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剣帝と呼ばれた一兵卒  作者: もやひと
ルトゥムの戦い
31/152

 敵は、罠を張っている――!

 万一に備えて『衝撃(ショック)』の詠唱を完了させていたことが、紙一重でパウルスの命を救った。

 彼は、自らを除いて小隊が全滅したことを認めると、再び『衝撃(ショック)』の詠唱を行いながら、本陣へ戻るべく走った。

 この報告は急務。巧みに隙を誘い、そこを陥れる――罠の張り方が尋常ではない。

 あの、槍と魔術の混成部隊。

 その構成と数すら、こちらがやや有利に映るよう、計算され、仕向けられたものだったとしたら――。

 パウルスの推理は、果たしてその通りであり、事態は智将トゥッリスの思惑通りに運ばれていた。

 パウルスが本陣へ辿り着くと、ほぼ同時に、中央通りからも生還者が4名、本陣へと戻ってきた。

 聞けば、やはり東通りと同様の手口により、小隊は壊滅させられたという。

 パウルスと中央通りの生還者たちは、事の次第、並びに各々の考察を、大将ルドヴィクスへと報告した。

 そして、西通りへ向かったテオドルス小隊――彼らはついに、誰一人として戻らなかった。

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