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僥倖
槍を頭に受けたウェナジオ兵は即死。その体は仰け反る形で後方に傾いた。
さらにはそれを目撃した者たち――つまり、中距離から瞬時にして飛来した長槍が味方の頭部を貫通するという、恐るべき光景を目の当たりにしたウェナジオ軍前衛の兵士たち。
彼らのうち、ある者は恐怖で足をもつれさせ、またある者は思考停止に陥って浮き足立ち失速。
そこに後続の者たちが衝突、多数のウェナジオ兵が織り重なるように転倒――!
その後、若干の間を置き、ウェナジオ軍の内より発せられた号令がパウルスの耳に届いた。
「風速行軍を中止ッ! 各員、通常行軍にて追撃を続行せよッ!」
パウルスの一手は、敵の進軍速度を著しく低下させるという、この上ない結果をもたらした――!
しかし、彼の心中は変わらず! 寸分も警戒心を緩めない!
これは僥倖――最高の成果ッ! 森林まで辿り着ける確率が飛躍的に上がったッ! だが、まだ――! まだ完全な撤退を果たすまでは、油断ならないッ――!
転倒を免れたウェナジオ兵たちは速度をやや落としつつも引き続き疾走、転倒したウェナジオ兵の大半も起き上がって進軍を再開!
だが、その陣形は大きく崩れ、さらには盾の構えも解かれ――それを認めたパウルスは、即座に声を張り上げた!
「弓が使えるッ!」




