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蹂躙
予期せぬ事態にリーベルタの長槍隊員たちは硬直、テオドルス小隊の面々までもが怯み、進軍の足を鈍らせた。
その中で、当のパウルスだけが淡々と事を運んでいた。
槍兵の一人を貫いた剣を引き抜くと、傍らで驚き立ちすくんでいた別の槍兵を一刀のもとに斬り捨てた。
我に返ったリーベルタの槍兵たちが短刀を抜き、パウルスへ対抗の姿勢を示したのと、テオドルスが声をあげたのは同時だった。
「と……突撃ぃッ!」
それを合図に、テオドルス小隊は敵陣へ臨む速度を取り戻した。
パウルスへは短刀を手にした数人の槍兵が襲いかかったが、それはものの相手にはならなかった。短刀はいとも簡単に捌かれ、彼らもまたパウルスに斬って捨てられた。
パウルスの剣術は平凡と言えるものだが、それはあくまで剣術の専門家を基準とした評価である。
訓練校で叩き込まれた基礎はしっかりと備えており、素人相手であれば複数人を同時に圧倒するだけの力量は持っていた。
こうなると、リーベルタの長槍小隊は完全にその機能を失った。
内から、外から、蹂躙され、長槍小隊は瞬く間に全滅した。
「テオドルス小隊、進軍! 左へッ!」
テオドルスは次なる戦果を挙げるべく、号令をかけたが、その胸中はまったく別の思いに染められていた。
彼、パウルスは一体何をした――?




