55/152
岐路
想定外の展開に、パウルスは咄嗟に後方へ跳び退き、その男の間合いの外へと逃れた――!
正確には、完全な想定外かと言えばそうではなく、パウルスは、後方に障害物がないことを、予め確認はしていたが――。
さて、しかしここで、パウルスは岐路に立たされた。
つまりは、標的と交戦するか、任務失敗と認めて身を退くか。
パウルスは瞬時に考えを巡らせた。
――まず今の防御は、勘か。――否。勘と呼ぶには不適。動きが的確に過ぎる。
そう、あれは感覚から成る必然――。
あの男は、背後に生じた僅かな気配――ごく小さな息づかい、踏み込み、剣が空を切る音など――それらを感覚で捉え、反射的に防御した。
再度、同様の事態が起きたところで、あの男は恐らく、十中八九、それを防御する。
それが意味するところは、すなわち、凡百の剣士たるパウルスよりも、相手は格上――それも相当に――!
パウルスは、次手にて様子見を行い、進退の決定は、その結果へと委ねることにした。




