71/152
圧勝
終わってみれば、結果はスクドゥマ軍の圧勝だった。
ヤコブ小隊がカエロヌ軍の撹乱に成功すると、それに追随する形で、他の撹乱部隊も成果をあげ始め、最後はスクドゥマ軍の本隊が、仕上げとばかりに畳み掛けた。
その契機となったのは、やはりパウルスが見せた、長槍の下を潜っての突撃――。
それを実現したのは、魔法『超低空浮遊』。
それはごく薄い、風の層による道を作り出すもの。
そして特筆すべきは、パウルスが独自に編み出したものである、ということだった。
そうして作られた道を利用し、パウルスは文字通り、地表すれすれの高さを泳いでいた。
ただしパウルスは、やはり魔法のことは周りに伏せた。
体裁としては、超低姿勢での疾走を、秘密裏に特訓していた、ということにしておいた。
ときに、ブラナテラ王国が平和に過ごしていた四年の歳月。
その間にパウルスは、その理論までをも含め、魔術を習得していた。
四年前の彼ができたのは、一般に知られる魔法を、少々応用する程度のものであった。
しかし、今は違う。
剣術と組み合わせやすい、より実践的な魔法を、自らの手によって、いくつも作り出していた。




