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剣帝と呼ばれた一兵卒  作者: もやひと
ムンティホルムの戦い
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岐路

 想定外の展開に、パウルスは咄嗟に後方へ跳び退き、その男の間合いの外へと逃れた――!

 正確には、完全な想定外かと言えばそうではなく、パウルスは、後方に障害物がないことを、予め確認はしていたが――。

 さて、しかしここで、パウルスは岐路に立たされた。

 つまりは、標的と交戦するか、任務失敗と認めて身を退くか。

 パウルスは瞬時に考えを巡らせた。

 ――まず今の防御は、勘か。――否。勘と呼ぶには不適。動きが的確に過ぎる。

 そう、あれは感覚から成る必然――。

 あの男は、背後に生じた僅かな気配――ごく小さな息づかい、踏み込み、剣が空を切る音など――それらを感覚で捉え、反射的に防御した。

 再度、同様の事態が起きたところで、あの男は恐らく、十中八九、それを防御する。

 それが意味するところは、すなわち、凡百の剣士たるパウルスよりも、相手は格上――それも相当に――!

 パウルスは、次手にて様子見を行い、進退の決定は、その結果へと委ねることにした。

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