戸惑い
智将トゥッリス、墜ちる――!
リーベルタ軍は、予想だにせぬ敵の侵入に、また大将の落命に、一時騒乱状態へと陥った。
リーベルタが本陣付近の魔術士が数名は、懐刀にてパウルスへの抗戦を試みたが、ものの相手にはならず。
間もなく、リーベルタ軍は撤退。
かくして、この壮絶なる戦いは決着した。
ブラナテラが大将ルドヴィクスは、一か八かの強攻策が成功したことに安堵するとともに、此度の戦で犠牲となった者たちを悼んだ。
そして、パウルス・シルウァルムのこと――。
過日、テオドルスより聞いた、目にも止まらぬ俊足。
果たしてそれは、真実であった。
あの、最終局面にてリーベルタの魔術隊が起こした、『隆起』による土壁。
予め詠唱を完了しており、それを発現させるための最後の呪文、その一句か二句か。
相手がそれを唱え終えたとき、彼は既に敵陣深くまで切り込んでいた。
彼のことは、この目で見てなお、わからない――いや、より一層わからなくなった、と言った方が正確か――。
ルドヴィクスは、パウルスの存在を心強く感じはしたが、それ以上に、大きな戸惑いを覚えていた。
■あとがき
いつも本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
お陰様でアクセス数やブックマーク数も着実に増えており、とても励みになっています。
さて、今回にて本章は完結。
次回より新章に入ります。
ところで、本作の方針は、初回の前書きでも少し触れた通り、「手軽に読めて」「密度の濃い」展開を目指しています。
皆様の目にそのように映っていれば大変喜ばしく思いますが、いかがでしょうか。
それでは、引き続き。
拙筆ではありますが、面白いお話が書けるよう、今後も尽力してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。




