だったはずが、昼ドラorレディコミになってしまいました。結婚した途端、「夫」というものの値打ちはなくなってしまうものなんですねえ。
●ジークフリートの生還
この「夫」が生きているかどうかというのが、前半の大きなテーマなのですが、問題はどこで「生還」するかということでした。
①アレクセイが気持ちを伝える
②二人がキスする
③二人がHする
④エリザベートが妊娠する
⑤出産する
③までなら、黙っていれば夫にはばれない(←って、オイ) ③までなら夫のところに戻る……まあ戻らざるをえないでしょうね~(って、嫌なのか?) ということで「絶対にばれる」&「確かな証拠品(赤ちゃん)あり」という⑤の後になったのでした。
●参考文献
小説を書くにあたって、参考にした資料です
「ベルリン陥落」
「ベルリン終戦日記」 映画化
「ベルリン解放」
「占領下のベルリン」
「さらば、ベルリン」 映画化
「総統の子ら」
その他定番ですが、実在の人物についてはwikipediaをよく参照しました。
他にもこの時代(1933~1950年くらいのドイツ)を扱ったものがあれば読みたいですので、ご存知の方はぜひ教えてください。
「ベルリン終戦日記」は2008年にドイツで映画化(ニーナ・ホス主演)されているのですが、最近アメリカで公開、日本公開はあるのやらどうだか……(ご存じの方がいたら教えてください) 私の小説と設定が似ているのですが、一応私はこれを読む前に書いたことを力説しておきます。
You TUBE で予告編なら見れます。Eine frau in berlin もしくはa woman in berlin で検索してください。なんとかアメリカ公開時のDVDを入手できれば英語字幕がついているので理解できそうなのですが……今度ハワイに行ったらCDショップをのぞこうと思います。
●自分だったら……
とりわけ主人公が同性の場合、性格や考え方はどうしても作者の影響が強くなってしまいます。(エリザベートに制服フェチの気があるのは……?) 自分だったらどっちの男性を選ぶかなあというのは、今でも考えてしまいます。
「やさしいけれど、ちょっと自分に無関心気味な夫」
「すごく愛してくれるけど、ちょっと束縛気味な夫」
結局エリザベートはアレクセイを選んだのですが(まあジークフリートを選ぼうにも刑務所の中だし)、私なら一人で生きた方が楽ではないかとさえも思いました。一人で生きていける「仕事」があれば、エリザベートもよかったんでしょうけど。彼女に何か仕事をさせるということも考えましたが、(途中マルタの店でちょっと仕事をしますけどね)流されるように妊娠・出産してしまい、その後のベルリン封鎖で完全に仕事から離れてしまうのでした。日本でも戦争未亡人になった後、がんばって仕事した女性は多いと思うんですけどね~~話がそっちに進まなかったのでした。「あんたさあ、ぶつぶつ文句言う前にちっとは働いてみたら?」と私は何度もエリザベートに思いました。女性が自分の人生に責任を持って生きるためには経済力というのは必需品ですね。
ちなみに自分なら夫が死んで未亡人になったら自分の給料と遺族年金だけで十分生活できる見込みなので再婚なんていう面倒なことは考えません。(遊びの彼氏はほしいかも)
●DV?
前半あんなに優しくて素敵だったアレクセイが後半はとんでもないDV男になってしまいました。書きながらつらかったです。当時はDVの概念がなかったでしょうが、あれは現在では「モラハラ」「セクハラ」です。
●できちゃった結婚?
私自身の想像ではできちゃった結婚は99%が女性による計画的妊娠です。結婚に煮え切らない男を決意させるために「今日は安全日よ」と甘い言葉で避妊をやめさせ、結婚せざるをえない状況に追い込むという手法です。今回これの逆バージョンですね。
●実在した登場人物について
ソ連側のジューコフ将軍、コーネフ将軍、チェイコフ将軍、ソコロフスキー司令官などは実在しましたし、軍隊の進軍方面(「ベルリン陥落」に詳しく載ってます)、ベルリン駐在期間などは史実に基づいています。
ドイツ側の政府高官はこの時代に興味ある方ならみんな知ってる有名人ばかりです。
アレクセイの父親がジューコフ将軍といとこ同士という遠縁関係にある、という設定は当たり前のことですがフィクションです。
ジークフリートの経歴や人物モデルとしては終戦当時RSHAの6局(対外諜報部)局長だったヴァルター・シェレンベルクを参考にしました。小説の中ではジークフリートの上司として描いています。割合頭のよさそうなキャラなのですが、戦争末期に米英軍とだけ単独講和できるなんて思っていたんでしょうかねえ……?
