32/152
苦渋
大将ルドヴィクスは、生還者たちの話を総合し、比較的幅が広く、見通しも幾分か良いであろう、中央通りを進軍することに決定した。
だが、その進軍は、苦渋の選択であった。
明らかにリーベルタ軍は、罠を張り、待ち構えている。
そしてその手口から、相当な切れ者の存在を、伺い知ることができる。
しかしブラナテラが宣戦布告を行った以上、ここで退くわけにはいかない。
たった剣術小隊が三個、壊滅させられただけで、どうして敗北を認めることができよう。
例えそこに罠があろうと、ここは進軍すべき局面。しかしそうなると、当然、相応の被害は覚悟せねばなるまい――。
ルドヴィクスは部隊を再編成し、また、魔術隊へは、次のように指示を出した。
「魔術隊は『乱気流』で矢に備えよ! 発動させた場合も、繰り返し『乱気流』の詠唱を! 矢の防御は貴君らに任せる!」
風魔法『乱気流』――空中の気流をかき乱し、主には矢を弾き、また受け流す、防御系の魔法である。
しかして、ルドヴィクス率いるブラナテラ軍は、ルトゥムの中央通りへと進軍を開始した。




