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奇策
果たして、パウルスが足元の土を、そして石つぶてを、前方へ蹴り上げたのと、相手が地を蹴り、パウルスへ向けて突進したのとは、同時だった。
目くらましと取れるそれを払うため、相手は腕を振ろうとしたが――それよりも速く!
「乱気流!」
パウルスの魔法に応え、土が、小石が、苛烈な勢いで飛散!
それは相手の網膜を直撃し、更には悲鳴をあげようとした喉奥までをも穿つ!
次の瞬間には、パウルスは敵の脇腹をすれ違いざまに薙ぎ、あまつさえ背面から心臓を貫いた――!
パウルスが起こした行動、それを端的に表現するならば――彼は強烈な砂嵐を、相手の眼前にて、炸裂させた。
その奇策に陥った男は、ついに、声をあげることすら許されず、絶命した。
それはフォルティド公国で、一、二を争う、剣豪であった。
しかして勝利を得たパウルスだったが、その余韻に浸る時間は与えられなかった。
先刻、前後に分断したフォルティドの部隊。
その後衛の兵士たち数人が駆けつけ、パウルスの姿を捉えた――!




