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剣帝と呼ばれた一兵卒  作者: もやひと
ルトゥムの戦い
33/152

手口

 前に述べたとおり、ルトゥムの大通りの形状は相当にいびつ。

 ブラナテラの軍勢は、ルトゥムの中央通りを北上し続けていたが、その脇道より、死角より、たびたびリーベルタの伏兵から強襲を受け、ブラナテラの兵はその度に幾人かが負傷、数名の死者も出た。

 それは大勢に影響を及ぼすには至らなかったが、頭の痛いところはその手口にあった。

 あるときは矢が。またあるときは魔術による炎が。そして氷の刃が。

 その殆どは『乱気流(タービュランス)』により被害を軽減できたが、とは言え、やはり完全な防御は不可能で、次は何が襲い来るか、ブラナテラ軍はその警戒を解くことを許されなかった。

 そうしてルトゥム市街の進軍も半分をやや過ぎた頃。

 その前方に、リーベルタ軍の本隊と思しき軍勢が待ち構えていた。

 その数は、見たところ、ブラナテラ軍の約半数。

 だが彼我の人数差は、ブラナテラ軍にとって、直ちに有利へと働きそうにはなかった。道幅にそこまでの広さが無いためである。

 リーベルタ軍のおおよその構成は、前列に長槍隊、中列に魔術隊、後列に弓術隊。

 対するブラナテラ陣営は、最前列が長槍隊、次いで剣術隊。また背面からの襲撃に備え、後衛にも長槍隊と剣術隊。中ほどに弓術隊。

 そして魔術小隊が、隙間を埋めるが如く、全体的に配置されていた。

 両軍は僅かな折、睨み合っていたが、程なくして、どちらからともなく、ときの声が響き渡った。

 決戦の開始である。

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