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剣帝と呼ばれた一兵卒  作者: もやひと
ルトゥムの戦い
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均衡

 両軍は衝突し、戦いを繰り広げていたが、その形勢については、しばらく膠着状態にあった。

 ブラナテラ軍は剣術隊の力で圧していきたいところであったが、如何せん、リーベルタの魔術士の数が多い。

 前線では槍兵同士の剣戟が繰り返され、ブラナテラの剣兵は幾度もその間隙を縫ってリーベルタ軍の懐に切り込もうとしたが、魔法による攻撃に阻まれ、それが適わない。

 パウルスもまた前線の剣術隊に配置されていたが、今は前進しても反撃に遭うだけと悟り、その中でもなるべく後方へ位置するようにしていた。

 そして、互いの弓術による攻撃。これも双方の魔術隊が、魔法による防御でそれを無力化する。

 このような具合により、戦いは均衡が保たれていた。

 だがしかし、それは少しずつ崩れ、大勢は徐々にブラナテラの側へ有利に傾き始めた。

 原因は、魔法の詠唱時間である。

 如何にリーベルタが多数の魔術士を擁していたとは言え、魔法の発動に必要な呪文の詠唱速度は、剣や槍の攻撃速度には到底及ばない。

 そうしてブラナテラの剣兵が繰り出す猛攻により、リーベルタの槍兵が、魔術士が、一人、また一人と斃れ、遂に局面は動いた。

 ブラナテラが剣術士の一個小隊が、リーベルタ軍の懐へ潜り込むことに成功した。

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