格上
パウルスにしてみれば、まず、相手の性質が不明。
仮に積極性が高い者であった場合、下手な離脱を試みると猛追を許す危険がある。
パウルスは、足元の小石を相手に向けて蹴りつけると同時に、さらに剣の間合い一つ分、後方へ跳び退いた。
果たして敵は、その剣で小石を払い落としながら距離を詰め、パウルスとの間合いを保ってきた。
それはすなわち、交戦の意思表示――!
さらに言うなれば、その動きは俊敏、かつ隙が無い。加えて一切、動揺などの素振りも見せない――!
パウルスはこれで相手の性質のおおよそを掴んだ。
まずは相当の実力者。具体的には測れない。自らの器量を超えているため、それは当然のこと。
さらには冷淡にして容赦が無い。
思考の傾向としては、潰せる芽は潰しておく、というような性質の持ち主だろう――。
やはり、先に危惧した通り、離脱は返って危険度が高い。
そして恐らく、待たない。
待つ理由がない。
ここまでの身のこなしを見て、相手も自身が格上ということを、まず確信している。
そして近く交戦が繰り広げられている現状、この手合を早く終わらせ、他の援護に回るのが適当。
総合して導き出せる結論――それは、今すぐにも仕掛けて来るであろう、ということ。
さりとて、その状況は、今現在パウルスが抱えている手札にとって、実に好都合――!