シェレンベルクは終戦当時SS少将(35歳)ですので、ちょっと年下のジークフリートは大佐くらい? アレクセイは一個階級が上のほうがいいなあと安直に決めていったのですが、「いくら戦時中でいっぱい人が死んだとはいえ、こんなに若くして管理職になれるのか?」という疑問は書きながら抱いておりました。かといってジークフリートが「大尉」くらいなら総統へのお目通りは難しいか……いやジークが大佐なのはなんとかなるだろう。けど共産主義国家という頭でっかちの官僚機構でのアレクセイ(35)の階級は、本来少佐くらいが妥当かなあ……(22歳の中佐というのも史実でいたらしいですが)
●主要キャラクターの人名について
アレクセイ → アリョーシャ
アリョーシカ
ジークフリート→ ジギイ、ジーク
エリザベート → リズ、エルザ、シシイ
こんな風に実際は愛称で呼ぶことが多いみたいですが、読者ならびに作者も混乱しますので、小説の中では正式名称で通しました。なお南部ドイツ語では「シークフリート」となりがちであり、「エリーザベット」のほうが発音には忠実です。なおジークとエリザはミドルネーム込の長い名前にしたかったのですが、こちらも混乱するのでやめました。
●ソ連、ロシアへの憎悪と軽蔑に満ちた表現について
私自身はロシア人の知人もおらず、むしろ文化・芸術面でロシアはとても関心のある地域の一つです。ソ連軍による蛮行については、第二次大戦末期に日ソ中立条約を破って満州に進軍し、あのあたりにいた日本人が大変な目にあったということを知っている方は多いと思います。ドイツ・東欧では全土において満州状態になったと考えてくだされば簡単に想像できます。
軍隊の進軍するところ、古今東西性暴力というのはつきものであり、この小説においても大きな部分を占めています。いろいろ調べていくと「暴力をとめようとした兵士、将校もいた」「恋愛ざたもあった」とかで、考えさせられることも多かったです。
なお「ベルリン陥落」によればソ連軍とドイツ人女性の関係は
第一段階:見境のないレイプ、殺人にまで発展
第二段階:一番好みの相手をじっくり選んでレイプ
第三段階:食糧と保護を条件に合意をとる
第四段階:愛人として同棲
本当なのかどうかわかりませんが、帰国を嫌がり愛人と逃亡した将校もいたとか?
性犯罪の表現について日本では「わいせつ行為」だとか「乱暴」といいかえられることが多いですが、犯罪の残酷さを表現するために小説内ではあえて強姦という言葉を使いました。(私は女性ですので、文字で目にするのも嫌なんですけどね。心の殺人であり、死刑にすべき犯罪です)
ただ、ソ連軍だって、悪い人ばっかりじゃなかったと私は思いたいです。
●喫煙について
私、稀に見るくらいの極度のたばこ嫌いです。タバコよりも覚せい剤のほうが煙出ないだけましじゃん、と思うくらいに。アレクセイにたばこを吸わせるのは非常につらかったのですが、「60年も前だし(女性も含めて大多数は吸っていた)」「軍人だし(大多数は吸っていた)」「ヨーロッパだし(現在でもアメリカ程禁煙が進んでいない)」という事情でやむなく喫煙者となりました。最後に肺癌で死ぬのは私からの罰です。なお肺がんで死ぬのは「ゴボゴボと水の中で溺れているくらい」つらいようですよ。皆さんたばこはやめましょう。
なおヒトラーは禁煙主義者で、空襲の際も地下壕は禁煙であり、みんな外に出て吸っていたそうです。
●さいごに
ここまで読んでくださった方には感謝感謝です。短くても構いません、「読んだよ」というお便りがいただけると筆者はすごく舞い上がります。
また、加筆の参考・モチベーションアップにつながります。
文学賞にも応募したことがありますが、全く相手にされていません。もう今では「インターネットで細々とでも読者がいるからいいや」とあきらめています。学級内でノートを回していた中学時代からすれば想像もできなかったテクノロジーにより、遠くの会ったこともない人にも読んでもらえるというのは本当に感激です。
かつてあった意見
「どうしてアレクセイはあんなにもエリザベートに固執したのか?」
→ 一生懸命アレクセイの心情を書き足しました。といっても私は女性ですので限界がありますが……まあ恋愛なんて、周りから見れば「なんで?」っていうようなのも多いですけどね。(私もダメンズに何年も搾取されてた時期もあったし)
「出会いから妊娠までエピソードを増やしてほしい」
→ リヒテンラーデ邸での占領時代をかなり加筆しました。キャラも増殖。
なお、こんな奇特な方はまずいないと思いますが
絵をかける方!! 誰かマンガにしてくれませんか?
作者が一番気に入っているセリフは
「俺たちにドイツ人を裁く資格があるのか」です。
(ジークフリートとの対面でのアレクセイの心中セリフです)
ではでは、よろしくお願いします。 ★★★美冬★★★