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魔法
結論から言うと、パウルスは『衝撃』と呼ばれる風の系統に属する魔法を使っていた。
これは空気を局所的に破裂させるもので、殺傷能力は無いに等しい。
一般的には、敵に接触する位置で発現させ、相手を怯ませたり、その態勢を崩す魔法として知られている。
パウルスはこれを自身の移動手段として利用した。
地を蹴ると同時にその足下で『衝撃』を発現させることで、爆発的な推進力を得て、超加速を実現したのだ。
それはテオドルス以下、その場に居合わせた面々が想像だにできないことでもあった。
何しろ魔法の使用は、そんなに簡単なものではないのだ。
魔法を使用するためには、精霊語と呼ばれる言語で呪文を唱える必要がある。
まずその精霊語が、日常扱う言語とはまったくの別物で、人にはおよそ理解不能な音の羅列である。
その上さらに、呪文が長く複雑なのだ。魔法の属性、発現時の形状、威力、範囲、発現位置に至るまで、その要素がひとつでも変われば呪文も変わる。
パウルスは初陣から今日までの40日の間に、実戦で効果を上げられそうな魔法をいくつか見定め、呪文を丸暗記する形でそれを習得していた。
自身の足下での『衝撃』――これがそのうちのひとつだった。




