活路
恐らく、活路はある――!
パウルスの直感はそう告げていた――が、確証があるわけでは無かった。
パウルスはまず、事態の整理を行った。
身を投じるべき森林地帯は目と鼻の先。自軍は遁走中。陣形は崩壊し、縦長の配置になっている。敵軍は自軍を上回る速度で迫っている。その布陣は保たれている。敵前衛には盾。森林地帯へ突入すれば如何様にでもなる。しかし、その前に追い付かれる。近接戦闘員に限定すると、彼我の兵力差は十倍程度か。敵の目標は恐らく、こちらの殲滅。でなければ、ここまでの追撃は考えられない。それを前提にすると、進軍速度は緩めない。そしてこちらの兵を、呑み込みながら一人ずつ葬る。速度からして、良くて自軍の先頭がぎりぎりで逃走に成功する。最悪は全滅もあり得る――。
以上をもとにパウルスが導き出した結論は、とにかく策を重ね、手段を尽くし、逃げ延びられる確率を上げるより無い、というものであった。
まずは先頭集団に動揺を与える――あわよくばその進行を遅滞させるッ!
パウルスは近くを走る二名の槍兵から得物をぶん取ると、振り向いて立ち止まり、その二本の槍を敵の頭部の高さにて投げつけた!
「光速射撃――ッ!」
槍の一本は投擲に失敗し、敵の盾を浅く貫通するに留まったが、もう一本は先頭を走るウェナジオ兵の頭蓋を、深々と貫通した――!




