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剣帝と呼ばれた一兵卒  作者: もやひと
ルトゥムの戦い
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 果たして、エンリクスたちの思惑通り、その優劣はすぐに表れた。

 剣戟の数により、槍を打ち、払い、じりじりと、しかしはっきりと、彼らはリーベルタの小隊を追い込んでいた。

 間もなく、槍兵の一人が声を上げた。

「――ッ! 退くぞッ!」

 それを合図に、敵の小隊は撤退を開始。その背面、曲がり角の向こうへと駆けた。

「追撃するッ!」

 ――エンリクスの号令が直後。

「隊長ッ!」

 隊員の一人が前方の空を指差した。

 エンリクスが見上げたそこには、どす黒い塊――それが次第にその大きさを増していく!

 ――矢の雨ッ!

「後退いいいいいいいッ!」

 悲鳴に近い号令だった。

 エンリクス小隊は即座に踵を返して全力で駆け出した!

衝撃(ショック)――!」

 パウルスが足下の『衝撃(ショック)』による緊急離脱を行うと同時に矢の雨は着弾。轟音が鳴り響き、大量の土煙が舞った。

 ――しばしの静寂ののち。

 ――土煙が鎮まったあと。

 ――そこにあったのは、無数の矢を浴び、地に伏したエンリクス小隊の姿。

 エンリクス小隊、パウルスを除く総勢16名――彼らはリーベルタ領が都市、ルトゥムの路上にて、全滅した。

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